雑学note【第16回】 マラソンはなぜ42.195kmなのでしょう?
フルマラソンの距離は42.195km。それは知っているけど、この距離は一体どこから来ているのか。
これも、知っている人には常識だろうけど、僕たちはまだ知らない。
予想
ちょっと調べる前に予想してみよう。
たしか、マラソンという言葉の語源は「マラトン」とかいう地名だと、聞いたことがある。たぶん、古代ギリシャの地名とかだと思う。
ということは、このマラトンの地で長距離走の競技があったという記録があって、その距離を計ったら42.195kmだったという感じだろうか。なにか、古代オリンピックとも関係があるのかもしれない。
それを予想本命として、いくつか大穴も張っておこう。
「マラトンにはメロスという男がいて、人質に取られた親友のために走った。その距離が42.195kmだった」(そうだとしたら、あの話は盛りすぎだということがわかる)
「マラトン町巡りぐるっとコースという散歩道があって、その距離が42.195km」
「マラトンのゆるキャラ『怪獣マラトン』の体重が42.195キロポンドという設定」
これが当たったら嬉しいだろうな。
あとマラトンは関係ないパターンもありそうだ。
マラソンの語源はマラトンだけど、それは距離とは関係がなくて、オリンピックとかで長距離走が恒例だけど、毎回距離が違うのもなんだよね、みたいなことで、どこかのコースの距離に合わせましょう的なやつ。
お、なんだか、それっぽいなあ。そっちが正解かな。
さあ、この中に正解はあるのか? 調べてみます。
答え
紀元前450年。ギリシャ。マラトンでの戦いで勝利したアテナイの将軍が、勝利を伝えるため、マラトンからアテナイまで、兵士を走らせた。マラトンからアテナイ(今のアテネ)、その距離約40km。その兵士は勝利を報告するとそのまま息絶えた。という故事がヘロドトスの著書に記されている。
その故事にちなみ、1896年の第1回オリンピックで、マラトンからアテネまでの競走が行われた。これがマラソン競技の始まり。
それ以降も、約40kmのコースで競技が行われていたけれど、「約」40kmということで、一定ではなかった。
1924年、第8回パリオリンピックから、距離が42.195kmで統一されることになった。
その42.195kmという距離は、1908年の第4回ロンドンオリンピックの距離(市街地42km+200mトラック一周弱)を採用したものなのだそうだ。
約40kmなのに、なぜやや長めの42.195kmのロンドンに合わせたのか……。もっと短めのコースもあったはずなのに。おかげで後世のランナーは2kmも長く走らされるハメになってしまった。マラソンを走って残り2kmがどうしてもきついと思う人がいたら、ロンドンのコースと同じ距離にしようと決めた当時のパリ五輪関係者を憎みましょう。
ということで、僕の予想、近かった。大まかな距離(40km)はマラトンと関係があって、細かい数字は、大会ごとの走行距離を統一するために定められたものだった。予想以上にスッキリ、納得のいく答えだった。
ちなみに、第1回オリンピックのコースを走る「アテネクラシックマラソン」というのが毎年11月に開催されている。このマラトンからアテネのコースは世界屈指の難コースなのだという。昔の兵士も斃れるわけだ。このコースでいうと、どうやら2004年のアテネオリンピックの野口みずきさんが記録した2時間26分20秒が女子の最高記録で、まだ破られていないらしい。
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