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環境で導く

子供達って、ヴァイオリンが弾きたい、って思ったり、なんとなく習い始めたり...きっかけは様々ですが、プロになるにせよ、アマチュアとして楽しむにせよ「自分にとって音楽ってなんなの?」という問題に楽器の問題を超えていずれ向き合わないといけません。

実際にはプロでも多くの人が綺麗事で済ませてしまいがちな話です。でも、そこで妥協したくないという個人的な気持ちと、妥協の結果を見たくない教師としての矜持があります。

自分自身、小さい時はヴァイオリニストになるんだと思っていましたが、習い事ノイローゼとか中学受験などで遠ざかってしまいました。結果的に戻ってきたわけですが。

そのきっかけの一つとして高校2年の時の文化祭での有志企画がありました。プログラムは友人がブルッフのコンチェルト1番の1楽章、エルガーの愛の挨拶、僕がタイスの瞑想曲、バッハの無伴奏ソナタ1番のプレスト、2人でパッヘルベルのカノン、バッハのドッペルコンチェルトでした。ピアノも2人の同級生。この体験はとても大きくて、「あーやっぱりあの時ヴァイオリンが欲しいと言ったのは間違いじゃなかったな」と思わされて、その後もいろいろあって今に至ります。

「お膳立てなく、やる」っていうのは発表会との大きな違いです。学校という小さな社会の話ですが、それでも「打ち込む」ことで自分と音楽の関わりというのがグッとはっきりします。

昔は発表会も個人で催していたのですが、ここ数年は友人の発表会に加えてもらったり、Cafetalkでウンと立派なホールで、という流れにしていました。

でも、かねてから自分がしたような体験を子供達にも一度は経験して欲しいと思っていました。しかし、なかなか難しいことです。今回やっとこの子には必要だし、この子ならできる、と感じた生徒さんに来月リサイタルをしてもらいます。

会場費やピアニストの謝礼など親御さんの負担も少なからずあるのですが、ご理解の上にとても恵まれた環境を用意してもらって、僕も手伝う予定です。もともと発表会も儲けなしでやるたちなので僕は友情出演です。ステージに立てば生徒とか先生とかマインドとしては関係ないですからね。とはいえ全員やり出したら考えないといけないでしょうが(汗)

自分でチラシを考えて、選曲もプログラム順も考えて、自分でご案内状を出して...こういうことって大きな経験です(それが目的でないにせよ)。そもそも1時間弱のプログラムをその日までに整える...この大変さは発表会に出る程度では申し訳ないですが理解できないでしょう。

彼の壁を一つ越える、というか吹っ切るものを吹っ切れる日にできるように残り1ヶ月しっかり寄り添いたいと思います。



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