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人がストーリーに惹かれるのはなぜか。

昔、"プロジェクトX" というNHKの番組がありました。
実際に起こったことをドキュメントタッチに物語化した番組で、
とても好きで僕はよく観ていました。

当時、「なんで僕はこの番組が好きなのだろうか」と考えたことがあります。記憶は少し曖昧ですが、それらの物語には主人公(チームや会社や個人)がいて、彼らは超えることが困難な壁にぶち当たる。
そして仲間の離脱や造反などが起きて諦めかけて。。だけどそこで諦めずに踏みとどまる。苦しみの中で微かな光が差し込み、また団結してみんなでその大きな壁を乗り越える。。。というようなイメージですね。

仮面ライダーやウルトラマンのそれと同じ展開。
最後は成し遂げるのだと知っていてもワクワクしたのですね。

人はその出来上がった「モノ」や「サービス」だけではなく、
背景にストーリーが見えると惹かれ、俄然肩入れしたくなるものなのです。


とまあ、それはテレビ番組の話し。
実際はそんなドキュメンタリーチックに映像化できるわけじゃないから、マーケティングでいうところの「ストーリー」は、せいぜい文字で表現するケースとちょっとした動画で表現することになるのですね。

文字で表現するストーリーというと、その代表格は「小説」でしょう。
小説には恋愛ものもあれば推理ものもある。冒険ものもヒーローものもSFもいろいろ。
小説には「ストーリー」があり、ノンフィクション以外 そのストーリーは要するに「作り話」です。

そんなことは皆さんわかっているのです。この話が「作り話し」だってこと。でも感情移入するでしょう。シーンによっては涙を流すし、面白いシーンでは笑うし、主人公に自分を置き換えるし。

まさにこれこそが「ストーリーのすごさ」ですね。
つまり、「作り話し」だと知った上で読む。それなのに感動する。
この能力はどう説明がつくのか。

言い換えれば小説はただの「文字列」な訳ですよ。文字が並んでいるだけ。でもその文字は読むことで「温度が伝わる」。まるでその物語が現実であるかのような錯覚を与えるほどの力がある。
人の感情を動かして、人の行動までも動かす力。
それがストーリーの力なのです。

私たち事業コンセプターは、
このような「ストーリー」の対義語を「説明」としています。
これもある意味「文字列」。物語ではなく「説明」ですね。

例えば「桃太郎」のストーリーを「説明化」してみるとこうなります。

あるお婆さんが洗濯をするために自宅からほど近い川へ行った。そしてその川でビッグサイズの桃を発見した。その桃を家まで持ち帰り、包丁で切るとなんと「男の子の赤ん坊」が桃から出てきたのだ。

これが よくみるネットニュースと変わらないことに気付いたでしょうか。


この例は「物語」を「説明」に変換するという「逆説」なのですが、
実はビジネスにおいてこの「説明しかしていない」人が実に多いのです。
本当にもったいない。

ストーリーには、「人の感情に入り込むという大きな強み」があります。
人の感情に入り込んだ結果、共感とか共有とか共鳴とかを感じてもらえるのですね。

まだ自分のビジネスを「ストーリー化」していない方はぜひ取り掛かって下さい。きっと今以上に「感情に伝えられる」と思いますよ。


PS...
ちなみに僕は昔、そのストーリー化する能力を鍛えるためにちょっと変わった方法をやっていました。
それは、誰もが知る物語の「敵」を主人公にしたストーリーを書いてみる。というものです。

例えば、先に出た「桃太郎」でいうなら「鬼」。
鬼を主人公にした桃太郎のストーリーを組み立てたりしました。

主人公は鬼。その鬼にも愛する小さな子供がいて家族がある。
(中略)
そんな鬼の一家団欒に「桃太郎と仲間たち」という敵が突然やってくる・・みたいな話だっけかな ^^;

なかなか鍛えられますよ。逆説的なストーリーは昔から実はギャップがあって面白がられています。
ルパン三世なんて泥棒が主人公ですからね。その大泥棒に人間らしいキャラを設定して愛されるように組み立ててる。

あなたのビジネスのストーリーも、いろんな視点で考えれるのではないでしょうか。


では今日はこのへんで。
またお会いしましょう。


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