【ほぼ週ノーザン】ワイン造りの方向性vol.13
2008年からワインブドウを育て始め、初リリースしたのが2012年のヴィンテージ。当初は全体のコンセプトどころの話ではなく、ワインという形になったことがすごくうれしくて、うれしくて。
自然派にあこがれて。
ブドウ畑を始めた当初は自然派に憧れていて、「自然に寄り添うワインを」とかコンセプトを作り自然派の本を読み漁り、オレは自然派ワインを作るんだと息巻いて、自然派ワインを飲みまくりました。本によると自然派というのは無農薬有機肥料を使い畑にあまり介入せず、醸造においても人があまり介入することがよしとされていない。
当時はホントにこのスタイルがかっこよくて自分もこのスタイルでやっていきたいと思っていました。
実際にやってみた自然派。
よく新規就農者は有機栽培やオーガニックに憧れて始める人が多く、3年以内にやめてしまうことも多い。と言われています。
まったくその通りだと思います。実際にやってみると病害だらけになるし虫が大量発生したり。うちの場合、初年度に3分の1が枯れてしまいました。
どうしたものかと専門の書籍を見ても慣行農業のことしか載っていない。
初めの数年は試行錯誤で大量発生してしまったマメコガネという虫を手ですべて捕殺するという途方もないやり方で。もうそれはトライ&エラーの繰り返しでした。
自然に任せるどころではない、農薬も使用を控えると雑草だらけで、作業が追い付かないと雨で蒸れて病気になってしまう。毎年、収穫量が減っていってしまう。
なんとかしないとは思ってはいるのだけど、ワインブドウ有機栽培の情報もない。木村さんがリンゴの自然栽培に成功したという情報はあふれかえっているけど、木村さんのリンゴを市場で見たこともない。食べたこともない。詳しい栽培技術情報も見当たらない。
ホントにできるのか自然派。
自然派と向き合い、ホントにうつ病になり不作で経営が傾き倒産しかけました。はたと我に返り、オーガニックだとか有機栽培だとか世の中を観察してみることにしました。法律的なことでいえば有機JAS認証というものがあり、これを取得してないと有機だとかオーガニックだとか名乗れないのですが、実際取得している人たちは1%にも満たないのです。99%以上が慣行農業ということになります。メディアがオーガニックだとか有機栽培だとか取り上げていますが、言葉だけが独り歩きして、イメージだけが先行しているようです。
ワインブドウに目を向けてみると明治初期に政府主導でヨーロッパ品種が導入され栽培が始まったのですが、ほとんど失敗しています。川上善兵衛さんはこれはもう無理ということで、日本で育てやすい品種を独自に交配させ誕生させました。マスカットベーリーAやブラッククィーンといった品種です。
結論をいうと、すでに農薬を使用しない栽培でヨーロッパ品種は無理と答えが出ているわけです。山ぶどうとの交配品種は非常に強くオーガニックに向いているといわれるようになってきました。
どこまでできた?自然派。
うちのブドウ畑で実際できていることは
1.除草剤を使わない
2.化成肥料を使わない
3.殺虫剤の使用が減りました
しかし実際には農薬に頼らない選択をしているので、風通しよく、間隔を広めにとった方法を採用しているので収穫量は通常栽培の2分の1となっています。10アールあたり450kgしか収量が上がっていません。
これがうちの実態です。この状況では有機JAS認証は取得できません。つまり慣行農業のままです。有機栽培、オーガニックとは名乗れないのです。
やめよう自然派。
10年以上やってるのにうまくいかない。名乗れないオーガニック。
世の中見てみると有機JAS認証を取得してないのにオーガニックと名乗っている、オーガニック風味を出しているところがうじゃうじゃいます。
これ最近言われている「グリーンウォッシュ」というやつでオーガニックだとかサスティアビリティをうたって企業イメージを良く見せかけるアレです。
ある有名なワイナリーさんで有機JASを取得して、日本の自然派として牽引してきた方が有機JASの更新をやめました。今後は自然派とかくくりをつけたくないと。客観的に見て10年続かなかったと認識しています。
日本のオーガニックの認証システム自体があやしいのかもしれません。毎年更新にすごくお金もかかりますし。オーガニック野菜も一般のスーパーにあまり出回っていないので流通や評価の仕方がおかしいのかもしれません。
違うコンセプト新しいコンセプト
自然かそうでないかと考えることをやめました。日本的な考えかたでいうと、そもそも自分自身が自然そのものです。自分の体って意識して心臓を止めることができません。勝手に動いてます。おなかが減れば意識しなくても勝手に何か食べています。保護猫たまちゃんの顔を見てたら、目があり耳があり鼻があって口がある。あぁ人間と親せきじゃないですかと。笑、あぁこれ自分が自然の一部でありそのものなんだと思うわけです。
結論。私自身が自然そのものです。完
自分なりの結論が出ましたので、これ以上、自然派を深堀りするのはやめます。今自分が面白いと思っていろいろ検証してみたいことがあります。
それは「意識」です。
量子物理学の世界では、シュレーディンガーの猫と呼ばれるの実験において
ものごとは事象は重なり合った状態で存在し、それを人間が観測することによって事象が収縮して結果が定まる。という何とも不思議な量子物理学なのです。人間の意識が観測することによって結果が変わってしまうんです。
そういわれてみれば、ダイエット中に毎日体重計にに乗って体重を意識していると、たいしてなにも運動とかしてないのにどんどん減っていきます。意識をそこに向けているだけで改善していきます。
筋トレするときも、ただウエイトを持ち上げるのではなく、どの部位をトレーニングしているか意識することで効果がよくなります。
今自分が注目しているのは「量子物理学と意識」です。
今後はこれを探求して深堀りしたいと思います。意識の使い方、フォーカス、集中力の使い方etc。
なんと名付けましょうか。
「宇宙派ワイン」笑
また独り言、寝言のようになってしまいました。
また来週ごきげんよう。
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