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6年ぶりにネイルサロンに行ったら、多幸感で仕事の効率が体感30%上がった話

久しく足が遠のいていたネイルサロンに、実に6年ぶりに行った話をしたい。


場所は、家からほど近い雑居ビルのなかにある個人サロン。
冗談抜きで、我が家があるマンションのエントランスからドアトゥドアで2分くらいの場所にある。
土曜の夜に急遽思い立ち、夫に息子を頼み、ホットペッパービューティでぽちんと予約送信しておいた。

サロンの中に入ると、オーナーであるネイリストが出迎えてくれ、しっとりとカウンセリング。
爪に自信のない私は、恐る恐る自分の両手を差し出したが、何か指摘をされるでもない様子に心底安堵した。

最初に爪の形をヤスリで整え、ぬるま湯に浸けて指全体を柔らかくし、歯医者のドリルのような器具で優しく甘皮を削っていく。
少しずつ丸裸になっていく指先に、だんだんと高揚していく心。
何かお好きな色はありますか、と運んできてもらったネイルカラーサンプルは、螺旋階段のように順々にグラデーションを描いていて、それもまた胸の内を熱くさせた。

じゃあこれで、と控えめに2色を選択。
ジェルの下地をたっぷり塗られた私の爪が、文字通り鮮やかに色づいていくのをただただうっとりと眺めていた。


前回ネイルに行ったのは6年前、自身の結婚式に向けたメンテナンスのためだった。
そのころは大阪に勤めていて、社会人1年目の終わりころから半年くらいネイルに通っていた期間もあった。
月に一度のネイルが大好きだったけれど、仕事に忙殺され電車で通う距離がしんどくなり、結局続きはしなかった。

私の爪は、短い。
いわゆる深爪であり、集中していると指の皮をむしってしまう癖もある。
長年地味に自傷行為を受け続けてきた私の指先は、年中ささくれていて皮が分厚い。

仲のいい友人の、縦長の爪が羨ましかった。
サロンはお金かかるから、自分でマニキュア塗ってるんだよね〜とため息をつく友人の悩みすらも、羨ましくてたまらなかった。
でもどんなに羨ましがったって、自分の爪が一晩のうちに姿を変えることはなくて。
丸く不恰好な指先と、その先にちょこんと乗っかった爪を見つめては、もう少しで諦められそうなのにやっぱり可愛くなりたい、なんてパラドックスに心を踊らされていた。


ライターとしてインタビューや取材を生業にしている関係で、初対面の人に対面する機会が増えた。
挨拶を交わし、スッと名刺入れを用意し、中から一枚取り出して相手に渡す。
その度に「あぁ、見ないで……」と密かに念じる自分がいる。

ボイスレコーダーのRECボタンを押し、メモ帳を開いてペンを走らせる。
そしてそのときも、「ああぁ、やっぱり見ないで……お願い……」と念じている。

そんな自分が嫌で嫌でしょうがなかった。


ネイルサロンからの帰り道、6年ぶりにおめかしした自分の指先にたまらなくなり、なんてことのない道端で写真を撮った。

まだまだ小さい、丸い爪。
その狭い範囲いっぱいに季節を感じさせる淡い色がのり、幸せを放出している。
叶うことなら、この爪をすれ違う人全員に見せつけて、「いいでしょ〜かわいくな〜い?」と自慢したかった。

そして6年ぶりのネイルに行ってから数日経った今。
不思議なことに、記事の執筆スピードがなんとなく上がっているような気がしている。
例えば過去は3時間かけて書いていたような記事が、今は体感2時間くらいで仕上げられるように。
執筆スピードだけでなく、不測の対応や以前ならいらなく気にしてしまうようなちょっとしたことへのメンタルブレイクも、あまりない。

キーボードを叩く指先が、かわいい。
オンラインの打ち合わせ中、ワイプに映り込む自分の指先が、かわいい。
たったそれだけのことなのに、心が浮ついて、ちょっとしたことも全然気にならなくなって、不思議。

お仕事効率上げるために、来月も指先におしゃれを添えよう。
次回の予約が今から楽しみで、るんるんだ。

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