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2016年 73冊目『ダ・ヴィンチの右脳と左脳を科学する』

レオナルド・ダ・ヴィンチ、人類の歴史上、芸術と科学の両方でこれほど卓越した地位を獲得した個人はほかにいません。

モナ・リザ、アルノ川の風景、最後の晩餐、首・肩・胸・腕の筋肉、ウィトルウィウス的人体図、ブノアの聖母、洗礼者ヨハネなどたくさんの芸術の大作を残しています。

また、様々な原理を発見しています。

トリチェリの法則、ベルヌーイの法則、ドップラー効果、フェルマーの原理、質量保存の法則、地動説、光の波の性質。これらが数百年後に発見される前に、それぞれについての記述があります。

また、飛行機、ヘリコプター、戦車、回転橋、跳ね上げ橋などの基本原理のスケッチなどもあります。

この本は、この稀代の天才の脳について、外科医であり発明家でありベストセラー作家である「レナード・シュレイン」が書いた本です。

高度な知識も必要なので、読みにくい個所もたくさんあり、読みごたえあります。

ストレート、ゲイ、女性、左利きの脳の違いについて書かれています。

右利きの異性愛男性(RHHM:right-handed heterosexual males)と左利きの異性愛男性(LHHM)、女性全般(F)、ゲイ男性(ESSPM:exclusive same sex preference male),レズビアン(ESSPF:exclusive same sex preference female)は、脳梁の相対的なサイズに違いがあります。

脳梁は人間の脳内の単一構造として一番大きく、左右の大脳半球をつなぐ2億を超えるニューロンを含んでいます。左右の半球で異なる感情や欲望、性癖、意見、感覚体験を調整し、「わたし」と呼ばれる統一された存在が、首尾一貫した反応を外の世界に示すことができるようにしています。

最近の研究で、ストレートで右利きの音楽家でない男性の多数に見られる「標準的な」脳配置に、多くの例外がある事明らかになっています。

最も二分された脳、すなわち2つの半球が最も専門化されている脳は、RHHMです。私ですね。

主要な言語モジュールの97%が左半球にあり、左半球を優位脳にしています。これほどの左右非対称は、他のグループの人たちには見られません。

女性は右利きであろうと左利きであろうと言語モジュールは、左右により均等に配置されていて、80%程度が右脳に配置されています。

また、左右の脳をつなぐ前交連の量は男性よりも女性は3割、ゲイは15%大きいことが分かりました。

RHHM(右利きで女性を好む男性)は、言語のほとんどを左脳が司り、右脳との連絡通路が弱いのです。
逆に言うと女性は左右の脳を使い感情表現ができるわけです。

人間の男性の8%がESSP(ゲイ)で8%が左利き(女性では5%)。男性の8%は色覚異常の遺伝子を持っています。そして8%は壮年期に禿げ頭になります。

レオナルドは左利きでした。(芸術家は左利きが多く、美術学校では3-40%がそうです)

左利きであると同時に両手利きでした。左手を使う事を好んだとはいえ、右手も同様に細やかな運動能力を発揮できました。

レオナルドは逆向けに字を書いた事が知られている歴史手的唯一の人物でもあります。

レオナルドはメタファーを好み、なぞなぞを考案し、絵にメタファーを埋め込みました。これは、脳梁の大きさを暗示しているわけです。左右の脳の機能を使わなければできないからです。

また、レオナルドは女性を性対象にしていなかった可能性があります。解剖図でも男性器の詳細な表現と比較して女性器の粗い描写がその事を示しています。

これ以外にも、当時の歴史、レオナルドの人生、脳についても様々な学びを得られます。サバン症候群の天才性などの記述もあります。

▼前回のブックレビューです。

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