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【読書録】「ふだんづかいの倫理学」 平尾昌宏

概要

 本書は現役の倫理学の先生が倫理とは?についてかなりキャッチーに解説されています。例としてDEATH NOTEが挙がられていたりするので、まさに入門書にうってつけといった内容です。 
 
 本書では倫理とは人間の行為や生き方についての価値規範のとことであると解説されています。言い換えると「よく生きるとは何かを知ること」

現代では普通の人が大きな力を持つようになったために、その力が無闇に暴走しないようにする歯止め、つまり倫理学が必要

 SNSによって誰でも簡単に情報発信ができるようになったからこそ、とマナーや思いやりが重要になっていると思います。力の暴走を止めるものとして法律があると思いますが、良くも悪くも法律は何か起こった後に制定されるものため、痛みを伴うことが多いです。
 誰かが痛みを味わないで済む社会にするために倫理学が必要なんだと感じました。本書では法律は「守り」に分類されていることからも納得できました。

正義とは「釣り合いをとる」ということ

 これはかなり納得感のありました。個人的な考えとして、私はあまり正義という言葉にポジティブなイメージがありません。それは正義が立場によって変わってしまうからです。戦争が最たる例かと思います。戦争をお互い「釣り合いをとる」ために行っていると捉えた方が理解しやすいと思います。
 この考え方でいくと刑事罰もかなりシンプルにとらえられるかと思います。こういう内容は日本の警察や検事、裁判官は勉強しているのでしょうか?少し気になりました。

倫理学の役割には、自分たちが普段やっていることの意味を理解する、自分たちの人生を解釈するということがある

 多様性が叫ばれている昨今、倫理学は必須になる学問であると思いました。私も大学で「技術者倫理」という授業が必修だったのでもうすでに一般的なのかもしれません。
 倫理という視点に立つと、自分の普段の行いを振り返ることができます。答えが明確にある学問ではないので、一生考え続け、更新し続けていくことが重要なのだと感じました。

さいごに

 今まで全く読んだことのないジャンルの本であったため、正直内容を深いところまで落とし込めてはいません。趣味とはいえ、自分の考えを発信している以上、これからも勉強を続けなければならない学問であると感じました。

参考文献

平尾昌宏(2019)、「ふだんづかいの倫理学」晶文社


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