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かべ

かべが好きだ。

ことばを少し掘り下げると、
適度に囲まれた空間が好きだ。
なので厳密には壁じゃなくてもいいかも知れない。

家の庭なんかでも、面した道路に丸見えであるより、生垣に囲まれているほうが安心する。

壁じゃなくても、囲んでくれるものを広い意味で「かべ」と言うとしたら、
やっぱりかべが好きだ。

今、部屋のカドに向かって座っている。
2方向、背中側を含めると3方向から、
かべ(壁)に囲まれている。
前、壁。左、壁。後ろ、壁(本棚)。
安心だ。

2方向よりも3方向がより安心度が高い。

背中側には本棚をそびえさせている。僕の身長より少し高い本棚。
これを圧迫感とは感じない。だから僕は割としっかりめに囲まれている状態を好むのだと思う。

3畳一間ではないけど、実際、3畳程度の三方を囲まれた静かなスペースで文章を解き放つ。

この状態、これはこれで自分では気に入ってるけど、メタで見ると少々マズイとも思う。悦に入ってる。「解き放つ」とか言っちゃってるんだから。

文章の完成度よりも、そうやっている自分、そうやっている状態のほうに満足しちゃってるフシある。
恋に恋しちゃってる。

ということはだ。
かべに囲まれて何か素晴らしいことを達成するほうではなくて、
やっぱりかべに囲まれている事自体、かべ自体に、
僕は心理的安全性を感じているんだろう。

かべが好きだ。

な。


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