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レバーが大好きになる!おいしいレバーの焼き方とは

私はかつて、レバーが苦手で食べられなかった。
といっても、牛レバーの生食が禁止される2012年までは、レバ刺しが大好きだったので、正確にいうと「焼いたレバー」が苦手だった。ボソボソした食感と焼いたときの風味が苦手だったのだ。

しかし、ボソボソ感は自分の焼き方が悪かったせい。そして、クセのない新鮮なレバーに出会ってから、すっかりレバーの虜になった。

世の中にレバー嫌いは結構いて、その気持ちもよくわかる。そこで、レバーが大好きになる「おいしいレバーの焼き方」について考えてみた。

苦手の原因!レバーがボソボソする理由

レバーが苦手な人は、焼いたときの食感がダメだという人も多いだろう。焼いたレバーの「ボソボソ」「モソモソ」した食感は、レバー特有の構造によるもの。これを理解しておくことが、レバーを上手に焼く最初のステップだ。

◎レバーは「細い管」が、集まってできている!

レバーは、ツルッとなめらかな、かたまりのように見える。しかし内部には、網目のような「細い管」がビッシリと張りめぐらされている

東京都芝浦食肉衛生検査所が作成したリーフレット『焼いとく?なっ得!肉料理』の写真がわかりやすい。この「細い管」が、加熱しすぎると固くなり、バラバラになって、ボソボソした食感になるというわけだ。

東京都芝浦食肉衛生検査所『焼いとく?なっ得!肉料理

ちなみに「細い管」は、腸とつながっているため、レバーに食中毒菌が入る可能性もある。これが、レバーがレアで食べられない理由だ。

「レバーには、細い管がぎっしりつまっているんだ。この管の中に、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌がいることがあるんだよ」

動画版『焼いとく?なっ得!肉料理』より

おいしいレバーの焼き方

レバーをおいしく焼くポイントは「焼きすぎ」に注意すること。焼きすぎは、ボソボソした食感だけでなく、独特のえぐみを出す原因にもなる。とはいえ、食中毒が起こらないように火を通すことも必要だ。

◎内部をじっくり温めるように焼く

レバーの内部にある「細い管」は、加熱しすぎると固くなり、ボソボソした食感になる。そうならないためには、加熱しすぎず、やさしくじっくり、ていねいに焼くことがポイントだ。

「焼く」というより、内部を温めていくイメージで。そう、低温調理レバーをつくるようなイメージだ。表面はこんがりさせなくていい。むしろ焦げるまで焼いてはいけない。内部全体にやさしく熱が通って、あまくて、ねっとりとしたレバーが完成することをイメージしよう。

ちなみに「低温調理レバー」とは、こういうやつだ。

ねっとりして、あまくて、フォアグラみたいで、おいしいんだこれがまた。内部がこのように、やさしく加熱できることを目指そう。

◎炭火七輪は「焼きすぎ」に注意!

炭火七輪は、高温なので焦げやすい。なるべく網の外側の火力が弱い場所に置いて焼くことがポイントだ。

過去記事『炭火七輪 vs ガスロースター、ホルモンの焼き環境を考える』参照

表面の色が変わる程度に火が通ったらひっくり返すことを繰り返す。レバーに限っては、何度ひっくり返してもいい焦げる前に返すのだ。

やさしく、ていねいに。焦げる前にひっくり返すを繰り返す

ほかのホルモンのように、焼き目を気にしてはいけない。大事なのは外側ではなく「内側」だ。「焼く」というより、内側をじっくり温めるイメージだ。

ブツ切りのレバーの場合、表面ばかりこんがり焼けて、中が生だった。ということがよくあるので、十分注意してほしい。

◎「ガスロースター」の「薄切りレバー」なら失敗しにくい

ガスロースターの焼肉店で出てくる薄切りのレバーなら、失敗も少なく、焼きやすい。弱火でサッと両面火を通す感じで焼く。薄い分、火が入りやすいので、注意して焼こう。

シマチョウ(牛大腸)やコプチャン(牛小腸)などの脂が多い肉は、炭火七輪の強火でパリッと皮面を焼くのに向いている。しかし、レバーや赤身肉は、微妙な火力調整ができるガスロースターの方が、失敗せずに上手く焼けるだろう。

ガスロースターは、炭火七輪に比べて、火力が穏やかだ。

過去記事『炭火七輪 vs ガスロースター、ホルモンの焼き環境を考える』参照

私はかつて、焼肉ホルモンは「炭火七輪」に限ると思い込んでいた。燻製香がついて、遠赤外線でパリッとフワッと焼ける、炭火こそが最高だと思っていた。しかし炭火七輪では、せっかくの肉を黒コゲにしてしまうことも多かった。

名だたる名店でも、ガスロースターを使う店が多いことは、どんな人でも上手に焼きやすいという点にあるようだ。これは、良い肉を「より良い状態で、お客さまに食べてもらうため」なのだとか。

もし、レバーが苦手だな、上手に焼けないな。と思っていたら、ガスロースターの店でも食べてみてほしい。

なぜなら、私がレバー苦手から転じて大好きになったのは、ガスロースターの焼肉店で食べたことがきっかけだったからだ。

◎自宅ならホットプレートより「フライパン」がおすすめ

おうち焼肉といえば、ホットプレートが大活躍だが、レバーの焼き環境としては不安定な点もある。温度調節のツマミがついているものの、急激に温度が上がったり、サーモスタット機能によって急にヒーターが消えたり、火力が思うようにコントロールできない。

その点、ガス火を使ったフライパン調理なら、微妙な温度調節ができるので、失敗しにくい。目で見て、火加減を調節し、ガス火が当たる位置を変えながら焼ける。これは焼肉店のガスロースターと同じ感覚だ。

ここ数年、自宅でホルモンを焼くようになってわかったのが、なんだかんだ、フライパンでも十分おいしく焼ける、ということだった。

食中毒菌が死滅する焼き時間は?

牛のレバーの内部には「O157」などの「腸管出血性大腸菌」がいることがある。これは加熱して食べれば問題はないが、十分な加熱が必要だ。

腸管出血性大腸菌は、中心部まで「75℃」で「1分」加熱すれば死滅する。

「O157」を逆から読んで、
「75℃、1分、○(マル)」と覚えると簡単だ。

お肉検定にも出る「お肉を安全に食べる大事な知識」なので、しっかりと覚えておこう。

豚のレバーの生食も、E型肝炎ウイルスの感染リスクのほか、サルモネラ属菌や、カンピロバクターなどの食中毒のリスクがある。これも、食肉の中心部の温度を63℃30分以上、または75℃1分以上加熱殺菌して食べることが必要だ。

参考:『お肉検定 講習会1級テキスト2018』p51

あとは、おいしいレバーに出会うのみ!

焼肉ホルモン店なら、レバーがおいしいと評判の店を狙うと良いが、レバ刺し禁止令が出る2012年以前に「レバ刺しで評判が良かった店」だとさらにいい。加熱処理が必要となった現在でも、レバ刺し時代と変わらない鮮度の良い肉を仕入れているはずだ。

自宅用ならスーパーで買うよりも、対面販売の精肉店がおすすめだ。注文後に切って量り売りしてくれる店なら、鮮度の良いレバーが入手できる。ブロックで入手すれば、調理する直前に自分でスライスして、新鮮な状態で焼くことができる。

レバーは焼き方次第で「甘くなる」!臭くてえぐいものじゃない!

焼肉のなかで、もっとも焼き方が難しいのは「レバー」かもしれない。いかに新鮮なレバーでも、焼きすぎると余計な雑味やえぐみが出てしまう。そのせいで「臭くて、苦い」と、思っている人もいるだろう。

でも、焼き方次第でレバーは「甘くなる」
低温調理レバーのように、あまく、ねっとりした食感にできるのだ。

ビタミン・鉄分豊富で、栄養たっぷりのレバー。
ぜひ上手に焼いて、おいしく食べてほしい!


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