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ヒバリの跳躍

ここ数日は気分がいい。元気。一言で言うと元気。鉄分のサプリを飲んでいるからかも。胃の手術をして数年が経つと、うまくビタミンB12が吸収されなくて、血液を作るための栄養が減るのだというようなことを読んだ。それでビタミンのサプリと、あと元々疲れやすいので鉄分のサプリも飲んでみている。
体への負担としていいのかどうかはわからない。でも春の日差しが穏やかで、庭のスオウの木に咲いた花が綺麗だな、と思えるくらいには元気。

又吉さんの小説「火花」を読了した。今更すぎるくらいに有名な作品だけど、前から気になっていたのでKindleで買って読んだ。
読み終えた今、スッキリした気持ち!ストーリーの良さがそうさせてくれた。完走してよかったな〜。
最初は正直、独特な文体で読みにくいかも…って思っていた。漫才師の話なので、ボケツッコミの掛け合いがよく出てくるのだけど、ボケを文章にすることで、耳で聞くよりもテンポが一段階ゆっくりになるから、おかしみが薄れているかも…という感覚が自分の中にあった。

でもストーリーがシンプルなので、するすると読めていったし、後半のストーリーの跳躍力がすごかった。あ、そんなふうに話が飛び上がって、こんなところに綺麗に着地するんだ!という驚き。はぁ〜と感嘆。

あと情景描写が哀愁があって美しい。おそらく又吉さんが若い頃から住んでいた東京の街を、よく観察し、愛しているから、こんな文章が書けるのだろうなと思う。
わたしも若い頃に井の頭公園の近くに住んでいた身として、目に浮かぶ風景がたくさんあった。

読んでよかったな。
そう思える小説に出会うことはめったにない。わたしが好みの偏りが強いのもあるけど。芥川賞を取ったからといって、全ての受賞作品が万人に好かれるというわけではない。(もちろん賞を取るほどの小説が書けるのは凄いことですが)
だから出会えた時は嬉しい。


音楽もアートも、文学も、ファッションでもなんでもいいんだけど、世の中にはたくさんのアーティストやデザイナーがいて、そのなかでばしっと心にハマるものに出会えることは少ない。
例えばわたしの本の好みを知っている友達が、この作家も好きなんじゃない?と紹介してくれても、読んでみて(雰囲気は近いけどなんか違うな………)と思うことはよくある。その友達のチョイスが悪いわけではなく、そのくらい自分好みのものに出会うのは難しいのだ。神経のように細分化された言語化できない細かな好み、人それぞれの刺さるポイント、なじめる温度があるから。


だから自力で発掘できた時はうれしいですね。最近地元に引っ越してきてから4年で、初めてTSUTAYAに行って、書籍コーナーの広さに驚いた。笑。
あまり書店でゆっくり本を眺めて探すこともなくなったな。でもWeb記事で、好きなライターさんやアーティストが書店に訪れて本を紹介しているのを読むと、あ〜〜!本屋行きたいかも!ってなっていた。
これからたまに通おうと思います。


日記も書こうかと思ったけど、これはこれでまとまったので一旦ここでおしまい。

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