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ワイン醸造シーズンの到来:発酵資材の注文【ほぼ週ノーザン】

今シーズン発注していた発酵資材が届きました

いつもストックしていた酵母や資材がなくなったので、今シーズン発注しました。いつもと違う酵母も使ってみようと準備しました。


酵母

今回3種類の乾燥酵母を購入しました。
ワインの乾燥酵母は、ワイン醸造プロセスにおいて重要な役割を果たす微生物です。乾燥酵母について詳しく説明すると

  1. 乾燥酵母の役割: ワイン醸造において、乾燥酵母は主要な役割を果たします。醸造家は通常、ワイン醸造用の乾燥酵母株を選択し、醸造プロセスに導入します。乾燥酵母は、ワイン醸造の初期段階で糖分をアルコールと二酸化炭素に発酵させる役割を担います。これにより、ワインはアルコール度数が上がり、炭酸ガスが発生します。

  2. 乾燥酵母の選択: 醸造家は、ワインのスタイルや味わいに合わせて特定の乾燥酵母株を選択します。異なる酵母株は異なる風味特性を持っており、ワインに特定の香りや味わいを与えることができます。選ばれた酵母株は、ワインの品質やスタイルに大きな影響を与えます。

  3. 乾燥酵母の供給: 乾燥酵母は、生きた酵母細胞が乾燥させられた状態で市販されています。これにより、酵母は長期間保存可能で、醸造家が必要なときに使うことができます。酵母を使う前に、通常は水やワインに再活性化されます。

  4. 酵母の役割: 乾燥酵母は、糖分をアルコールに変えるだけでなく、ワインの風味や香りにも影響を与えます。特定の酵母株は、フルーティーな香り、スパイシーな風味、まろやかな口当たりなど、様々な特性をもたらすことがあります。また、酵母はワインの安定性にも寄与し、不要な微生物の増殖を抑制する役割も担います。

ワインの乾燥酵母は、ワインの品質やスタイルを決定する重要な要因の一つです。醸造家は適切な乾燥酵母株を選択し、醸造プロセス全体を管理して、希望するワインの特性を実現します。

購入した酵母


ペクチン分解酵素

ペクチン分解酵素の役割は、果実やワイン中のペクチンを分解することです。ペクチンは果実の細胞壁に存在し、果汁中にも一部が含まれています。ペクチンは多糖類のポリマーであり、果実のテクスチャーや濃度、ワインの澱に影響を与えるため、ワイン醸造においてその役割は重要です。以下は、ペクチン分解酵素の主な役割について説明します。

  1. 澱の改善: ワイン醸造中、特に白ワインの場合、ペクチンはワイン中の不溶性澱(澱粉、タンニン、蛋白質など)と結合して沈殿物を形成することがあります。この沈殿物はワインの外観や風味に不要な影響を与えることがあるため、ワインクリアリング(澱除去)プロセスが重要です。ペクチン分解酵素は、ペクチンの分解に寄与し澱除去を容易にし、オリ引きの改善、清澄濾過の改善、クリアなワインを生み出すのに役立ちます。

  2. ワインの安定性: ペクチン分解酵素は、ワイン中のペクチンを分解することにより、ワインの安定性を向上させます。ペクチンはワイン中でゲル化反応を引き起こす可能性があり、これによりワインの濁りや不安定性が生じることがあります。ペクチン分解酵素は、この問題を軽減し、ワインの安定性を確保します。

  3. 搾汁率の向上: ペクチン分解酵素により、果汁中のペクチンが分解され、果汁がより効率的に抽出されます。これにより、同じ量のブドウからより多くのジュースを取り出すことができ、搾汁率が上がります。

  4. 色の安定性向上: 赤ワインはペクチン分解酵素の使用により、色の安定性が向上し、ワインが長期間維持される可能性があります。これは、赤ワインの熟成ポテンシャルを高めるのに役立ちます。

ペクチン分解酵素はワイン醸造において重要な役割を果たします。ペクチンの分解により、ワインの外観、風味、口当たり、安定性が向上し、高品質なワインを生産するのに貢献します。醸造家はワインのスタイルや特性に合わせて、必要に応じてペクチン分解酵素を使用します。

ペクチン分解酵素

DAP(酵母の栄養源)

DAPはワイン醸造において窒素源として使用される化合物であり、DAPの主な役割について説明すると

  1. 窒素源: DAPはワイン醸造において窒素源として使用されます。窒素は酵母の生育と発酵に不可欠であり、酵母がブドウの糖分をアルコールに変えるために必要な栄養素の一つです。DAPは酵母が必要な窒素を供給し、酵母の増殖と発酵プロセスをサポートします。

  2. 酵母の健康維持: DAPは酵母の細胞膜の構成要素であるアミノ酸やタンパク質の合成に必要な窒素を提供します。これにより、酵母の健康を維持し、発酵プロセスを安定させる役割を果たします。健康で活発な酵母は、ワインの発酵が順調に進行し、望ましい品質のワインを生産するのに役立ちます。

  3. ワインの品質向上: 適切なDAPの供給は、ワインの品質向上に寄与します。窒素が不足すると、酵母が発酵を停止したり、不完全な発酵産物を生成したりする可能性があります。DAPの適切な使用により、ワインのアルコール度数、風味、香りなどの特性を制御し、バランスの取れたワインを生産するのに役立ちます。

要するに、DAPはワイン醸造において窒素源として重要な役割を果たし、酵母の健康状態や発酵プロセスを改善し、高品質なワインを生産するために不可欠な要素の一つです。醸造家は、DAPの適切な量とタイミングを管理することで、ワインの品質と特性をコントロールすることができます。

DAP

MLF乳酸菌スターター

乳酸菌スターターの使用は、ワインの品質や風味を改善し、「マロラクティック発酵(MLF)」と呼ばれる段階で使用されます。MLFはリンゴ酸を乳酸に変換するプロセスで酸をまろやかにします。乳酸菌スターターの使用についての詳細を説明すると

  1. 醸造プロセスへの乳酸菌スターターの導入: 乳酸菌スターターは通常、ワイン醸造プロセスの特定の段階で導入されます。主に、アルコール発酵が終了した後の「マロラクティック発酵(MLF)」と呼ばれる段階で使用されます。MLFは、リンゴ酸を乳酸に変えるプロセスで、これによりワインの酸度が調整され、風味が改善されます。

  2. 効果と利点: 乳酸菌スターターを使用する主な理由は次の通りです。

    • 酸度の調整: MLFによって、ワインの酸度が調整され、酸味が柔らかく、口当たりが滑らかになります。特に赤ワインの場合、酸度の調整は非常に重要であり、乳酸菌スターターはその役割を果たします

    • 風味と香りの向上: MLFによって、ワインの風味と香りが改善され、ワインが複雑で魅力的なキャラクターを持つことがあります。乳酸発酵が終了すると、ヨーグルトのような香りや風味が生まれることがあります。

  3. スターターの選択: 乳酸菌スターターは、醸造家が特定の乳酸菌株を選択して導入することが一般的です。異なる乳酸菌株は異なる風味特性を持っており、ワインのスタイルに合わせて選択されます。

乳酸菌スターターの使用は、ワイン醸造において酸度の調整や風味の向上など多くの利点をもたらします。ワインのスタイルや特性に合わせて適切な乳酸菌株を選択し、プロセスを管理してワインの品質向上を追求します。

MLF乳酸菌スターター

ざっと購入したものを紹介しましたが、記事が長くなってしまうのでこの辺で。個々の説明も掘り下げると一つの記事になるので、これもそれぞれ記事にして説明しようと思います。

これらの資材を使わない天然酵母による醸造プロセスもここ2−3年チャレンジしてきたので、そちらもまた説明していきます。

ノーザン
若林


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