見出し画像

『4TEEN』『6TEEN』石田衣良

先日、めちゃくちゃ久しぶりに中学の同級生達に会う機会があった。
中学時代も学年の中心にいたような男の子が皆を集めて、私にもラインをくれたのだ。

滝を見に行った時に
おばあちゃんから買った桃
🍑

成人式以来だから、3年半ぶりくらい。
成人式の時にも皆大人になったな〜と思ったけれど、そこからまたそれぞれ大学を卒業して仕事に就いたり、同棲を始めたりしていて、次のステップに進んでいるように感じた。

お調子者のキャラクターだった子が会社を興して運営していたり、
中学の頃からパン屋になりたいと言っていた子がパンの専門学校を卒業して本当にパン屋で働いていたり、
長く付き合った恋人と別れたり、
子どもがいる子が連れてきていた子が可愛かったり、

皆の近況を聞いているだけで楽しかったし、
2軒目に行った中華料理屋で「カツ丼が美味いから」とゴリ押しされてなぜかカツ丼を食べたのもおもしろかった(美味しかった)。


そんなノスタルジーな気持ちを加速させたのが、最近読み終えた石田衣良さんの『4TEEN』と『6TEEN』。

古本屋で購入

『4TEEN』は月島に住む14歳の男の子四人組、テツロー、ジュン、ダイ、ナオトを中心とした何気ない、だが14歳の少年にしか経験できない日々を綴った物語。
『6TEEN』は彼らの2年後の話だ。

中学生の頃から「男子」をちゃんと明確に「異性」として捉えるようになってから成人しても
今でもずっと、「男子」の考えてることはちっともわからない。

「男子」の身体になったことがないし、
「男子」の集団に入ったこともない。

だから、男子中学生が考えていることや言動を『4TEEN』の中の詳細な描写で感じ取ることができて、とてもおもしろかった。

「生まれ変わったら男になってみたい」という願望を『4TEEN』と『6TEEN』を読むことによって擬似体験として叶えられた感じ。

まだ大人になりきっていないけれど、ちゃんと自分の中で自我があって、善悪のラインを自分で引くことができて、大切にするものがあって、恋愛感情を抱いて、でも夕飯の時間に遅れそうになるとちゃんと親に連絡をする。

そんな、大人と子どもの間をゆらゆらとしながら、これから真っ直ぐにすくすくと伸びていく新芽のような瑞々しさがある14歳。

そこから2年経って、
また少し大人に近づいて、性に関するエピソードがより身近になり、選択できることも増えて、それゆえに悩むこともあって、それぞれ別の高校生活を送る中で自転車に跨って、月島で馴染みの四人で集まる16歳。


大人になるにつれて、
仲良かった友だちと会う回数が少なくなってくる。

でもそれは、疎遠になったとか、嫌いになったとかじゃない。
皆進学や就職、結婚を機に、地元を離れたり自分の生活が優先になったりするからだ。

少し寂しい気持ちはあるけれど、
久しぶりに会った友だちと話すとやっぱり楽しいし、仕事を頑張っていたり何かしらで生活が充実していて楽しそうだったりの話を聞くと、こちらも嬉しい。

いつまでも自転車で行ける範囲内で留まってはいられないけれど、車の免許を持ってからも、一緒に自転車に乗って遊びに行く選択を持ち続けたい。

友だちと行ったお祭り

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?