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ゾンビ企業が急増していることとM&Aの関係【M&A日記】

「ゾンビ企業」25万1000社に急増、 2011年度に次ぐ2番目の多さ

ゾンビ企業が急増しているそう。
ゾンビ企業の定義は、「設立10年以上で3年連続でICRが1未満」であることらしい。

ICRはインタレスト・カバレッジ・レシオの略で、この言葉を覚える必要は全くないと思うが、企業の安全性を示す指標とのこと。
私も全く使わないので、調べて分かりました。

計算式としては、
営業利益 + 受取利息・配当金等)÷(支払利息、社債利息等)
で算出される。

殆どの中小企業の受取利息や配当は微々たる金額なので、要は営業利益で利息を賄えているかを確認する指標。
1以上であれば賄えているし、1以下なら賄えていないということ。

設立10年以上の企業でこれが3年連続で1以下ならゾンビ企業とのことだが、1以下は相当に厳しい。
当然元本の返済は滞っているし、尚且つ利子のみの返済もできないという状況だ。

なんと、このゾンビ企業率が、調べることのできた約10万社の企業の内、17.1%にも上るとのこと。
これはかなり衝撃的。

ゾンビ企業がゾンビ状態を脱却するには利益を上げるしかない。
コロナ禍の影響によって収益性が著しく悪化し、この3年間は特異な環境下でゾンビ化してしまったが、今は収益力が回復していて、ゾンビ状態を脱却している、という企業が少なからずいることを願いたい。

さて、このように企業が大変だというニュースが出ると、私のM&A支援の仕事が活況になりそうだねと言われることが少なくない。

確かに世の不安を煽るようなニュースは、譲渡を躊躇していた経営者の背中を押すことになり、結果として私の仕事に繋がるということはある。

しかし、ゾンビ化している企業は、私の力量では到底力になりえない。
ICRには会社の資産が考慮されていないため、確かに一部ではキャッシュフローは全く回っていないけれども、豊富な資産があるので、その取り崩しで何とかやっていけるというケースはありうる。
しかし大半は、支援できたとしても再生スキームが必要になるだろうし、手遅れのケースばかりだろう。
仮にM&Aができたとしても、そこに価格はほぼつかないだろうし、そうすると私としては手数料を頂くことができず、仕事にならない。

景気が良いほうが、買収企業は豊富な買収資金を有することができるし、状態の良い会社にはしっかりと価値がつくことにもなる。
どちらかと言えば景気の良いニュースの方が私の仕事的にはプラスなのだ。

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