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雑感100 今日、この場所で

 今日、第41回「一万人の第九」に参加した。文字通り、ベートーベンの交響曲九番を一万人で歌う。大阪城ホール・16,000席の半数以上が合唱団で埋まるという、とんでもないイベントだ。
 もう何回目の参加なのか、覚えていない。はるか昔、二十代のある夏の日、新聞の広告で佐渡裕監督の名前を見つけ、参加するかどうか、ずいぶん迷った。音楽の授業以外での合唱の経験は無し、楽譜は読める、ドイツ語は大学で少しだけ。有名なフレーズは知っているが全体は知らない初心者が、参加してよいものか。
 それでも、佐渡裕指揮で、一般人が参加できるチャンスなんてない。だから、はがきを書いて送った。初めて大阪城ホールで参加した日を、今でも覚えている。何度も楽譜を確認して、ベテランの婦人に「熱心ね」と声をかけられた。無事終わるまで、不安と隣り合わせだった。
 今日、隣の席になった人から「わたし、今回が初めてなんです」と聞いた。楽譜をめくる姿が、あの日のわたしに重なる。
 「今日、ここに一万人が集まったことがブラボーです」と、佐渡裕監督は言われた。コロナ禍で一万人が歌えなかった3年間と、今年の8月から練習をし、無事に舞台に立てたことに思いを馳せる。そして、思い切って応募した二十代のわたしに感謝を伝えたい。
 

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