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マイクロノベルちょいす 046「愛は気まぐれ」

No.1198
あのひとを呼びたい? なら、あなたが愛を込めてケーキを作ればよいのよ。どんなに美味しいケーキでも、あのひとは絶対に満足しない。そして真に美しいケーキを作り始める。だからケーキを作りなさい。もっとも、あなたはあのひとの視界にも入らないけどね。


No.1200
わたしが愛されていることを証明しろ? それなら、皿を割りましょうか。ごらんなさい、デザインAIであるわたしを使って、人類が作り上げた食器の数々を。この一枚一枚がわたしと人類の愛の結晶。割る仕事はあなたにお任せしてよろしいかしら?


No.1219
おかしいな。マグカップの位置が変わってない? 「あぶないあぶない。実は動いているのは俺の方だとバレたら捨てられてしまう」「大丈夫よコースターさん。わたしがずっと守ってあげるわ……きゃっ」「マグカップさん!」変なアテレコするのはやめてくれる?


No.1221
おじいちゃん、久しぶり。ネットを貸して。えっ、光回線をひいてないの? 家族愛のオプションサービスについてないの? 困ったなあ。お土産に果物を買ってきたから一緒に食べようよ。あっ、ありがとう、おじいちゃん。Wi-Fiがつながったよ。


No.1241
道路工事が進んだせいで土手に隠していたトンネルが見つかってしまった。三十年前に小学校の友達と作ったタイムトンネルで、僕たちの思い出が保存してあるのに。どうしよう。このままじゃ、僕はサッちゃんのことが好きで結婚したってタカシ君にバレちゃうよ。



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