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水分補給が無酸素性運動に及ぼす影響(3%の体重減少によって、上下肢の無酸素性パワー発揮能力が低下、運動中の心拍数上昇、主観的運動強度の上昇、およびレップ数の低下がみられた)

水分補給が無酸素性運動に及ぼす影響

水分補給が無酸素性運動に及ぼす影響については、1~3%余りの体重減少を生じさせる水分欠乏によって、無酸素性パフォーマンスが低下したことが一部研究で明らかになりました。

その中には、水分欠乏によって、バスケットボールとサッカーのスキルパフォーマンスが低下したとする研究もあり、また、筋力とパワーが脱水の悪影響を受けたとする研究もあります。

運動パフォーマンスに水分補給が及ぼす影響

汗で失われる水分を運動中に補給しないでいると、しばしば水分欠乏を起こします。

水分欠乏が生理学的機能とパフォーマンスにどの程度影響を及ぼすかをめぐっては、これも議論の的となっており、実験室環境においては、脱水状態で運動を行うと心拍数と深部体温が上昇する可能性があることが数十年に及ぶ研究データによって示されています。

より近年の複数のフィールド研究では、運動強度がコントロールされたフィールド環境において運動中の水分欠乏が生じた場合、実験室環境でみられたのと同様に深部体温と心拍数が有意に上昇したといいます。

興味深いことに、被験者が脱水状態にあり、運動中の心拍数がコントロールされていた場合には、運動後の心拍数が脱水状態でない被験者に比べて有意に高くなり、回復速度が遅くなりました。

同様に、脱水がレジスタンスエクササイズに及ぼす影響を調査した研究では、体重が3%減少すると、各セット前の心拍数が上昇し、心拍数の回復にも遅れが生じました。

このようなフィールド研究でと実験室研究の不一致は、水分補給がパフォーマンスに及ぼす影響についても認められています。

ACSM(アメリカスポーツ医学会)では、運動と水分補給に関する見解の中で、パフォーマンス低下を防ぐために、2%以上の体重減少を避けることを推奨しています。

パフォーマンスに影響を与える因子

Hayes&Morseは、垂直跳びと120°/秒の等速性レッグエクステンションには脱水の影響はみられませんが、等尺性および30°/秒レッグエクステンションは脱水によってパフォーマンスが低下したことを明らかにしています。
Jonesらは、約3%の体重減少によって、、上下肢の無酸素性パワー発揮能力が低下したことを、Kraftらは、同じく3%の体重減少によって、レジスタンスエクササイズのパフォーマンスが有意に低下し、運動中の心拍数上昇、主観的運動強度(RPE)の上昇、およびレップ数の低下がみられたことを報告しています。

このようなパフォーマンス低下のいくつかは、気分の乱れや認知能力の低下も影響している可能性が考えられており、様々なレベルの脱水に関して、気分の乱れ、集中力の低下、および認知能力の低下が生じることが明らかになっています。

したがって、脱水による生理学的、心理学的な筋力低下が組み合わさって、パフォーマンスの低下をもたらしていると考えられています。

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