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『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭

「知が増えることで、世界と自分の接点が増える」

前期に取っていた授業の中で、一番おもしろかった仏教美術史の教授の言葉。

その教授は、仏教美術のために中国語を勉強したり、実際に作品が展示されているドイツに行ったりの活動を「推し活」と表現する、なんともユーモラスな先生だった。

毎授業後に提出する生徒の感想や質問に、次の授業で30分〜1時間弱かけて答えてくれて(授業時間90分)、
他大学の教授だったため授業形態はオンラインだったが一番双方向性を感じられて、毎回の授業が楽しみだった。


芸人オードリー若林正恭さんの一人旅記、『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』。

移動中の時間の潰し方は
専ら読書
🐕

キューバ、モンゴル、アイスランド。
どの国にも訪れたことがなく、私には馴染みのない国だ。

目次に並ぶ、おそらく旅行先としてはマイナーな国名を見て、「若林さんは、なぜこの国に行きたいと思ったんだろう」と疑問に思った。

読み進めていく内に、
「知」への探究心がすごく強い人なんだ、と解釈した。

自分が知らないニュースや時事を学ぶために家庭教師を雇って、教えてもらう。
学びによって生まれた疑問を、自らの目で見て解決しようと、一人旅に出向く。
旅先で出会う人や現地の人に、質問する。
わからないことは、やってみる。
情報を自分の経験に変えて、より物事の本質に近づく。

ネットで検索して終わりにするのではなく、
自らの経験を通じて「知」を吸収する若林さんは、かっこいいな、と思った。


「知が増えることで、世界と自分の接点が増える」

私が大学で勉強する理由であり、行ったことがない場所へ訪れる理由であり、本を読み続ける理由だ。

この言葉に出会えただけで、大学行って良かったな、と思えるくらいしっくりきた言葉。

他大学の教授であるためなかなか気軽に会えないのが残念だが、一般向けの仏教美術史の講座も年に数回開催しているらしく、また生徒としてお会いできたらいいな、と思っている。

キラキラ

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