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皆、何かあったら『Murder-Set-Pieces』を観るといいよ。

えー、『Murder-Set-Pieces』(2004)という映画があります。どんな内容かと申しますと、ネオナチのドイツ系アメリカ人がとち狂って売春婦をブチ殺しまくるだけの映画です。残酷描写のカジュアル化がすすんだ今、改めて見返すと、そんなに残虐な映画ではないのですが、20年前は相当衝撃的な内容だったんですよ。

ただ殺すだけではなく、手の甲に釘を打つ、鼻腔の境目をむ……ああ、もういいか。そんな拷問をひたすら繰り返した果てに、頭をチェーンソーでウィーンウィーンとカチ割るもんですから、初めて見たときは心ときめきましたね。逃げ回る幼女を背後からカミソリでザックザックと切り裂く場面から摂取できる背徳感の素晴らしさよ。
発売直後は、制作者ニック・パランボ監督が手売りしているサイトからDVDを直接買うほかなく、日本国内では幻の残酷映画でした。日本国内で買えたのはホラー映画好きの聖地、西新宿のビデオマーケットさんのみ。当時ビデオマーケットさんでは売上No.1を誇ったそうな。

オレは、1999年からいろいろな映画レビューを書いていたのだが、この『Murder-Ser-Pieces』をきっかけに、「国内流通作品なんぞ甘っちょろい!」と日本未公開ホラー映画へと傾倒していくことになる。あの頃は配信なんてなかったので、とにかく個人輸入で買う。買って買って買いまくって、片っ端からレビューを書いていった。その中にみんな大好き『バリケード』や『ハゲタカゾンビ』(2007年)とか我がZINEの元となった『Filthy』(2003年)もあった。

さほどアクセス数があるわけでもなかったが、1日50人くらいは立ち寄るサイトだったと思う。某高校のプロキシ経由でみている、けしからん高校生もいて「しめしめ……」と思ったものだ。
そして、ある日「ウチで書きませんか?」と声がかかり、紆余曲折を経て今に至る。

オレは文章の書き方を勉強したわけでもなく、国語の成績は3以上取ったことがなかった。
「ダッシュや3点リーダーが2つセットなんて知るかよ!」からのスタート。編集さんに厳しく指導されたし、読者からはザコライターとバカにされたし、いまでも結構バカにされている。(と思う)
そもそも文章が巧く書けないので、独自の視点と、独特のリズムで書くしかねぇんですよ。でもですね、最近記事を掲載いただいた某サイトにの紹介文に「独自の視点で……」と書いていただけました。文章を書いてお金をもらうようなって10年くらい。ようやくスタイルを確立できたのかな?と感じてます。やっとだなあ。

それでも「満足に書けねぇなあ」と腹が立ったり、落ち込んだりするんですけど、そういうときに思い出すんです。『Murder-Set-Pieces』面白かったなと。
2004年に書いた『Murder-Set-Pieces』のレビューは、目も当てられないほど幼稚だし、訳のわからん構文になっているし、とにかく最悪なんですけど、愛おしいんですよね。スタート地点なので。だから直さないで放置してあるんですよ。

というわけで、皆、何かあったら『Murder-Set-Pieces』を見るといいよ。あと『ドリラーキラー』ね。この2つは間違いない。


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