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「世にも奇妙な物語」が全部教えてくれる

私の人生に多大な影響を与えた「世にも奇妙な物語」について。

フジテレビ系列で1990年から30年近く放映されているオムニバスのテレビドラマ。
タモリさんのストーリーテラーから始まり、4~5本の短編ドラマで構成される。

構成される4〜5本のドラマには、コメディであったりホラーであったり、感動するヒューマンドラマがあったりで、バラエティに富んでいて、
テレビっ子だった私は物心がついたころから、1年に2回放送されるこのオムニバスのドラマが楽しみで仕方がなかった。

あまりにも好きすぎて、
30年の歴史の中で放送された500本近くの作品を網羅するためにDVDを全て鑑賞して、様々な動画サイトを全て漁って観た。そういう学生時代だった。

このすばらしい作品をもっと色んな人に知ってもらいたいという一心で、Twitterで作品紹介のアカウントを作って、一人で運営している。
(もう創設してから9年になる。)


思えば、私は一度だけオフ会に参加した事がある。
当時、私は18歳。高校3年生。
「世にも奇妙な物語」のマニアが集う作品鑑賞会に参加して、マニアのおじさんに紛れて、作品の良さを語り合ったのを覚えている。

ポツンと1人、高校生。
今思えば並外れた行動力だと思う。
行動力の"源"とはよく言ったもので、
"好き"という気持ちは行動を起こさせる大きなエネルギーとなる。

そのオフ会では「世にも奇妙な物語」のクイズ大会が開かれた。
「ストーリーテラークイズ」と銘打ってタモリさんがストーリーテラーとして最初に喋る台詞をスピーカーで流して、それがどの物語で話された台詞なのか早押しで当てるというもの。
それがとても楽しくて、夢中になって考えたのを覚えている。―――

スピーカーからタモリさんの声が聞こえてくる。

タモリさん「残念ながら、人は生まれながらにして様々な不平等にさらされて、生きています。」

マニアたちは皆で記憶を巡らせながら、あの話か?いや違う、どの話だ?と、回答ボタンに手を添える。

タモリさん「しかし、その中でも、たった一つだけ平等なものがあります。」

タモリさんが物語の核心に触れる言葉を喋るのを、皆が固唾を飲んで待っている。

タモリさん「それは、、時間です!」

\ピンポーン!/

マニア「懲役30日!」
主催者「正解!!」

やはり何十年も番組を見守ってきて、マニア歴が長いベテランのおじさんたちの回答は早い。
私はその日、一つも回答ができなかったのが今となっては悔やまれる。―――

「懲役30日」は、三上博史さん主演の1998年に放送された作品で、
過去放送された「世にも奇妙な物語」の作品の中でも、"名作"と名高い作品で、私も大好きな作品である。

死刑制度が廃止された近未来で、7人もの連続殺人を犯した男が受けた判決は「懲役30日。」
数多くの辛い拷問を乗り越え、懲役の30日を終えたはずの男が目を覚ますと
そこは病室のベッドの上。時計を見てみると5分しか経っておらず、
薬を投与されて、再び懲役30日の追体験の夢を見るという話。

彼が受けた懲役は、世間一般的には30日なのだが、
彼にとっては30日務めたはずの懲役が5分しか経っておらず、それが永遠と薬を投与されて繰り返すため、通算720年分の懲役を務めることになる。
彼が30日の懲役を終えて拘置所から放たれた姿は、当初の見る影もなく、
廃人となった姿であった。というオチ。

タモリさんが話すその後の台詞としては、

「人々それぞれに平等に流れる時間が、ある人にとっては長く、ある人にとっては短く感じられることがあって、それが奇妙な世界の入り口となる。

と、淡々と語る。

高校生の頃の自分は、漠然とそのセリフを聞いていたように感じるが、
今、思い返すと物語の余韻も相まって、深く考えさせられる。

タモリさんが物語の冒頭で話す台詞は、人生を生きる上で、
これから色々な経験を経て、必ず知ることになるであろう核心に近い言葉を語る。
私はこのタモリさんの淡々とした喋りがとても好きだった。

「世にも奇妙な物語」というのは、
数ある物語の中で、多くの人生訓を実例をこめて伝えてくれる。
(勿論、ノンフィクションのドラマではあるが。)

物語の中で、善い行いを重ねてきた主人公はハッピーエンドに導かれ、
(けれども、最後の最後で足元をすくわれるという不条理もある。)
悪い行いを重ねてきたり、ズルをして成りあがっていく主人公は、最後の最後で必ずひどい目に合う。

そんな人生の歯がゆさ。因果応報。
(うまい話などどこにもない)という事を
皮肉を込めて伝えてくれるこの意地の悪い人生訓がどうしようもなく好きなのだ。



どちらが幸せなのでしょうか?

鎖に繋がれている犬と野放しになっている犬。
鎖に繋がれた犬には自由はありません。
しかし毎日決まった時間に餌をもらえる楽しみ、散歩にいく時の喜びがあります。
鎖につながれていない犬は一日中食事も散歩も自由です。

どちらが幸せなのでしょうか?

タモリさんはこのように話す。

毎日、決まった時間に職場に向かい、決まった時間に帰って、風呂に入って寝る。
そんな生活の繰り返しである私にとっては心にギュッとくる台詞。(笑)

どの物語のストーリーテラーなのか、皆さんも考えてみてください。

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