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九州人を描いた戯曲 「花咲く港」

私は福岡県北九州市の出身です。
しかも小倉。やくざで有名です。
その上、時代が昭和なもんだから、人間らしい、人間臭い人が多いです。その人間らしいので、良い面と悪い面を両方をあるわけですが、私は悪い方によくあたり、福岡が嫌になってしまい東京へ行ってしました。

最近は高知県で暮らしていて、日本人の心や暮らしについて考えることが多くなりました。例えば小津安二郎監督の映画で、登場人物の抑揚のない話し方や平坦な言葉の調子などがとても不思議でした。「どうしてあんな喋り方なのかな?」と思っていました。
ところがある時、高知県の四万十町で地元のお祭りに参加している時に、偶然同じ話し方をしている方に出会ったのです。当時の日本人はそのように話していたのです。
それから皆さんと過ごすうちに、とても豊かな感性や心、自然と寄り添う暮らしを知りました。初めて日本人に、日本の心に出会いました。

そこから日本人という民族について考えるようになり、自分の中に確かにある日本人の魂の源が、どこにあるのか、その原点を模索するようになりました。

10月に宮澤賢治さんの「よだかの星」を舞台で上演しましたが、共感しますし、心から納得しますが、その時に感じたのは、東北のお話だなぁと思いました。これも一つの日本人。

次の舞台は「花咲く港」。鹿児島のお話です。
オーデションがあるので読んでいたら、序盤で急に胸がカッと熱くなり、心臓もドキドキ、バクバク、心がそわそわしだしました。そこにいたのは確かな「九州人」。義理人情に熱く、人様に迷惑をかけず、負けず嫌いで芯が強い、損得でものをみるのではなく、人の言動のもとをしっかりとみている人達。
私の中に流れている九州の血が、私の中にある日本魂。
また三好十郎(佐賀県生まれ)の「稲葉小僧」なども読むと、やっぱり九州の人間ななぁと感じます。

日本人の原点の模索は続きますが、私には九州の心があるので、その辺りもこれからみていきます。「花咲く港」の出演が決まったら、九州魂を込めて、人間を考え、役と生きたいと思います。