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大河ドラマ『光る君へ』(13)「進むべき道」の感想

 しばらく間があいてしまいました。

 寛和の変は、花山天皇を〝利用しようとした〟藤原義懐と藤原惟成を出し抜き、兼家一家が勝った。みたいな形になりました。

 義懐は花山院の葬送まで奉仕している忠臣だと思っているので、ちょっと残念。(惟成はこれからほどなく亡くなります。)

 しかし、ドラマとしては、次の展開が見逃せなくて、とてもおもしろいです。

定子入内

 『枕草子』好きとしては、まだ幼い一条天皇と定子が仲を深めていく過程は、なんと微笑ましいことか。

「主上(おかみ)が好きなものはなんでも好きになります」

 これまで、いとことしておさなじみとしてすごしてきた定子の后になる決意と、一条天皇をいたわるやさしさが表れていて、この場面はとても好きです。
 虫は苦手と素直に言えちゃうところは、少女らしくて、かわいかったです。

政(まつりごと)は誰のため?

 この頃の社会的事件は、歴史の授業でも習いますが、「尾張国郡司百姓等解文」

 詳細説明は省きますが、尾張に限らず、国司の横暴はひどいものでした。

 国司の任期が終わると、評定があります。(受領功過定)
ざっくり言うと、納めるものをちゃんと納めてるか、調べられるのです。

 納め終わらないと、例え昇進が決まっていても、次の職につけません。だから、国司たちは必死です。一方で、納めていれば、あとは搾取し放題だったのです。

 尾張の国の窮状が聞き入れられたことは、苛政に苦しむ民の希望になり、訴えが増えました。
 しかし、のちの世ほど民を憐れむことなんてありません。

 兼家は政は〝家のため〟と道長にいいました。

 人は死ぬ。
 でも、家は死なず、守られれば、続いていく。

 道長もまた、将来、後継者や天皇との外戚関係を守ることに奮闘します。

 ドラマで、まひろが子供を奪われた母親をみて、文字を教えようと決意します。
 でも、貧乏なお姫様の自己満足にしか見えませんでした。結局、勤め先を探さないと自分すらやっていけない。

 将来書く源氏物語だって、貴族社会のことでしかない。当時の庶民が読めたとしても、心からおもしろいと思えるのでしょうか。

 もし、民を一様に慈しむ政をドラマに盛り込むなら、このあたりもどう描かれるのか気になります。

 ただ、本当に貴族だけのための政ばかりではなかったと、私は思っています。
(2024年4月7日22時一部追記)

貴族に生まれるには

 この時代、民を憐れまなかった理由はいろいろありますが、その中の一つの不条理なこと。

 貧しい家に生まれるのも、豊かな家に生まれるのも、それは前世の行いによるのだと。
 だから、貧しいのは仕方ない。
 
 女は女のままでは成仏できない。まずは男に生まれ変わらないといけない。そして、徳をつんで、やっと極楽へいける。 

 財を積むほど、救いは近くなる。

 おかしいと思うのはだれしもだったのでしょうか。中世には、庶民も救われる新しい仏教が次々誕生します。

 そして、身分の低いものも、武力で権力を奪い取ろうとしていきます。

恋文はオープンなもの?

 ドラマの話に戻ります。あの日から、道長は貴族らしく家庭を営んでいました。
 でも、庚申の日にまひろと想いを通じ合せられなかった足で、倫子のもとに押しかけて、倫子にはずっとわだかまりが残ってました。
 まさかのまひろの漢詩が見つかるなんて!

 前回は道長のまひろ宛の文が、弟の惟規に先に読まれ、今回は伊周が定子に文の下書きを盗まれ、倫子は道長の隠していた文を見つけ…、秘めた恋は難しい(笑)

 ただ、この頃って、文は回し読みして、相手を評価していたと言いますし、文が届けている最中に紛失することもあったとも言いますからね。

 有名な歌人は恋文の代筆を時々してますし、例えば、藤原実方は贈る歌をあらかじめ、親しい人に見せて、感想をもらうこともあったようです。
 包み隠そうにも恋は漏れてしまう。

明子の生き甲斐

 道長の未練は…。この話は第14回にわかるのでしょうか。
 まひろと倫子、道長、気まずさを想像すると、見てられない。
 もう一人の妻源明子もここに入るはずではと思うのですが、彼女は、新婚生活より、兼家を呪詛することに生き甲斐を感じているようです。むしろ生き生きしているので、兼家がそろそろ亡くなりそうで、心配しています。

漫画

 御嶽詣で帰りのハデハデ宣孝もかわいかったですね。そして、息男をまひろの婿にすることは強く拒むのはなぜ?

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