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新人編集者がこの一年で学んだ「編集とは?」

昨年末に編集ライター養成講座に通い始めてから、ずっと疑問だったことがある。

それは、「結局、“編集”って何なの?」ということだ。


一言では言い表しにくい仕事


色んな人に聞いてみたが、その答えは様々。「なんでも屋さん」「とりまとめ役」「ディレクションする人」……そして媒体によっても、仕事内容が異なるというのだから余計にややこしい。

正直、何をするのか掴めなかった。だから、「自分は文章を書くのが好きだし、ライター志望なのかな」と漠然と思っていた。


そんな私が編集者になった経緯


転職活動をするときは、社員でライターを募集している会社があまりに少なかったので、“ライティングもする”編集を視野に入れて探した。

そして、今の編集プロダクションの面接で「自分で文章を書くこともありますか?」と聞くと、こう言われたのだった。

「それは、編集者になった”あなたが決める”ことです」

おお! なんだその良い職業は! ちょうどよい! そしたら編集者になって、業界のことを勉強しながら、文章を書かせてもらおう!

そんな不純な理由で入社した私は、編集者になって初めて、編集の仕事内容と面白さを知ることとなった。


自分の企画を、形にできる仕事


現在、月刊の教育雑誌を担当しているが、毎月のメイン企画となる「特集」は、その月によって全く異なる企画を一から考える。

テーマは時期に合ったもの(受験直前、夏休み対策など)が、大まかに決まっている場合が多いが、「誰に」「何を聞いて」「何を紹介するのか」は、担当者が自由に企画する。

企画した後に編集会議でOKがもらえたら、決められた予算の中で、締め切りまでに誌面を制作するのだが、具体的な制作方法は担当者に委ねられている。

「この記事は自分で書きたい」と思えば自分で書くし、「難しい話題だから、この分野が得意なライターさんに」と思ったらライターさんにご依頼をする。

ここで「文章を書くかどうか決めるのは、編集者」と言っていた意味がようやくわかった。

もちろん雑誌のカラーや品質を守るため、ある程度の制約はある。しかし、自分が話を聞きたい人に聞きたいことを聞いて、企画が形になっていくのはとても楽しい。

入社前に抱いていた「文章を書きたい」というのは、詳しくは「自分で考えた”文章”を形として残したい(発表したい)」ということだったと思う。

それが文章なら誌面の一部だが、編集は「自分の考えた”企画”を形として残せる(発表できる)」仕事であると分かった。


締め切りとプレッシャー


そうは言ったものの、「自由に企画を実現」というだけなら、自分ひとりでWEBメディアや雑誌を作っても良いはずだ。自分で運営するメディアと会社で制作する月刊誌の違いは、「締め切り」と「プレッシャー」だと思う。

月刊誌は、毎月必ず「締め切り」が来る。どんな事情があっても、納品日を後ろ倒しすることはできず、締め切り日にはデータを印刷所に送らなければいけない。

「締め切りを守らないといけない」という「プレッシャー」に加え、版元が満足できるクオリティの雑誌を制作しなければ、制作委託先を他の編集プロダクションに変えられてしまう、という「プレッシャー」もある。

「締め切りまで時間がなかったので……」

締め切りがあることを言い訳の材料として使いがちだが、私は締め切りがないと自分を奮い立たせられない、仕方ない人間だ。

締め切りがあるからこそ、“火事場の馬鹿力”を発揮し、クオリティが上がるとすら思うくらいだ。

そして今年実感したのは、そんな風に締め切りに追われて、発表する場があることは、自分を成長させるチャンスで、とてもありがたいということ。

この『日刊かきあつめ』も、14人のメンバーで毎日順番に投稿するという「締め切り」があって、”みんなで頑張ろう”という気持ちやこれまで100日以上投稿が続いていて“絶対に落とせない”という「プレッシャー」があるから、書き続けられた。

だから来年も、締め切りに追われ、プレッシャーを感じながら、火事場の馬鹿力を発揮できる「心(眠気に負けない心)・技(短い時間で上手に書く技術)・体(眠くならない体)」を身につけていきたいと思う。うす!

編集:ほんさち子

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