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2016年 30冊目『腐ったリンゴをどうするか? 手抜きを防ぐ方法はある』

著者は阪大人間科学研究科教授で、手抜き研究の第一人者の釘原直樹さんの本です。

まず、手抜き発生の4要因です。

1 評価可能性:努力してもしなくても評価は同じ。動機付けされない。

2 努力の不要性:他者が優秀だったり、人数が多くて、私が頑張らなくても大丈夫。

3 手抜きの同調:周りの皆が手を抜いている。俺だけやるのは虐められるし、馬鹿らしい。

4 緊張感の低下:作業がルーチン化して、ダラける。

これらって、とても簡単に書いていますが、その通りですよね。

例えば、共産主義で努力してもしなくても同じなら頑張らないのが、評価可能性。

例えば、綱引きで、人数が多くて頑張らないのが努力の不要性。

例えば、ダメな組織に配属された新人がダメになるのは手抜きの同調。

例えば、中小企業の工場でミスが出やすいのが、緊張感の低下。

では、手抜き対策はどうすれば良いのか?

気をつけるポイントが8つあります。

1 罰を与える!はだめ!:罰を与えることは成果を上げないことが様々な科学的な検証で分かっています。

2 手抜きをしない人を採用する。:主要5因子性格検査で、勤勉性と協調性が高い人は手抜きをしない。(5因子の残りは外向性、情緒安定性、開放性)

3 リーダシップ:部下がリーダを魅力的な人物だと尊敬し、リーダが部下を鼓舞し、知的な刺激を与え、個人への配慮をする。これは成果が出る。ただし、個人能力によるところが高く再現性は低い。

4パフォーマンスのフィードバック:短期的には成果が上がることが分かっている。長期的には様々な変数があり分かっていない。

5 集団の目標を明示する:これは一定の成果を挙げる。女性により効果が出ることが分かっている。

6 パフォーマンスの評価可能性を高める:センサーなどを従業員につけ、コミュニケーションを分析すると、従業員をグループで休憩させると生産性が高まる。従業員が自然に集まる仕掛けを作ると生産性が向上する。

7 腐ったリンゴを箱から除く:これは効果がある。腐るのを防ぐために他者の目を加えると腐りにくくなる。ただし、集団が大きくなると効果は限定的になる。→組織は小さくすると良い。

8 社会的手抜きの知識を伝える。:それだけでは効果がない。組み合わせで効果が出る。

効果が大きいのは、3、4、5、6、8ですね。

納得感高いです。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。

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