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クレチン症と性教育について考える

思春期のお子さんをお持ちの皆さん、ご家庭での性教育ってどのように行っていますか?今回は私なりの「性の伝え方」についてのお話です。



現在小学5年生の娘は、生まれてすぐに「クレチン症」と診断されました。

クレチン症とは「先天性甲状腺機能低下症」とも呼ばれます。

生まれつき甲状腺の働きがうまく機能せず、成長に必要なホルモンを作り出すことができない疾患のこと。

放っておくと知的発達に影響を及ぼす可能性があります。

日本では新生児マススクリーニング検査がおこなわれているため早期発見が可能です。娘も生まれてすぐに診断され、新生児の頃から薬の服用を開始しています。

詳しくはこちらから↓






赤ちゃん期は毎日体重が増えるので、薬の量を細かく調整する必要があります。そのため毎月大学病院に通院し、発育状況と甲状腺の数値の血液検査をします。

その頃の通院は大変過ぎてもう詳細は記憶にございません(母さんとにかくガムシャラだった)

そんなこんなで娘も無事11歳になり、今では注射で泣くこともなく採血室に1人で入って涼しい顔で出てきます。

現在は身長も体重も平均値。知能に遅れもなくすくすく育っています。





赤ちゃん期、思春期、妊娠期は甲状腺ホルモンの働きが大切な時期のため、薬の量を細かく計算して調整します。

今は思春期にあたるので、錠剤を粉砕して数グラム単位で管理をしていただいています。

そして妊娠期には体が多量にホルモンを必要とするため、医師と相談しながら薬の飲み方を調整していく必要があるそうです。

少しずつ大人の身体に変化していく中で、担当の先生から「妊娠」というワードを聞いた定期検査の帰り道。

ふと、これは娘に性や妊娠の話をするにいいタイミングなのでは!と思い付き、きちんと話してみることにしました。





保健のテストで「生理」「精子」「排卵」などを答えるペーパーテストでは満点を取ってきていた娘。

じゃあどうやって精子が女性の体に入るのかということは知らないとのこと。

これに関しては私も初めて知ったのですが、学校の性教育には「はどめ規定」というものがあり「性交」について教えてはいけないという決まりがあるのだそう。

この規定に関しては様々な意見があるようで、独自の性教育を行う学校も出てきているとのこと。

学校での方針がどういう形であったとしても、時代とその子のペースに合わせて各家庭なりの「性」を伝えていくことが私はとても大切だと思っています。




とはいえ親の私の言葉だけで伝えるには限界があるため、すぐに本屋さんへ行きこちらの本を購入しました。



「はたらく細胞」という漫画の性教育バージョン。娘はこの作品のファンなので、読みやすそうで前から目を付けていたものでした。





この作品は、体の中で細胞が普段どんな働きをしているのかを擬人化して分かりやすく描いているもの。

血小板ちゃんが擦り傷を治してくれたり、白血球さんが命をかけてウイルスと戦ってくれたり。

一生懸命働いてくれている細胞たちが愛おしくて、そしてもっと自分の体を大切にしようと思えるきっかけになる名作です。

免疫の勉強にもなるのでおすすめ↓
(はまるときっと推しの細胞が見つかるはず)




最初にご紹介した性のお話バージョンは、
生理のこと、思春期のモヤモヤ、自分の体を守るスキル、セックスってどうやるの?
などかなり直接的な表現で書かれています。

平成の性教育で育った身としては少しドキッとしてしまう表現も多々あります。
(お子さんに渡す前にまずご自身で読むことをお勧めします)

この本を手に取ったきっかけとしてもう一つ。

私がうまく伝えにくい部分である、
SNSの使い方、ジェンダー問題、子供を持つ権利と持たない権利についてなど、
令和を生きる子供たちに必要な内容が入っていたからです。





細胞たちは作中で体の持ち主を「お嬢様」と呼びお仕えしているという設定。
(初潮が来る時は体内で大地震が起きたり、膣が濡れていないのに挿入してくる輩は全力で拒否をします!)


表紙を開いてすぐ
「お嬢様の体はお嬢様のもの。お嬢様に決定権があるのです。」という言葉がこの本を買う決め手になりました。


こんな当たり前のことが当たり前でなかったり、自分が「NO」と言う権利を持っていることを知らない女の子は現代にもたくさんいます。





私はいつもバタバタしているし、子育てよりも仕事を優先してしまうことが多いだめな母さんだけれど、他の家庭よりも手をかける時間が少ないからこそ娘に伝えていることがあります。

それは「あなたはただそこにいるだけで価値がある」ということ。

あなたの優しさも、強さも、綺麗な肌も、サラサラの髪も、その全てにあなたの許可なしに触れて良い人はいない。

あなたは選ぶ権利を持った人間。だから胸を張って、自信を持って堂々と生きてなさい、と。

女として生きてきた私が、女の子を育てる上で大切にしていること。自分の価値をきちんと知ることが一番の身を守る術だと思っています。

それが私なりの性教育です。




本屋さんでこれ見よがしにエロ本を立ち読みしているおっさんがいたり、教員が子供へのわいせつ行為で逮捕されたニュースを見たり、性に対する嫌悪を感じるできごとは日々そこら中に溢れています。

そういったものが目に入る度に「男ってキモいねー」という娘。

「性=タブー」と言う考えを持ち続けることはとても怖いこと。でも、性を搾取する人がいることもきちんと知らなければいけない。

それを知った上できちんと人を好きになって、きちんと好きになられてほしい。その延長線上で体を重ねるという行為があって、愛し合う素晴らしさを知って欲しい。

「まぁ、好きで結婚してもどうせほとんどの夫婦が離婚するしね」と娘は言うけれど。
(いや、それはほんとごめんて)

母さんだって離婚はしたけどまた別の人を好きになって、いくつになっても新しい恋と出会ってる。

好きな人からのLINEにわくわくしたり、なんなら失恋してごはん食べられないとかも全然ある。

37歳の恋バナなんて聞きたくもないだろうから、まだまだ言うつもりはないけれど。笑





いつか娘が本気で人を好きになって恋に悩んだ時に、こっそり打ち明けてみようと思う。

愛し合うってとても素敵なこと、ただそれだけなんだよって。

恋愛の楽しさも辛さもこれから知っていく娘。

自分自身の心と体の心地よさを最優先に、自分と同じくらい大切にできる相手と出会って結ばれてほしい。

母さんは心からそう思うよ。

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