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『社会人大学人見知り学部卒業見込』若林正恭

ずっと大学生でいたい。
早く社会人になりたい。

この二つの相反する気持ちをフィフティフィフティの割合で持ち合わせている、大学4年生の6月。
「社会人大学」というワードに惹かれて手に取った、芸人オードリー若林のエッセイ。


スタバのグランデが頼めない若林さん。
趣味を見つけようと奔走する若林さん。
「頑張れ」に代わる言葉を探す若林さん。
相方の春日に憧れている若林さん。
彼女にフラれて忘れるために走って汗をかいたことを、別れた彼女に「まさやす、がんばったね」と労ってほしくなってしまう若林さん。

どれも等身大の若林正恭で、ネガティブで、人見知りで、自意識過剰で、共感できて、おもしろい。

『牡蠣の一生』というタイトルの回。牡蠣の存在意義を疑問に思う若林さんと、それに答えるおじいちゃん(職業不明)。

「この世に存在する理由には二つあって。一つは何かをしているから存在していいということ。例えば、会社にいてちゃんと働いているからその会社に居ていいって思えるみたいなこと。
二つ目は生まれてきたら、なんの理由も無くこの世界に存在していいということ。

リストラされたりして自殺しちゃったりする人は一つ目の理由が全てだと勘違いしている。リストラされたら会社にも家庭にも自分は存在しちゃいけないような気がして死んでしまう。何もしていなくてもこの世に居ていいのにね。」

何かをしているのに意味が無いのではなくて、意味が無いからこそ"せっかく"だから楽しいことをするのだ。

私も、頑張っている人に「頑張れ」ではなく、別の言葉をかけられるようになりたい。

『大丈夫だよ』の回に出てくる近所のおばさんみたいに、近しい人が悩んでいたり困っていたりしたら、根拠なく「大丈夫だ」と言い張れるようになりたい。

本当に大丈夫かの信憑性はどうでもいい、まず大丈夫と言う。そして、言ったことにより生じる責任を、負おう。


私も、来春に現在在籍している外国語大学を卒業し、社会人大学に入学する。

ピカピカの1年生だ。
期待と不安の二大感情に押しつぶされそうになるが、自分に対しても根拠のない「大丈夫」を言おう。

大丈夫と言うことから大丈夫は始まるのだ。

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