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ゾンビ映画あるあると考える【アイデア保管庫#2】

結構前から盛んに作られるゾンビ系パニックもの。映画に限らず、漫画や小説、アニメで懲りもせず似たような展開が繰り返される。そんなゾンビものテンプレートを逆張りでツッコミを入れていく。

「んなの分かって楽しんでいるんだよ!」とお怒りのあなた、そっとブラウザを閉じてもいいが、テンプレートじゃなくてもゾンビものを面白くすることができるということを知ってもらいたい。

あるある#1 一夜で街がゾンビだらけになる

ショッキングだけど現実では多分起きない。短時間で感染が急拡大するということは、それだけ感染から発症までの期間が短いということである。すると、誰がいつ感染したかの特定が簡単になり、感染経路の特定も容易になる。隔離期間も短くて済むし、検疫が楽になる。結果、ウイルスは広がる前に初動で抑えられてしまう。

さらに言うと、噛まなければ感染しない(体液感染)のはとても感染速度が遅く感染経路も特定されやすい。一気に広がるならそれこそ飛沫感染や空気感染である必要がある。

仮に感染爆発が起きたとしても、情報はウイルスよりはるかに速く拡散するので、大都市の道路は脱出しようとする市民で溢れかえるだろう。例えば銀座にゾンビが出現し、それがニュースに載ったとする。それを見た一部の市民が、ゾンビが来る遥か前から逃げようとして、池袋は埼玉県民で、品川は神奈川県民で、新宿は多摩方面市民で溢れかえる。避難しようと思っていなかった人も、騒ぎの雰囲気に飲まれて逃げようとする。するとますます道路は人で溢れかえりあらゆる交通機関は麻痺する。その間、ゾンビは数時間/数日かけて都内全域に広がり、大渋滞にはまっている市民に襲いかかる…そうしてウイルスは農村部に持ち込まれ、ゾンビが国全体に蔓延するというプロセスを辿る可能性が高い。

あるある#2 生存者が殺し合いを始める

嘘。困難な時ほど人間は団結力を高める。貧しい農村部や開発途上国の人々が家族や地域とのつながりが強いのに対して、豊かな国の人は隣の部屋の住人の名前も知らないし、親にも数年に一度しか会わない。東日本大震災では、一部で犯罪も起きたが、市民は自警団を組織し復興作業にも協力して取り組み、平時より強固なつながりを発揮した。苦しく辛い時ほど、人は互いに寄り添い合い、自分の強みを活かし弱点を補ってもらおうとする。

また団結のある集団では人の優先順位が変化し、個々の利益より集団の忠誠を優先するようになる。戦争末期に人が狂ったように武器をとって戦い続けるのと同じ心理である。

集団の強さを本能的に理解している人類は、他の集団と出会った時にまず友好的な関係を築こうとする。そのため、時間が経てば経つほどより大きな(数百人・数千人規模)避難民の集団が形成される。アフリカなどの難民キャンプでは大きな騒乱なしに数十万人の避難民が集団で生活できることから、人間の社交的能力の高さが窺える。

稀に盗賊集団など危害を加える集団がいるが、母数が少ないため遭遇する機会も少なく、また他の友好的な集団から爪弾きにされるので割と早くゾンビに食い殺されるか、解散して別のそれぞれ集団に組み込まれていく。

あるある#3 銃で戦う/少人数のグループで戦う

不可能。まず銃があっても銃弾が圧倒的に足りない。次にメンテナンスを必要とする銃は劣悪な環境下では割とすぐに使い物にならなくなる。そして音が大きいので、従来のゾンビの解釈に従えば音に惹きつけられてしまう。第四に、銃弾を正確に当てるのは難しく、訓練が必要である。最後に、銃火器は殺傷力というよりはもっぱら威嚇射撃で相手の恐怖心を煽るために使われているので、恐怖心がないゾンビに対しては有効性がずっと落ちるというのである。

その代わり、槍を装備して大人数で密集した隊形を組む方が合理的である。第一に槍はメンテナンスが容易である。第二に、訓練があまり必要なく、生存者のほとんどを動員することができる。第三に、銃ほどではないにせよ、リーチが稼げて感染リスクが低い。

このように主力は密集隊列を組み、その両翼に、狙撃に優れたスナイパーや投石兵などを置くと良いだろう。

あるある#4 缶詰で食いつなぐ

ダウト。物流・生産が止まればスーパーの缶詰など一週間も持たない。持続的な食糧生産なしには、ゾンビ禍が終わってもすぐに飢饉が到来し、その際ウイルスそのものよりはるかに膨大な犠牲者を出すだろう。歴史がそれを物語っている。中国などは、王朝が滅亡するたびに戦乱が起きるが、戦争自体の犠牲者は数十万人にもかかわらず、その後の生産・物流システムの混乱で大飢饉が発生し数千万人が犠牲になる。ゾンビと何年も戦うには、農村部に逃れてそこで農業に従事するしかない。

あるある#5 優秀なワクチンが開発されて一件落着

ありえない。コロナ騒動においても、ワクチンの有効性を疑問視し陰謀論に傾倒した市民が数多くいた。まして、土壇場で完成された対ゾンビウイルスワクチンなど、衆愚に信用してもらえるはずがない。また、「人口削減のために政府がゾンビを作ったのだ!」という陰謀論が生まれ、巷に流行ること必定である。「ゾンビにだって人権がある!」と主張し出すリベラルも必ず生まれるであろう。

(書きかけです)

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