見出し画像

【てんちゃん】

  幼稚園の桜はすっかり葉桜。なんども日記にかいておるように、葉桜は刺すような直射日光を受け、お友達にほどよい木漏れ日を柔らかく降り注いでくれるのですごくありがたいのですが、降り注いでくれる物は木漏れ日だけではありません。

 そうそう柔らかい新緑をねらって「毛虫」がついているのです。たかちてんていがお友達に5月10日から5月16日までの愛鳥週間の際「桜の葉っぱにいる悪い毛虫を冒険の森の小鳥が食べてくれるんです。だから小鳥を脅かしたり、追っ払ったりしないでね」なんて言っておったのですが、小鳥もこんなに沢山いる毛虫にお腹いっぱい。どこからともなく毛虫が出てきて、時おり吹く強風で園庭に落ちてきます。あーこんな事を言ったら運動会の時皆で桜の木の下で傘をさすようですね。大丈夫、前々日に害虫駆除を頼んでありますから。

 さて、虫たちがムズムズと活動し始めたのは自然に囲まれた幼稚園だけではないようです。たかちてんていと手をつないでお庭を散歩していた年少さんの女の子。このすがすがしい天気に誘われて2人散歩もほどほどにベンチへ腰をかけるとお友達がこう切り出しました。

 「うちのてんちゃんね〜空を飛ぶよ!」一瞬何を言っているのか解らないたかちてんてい。お友達の顔を覗き込んで「なになに?もう一回、何が空をとぶのだ?」と聞き返すと「てんちゃん!」なんてニコニコ顔なのです。

 「ムムム…てんちゃんですか。てんちゃんて一体だれですか?」って改めて聞き返すと「んーとね、テントウムシ!青い空にぶーんて飛ぶの!ワタシのおうちに沢山いるんだ!」なんて自慢げに言っております。「そうかぁテントウムシがいるのかぁ。いいなぁ。幼稚園にはてんちゃんいないなぁ…」ってお友達に声をかけ、二人青い空を眺めるのでした。二人で見上げた青い空には、羽を大きく広げてナナホシテントウが1匹飛んでいったように見えたのでした。
【2005.524】

いただきましたサポートは、子ども達の為に使わせていただきます!