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不思議な体験記【あの世のじいちゃんは幸せそうだった編】

夢をよく覚えていることが多かった私は、その日の朝も、今見ていた夢の余韻に浸りながら目が覚めました。
数年前に亡くなった祖父の夢です。
以下、夢の話です。

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その日、なぜか実家にはたくさんの人が集まってドンチャン騒ぎでした。
祖父をお祝いしている何かのイベントのようです。
宴もたけなわ、お開きとなり、客人達はそのままゴロゴロと横になり寝始めました。
私は主役の祖父を探すと、白装束の祖父が細長く狭い箱の中に入って休もうとしています。どう見ても棺桶なのですが、夢の中の私はそれと分かっておらず、「おじいちゃん、そんな狭い所で寝ないで、こっちの広いところにおいでよ」と声をかけました。
すると祖父は「せっかくお父さん(私の父、祖父の息子)が用意してくれたんやから、わしはここで寝るわ」と、ニコニコと嬉しそうに棺桶に横になりました。
その棺桶の後ろには金屏風が張られています。
金屏風の前に棺桶…。
現実的にはあり得ませんが、祖父はとても誇らしげで幸せそうな寝顔でした。

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目が覚めて、「ああ、おじいちゃんはあの世で幸せなんだろうな」と、ちょっとほっこりした朝でした。

その日は仕事だったので、出勤し、いつものように働き、21時頃会社を出ましました。
ビルから出ようとする時、実家から電話が入りました。父でした。
「お前は東京で遠いからもう声かけへんかったけど、昨日おじいちゃんの7回忌の法事したからな。報告だけしとくわ」

え!
昨日、おじいちゃんの法事したの!?
親戚が集まって、おじいちゃんを偲んだの!?

あまりの驚きに思わず、
「おじいちゃん、嬉しそうだったよ!」
と言ってしまいました。
「金屏風の前の棺桶に入って、『お父さんが用意してくれた』ってとっても誇らしそうだったよ!とっても喜んでたよ!」
興奮が空回りし、昨日こういう夢を見たんだとの説明が後になってしまったせいか、父は唖然としながら「へえ~」と冷静に返すのみで、この興奮が全く届いていないことがどれほど歯痒かったか…。

電話を切ってビルを出て、夜の東京日本橋を1人歩きながら、じんわりと祖父を想いました。
両親共働きだった家庭で、私は祖父母に育てられたようなものでした。特に祖父の私の溺愛ぶりは自分でも持て余すほど。

おじいちゃん、法事に私がいなくてガッカリして、わざわざ会いに来てくれたのかな。それとも、こんなに立派な法事をしてくれた、わしの自慢の家族だと、見せびらかしに来たのかな。

亡くなった人がどんな想いでいるのか、なんてナンセンスすぎて考えても無駄なのかもしれませんが、個人的にはこの体験をしたことで、亡くなった人にも想いはあって、その想いに遺族は応えていく必要はあるのかなと思います。

お盆ですね。
ちゃんとお墓参りをして、お仏壇にお供えをして、かつて愛してくれた家族を偲ぶ。
それがどう大切なのかは現実的には説明できませんが、どんなに非科学的でも「大切な人には亡くなっても幸せでいて欲しい」という、ただただそれだけの想いで毎年繰り返そうと思います。



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