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LAコロナ事情とイラ立つ日本の水際対策そしてワーケーションに気をつけろ〜辛酸なめ子の「LAエンタメ修行 伝聞録」

前回、電話で話したときはスマホの向こうからパトカーのサイレンが鳴り響き、LAの治安が心配になりました。アフリカ系アメリカ人に対する警官の非道な行為に抗議する「Black Lives Matter」のデモは6月のことで、その後は落ち着いてきているようですが、アメリカのコロナ感染者数は収束の兆しを見せず、とくにLAでは2週間で約3万人も感染(8/3-8/16) するという拡大ぶり。LAは今どんな状況なのか、東京都の空気感の違いなどについても伺いたく、日本に一時帰国したMutsumiさんにお会いしました。インスタグラムに、無事帰国してPCR検査も陰性だったと書かれていましたが、渋谷のTRUNK (HOTEL)で久しぶりに姿を拝見すると、想像以上に元気そうなノースリーブ姿で安心しました。

LAは感染者数の多さから、かなりピリピリした空気なのかと想像していましたが、Mutsumiさんに聞くと意外な話が……。
「カリフォルニアは感染者がめちゃめちゃ多いと言う報道がありますが、街の雰囲気はのんびりしてます。シビアになってるイメージ全くないです。周りにかかった人全然いないんですけど。そもそも街中に、こんな渋谷みたいに人いないし、三密とかもないんです」

むしろ東京の方がピリピリしているとか。LAの住人は危機感が薄いのでしょうか(だからこそ感染者数が多いのかもしれませんが……)。

「のんびりしてるから広がっちゃっう。LAでは若者がコロナパーティとかやっていてニュースになりました。かかったら賞金がもらえるという……。ただ、参加者でコロナは作り話だと言っていた人が亡くなってしまいました」

パーティ好きのLAの住人の欲求不満がたまっているとはいえ、さすがにそれは危険すぎる行為です。日本ではありえません。ただ日本では過剰反応する人も多く、咳をしたら睨まれたりしますが、アメリカではどうなのかMutsumiさんに伺うと……

「平和な空気のアメリカでも、咳をしたら周りに警戒されるというのはありますね。一回レストランが再開した時、有名なチャイニーズのお店に行ったんです。QRコードでメニューを読み込んで会計までスマホでやるという完全なオペレーションでした。それで安心して食事中むせちゃったんです。周りが明らかにサッとひいているのがわかりました」
そんな時、咄嗟に英語でなんと言っていいのかわからないですよね。日本だと「誤嚥です!」と言えば伝わりそうですが……。

ちなみにアメリカで感染したら日本のように責められる空気になったりするのでしょうか。
「アメリカは村八分になったりとかはないですね。かかった人を攻撃するというのも聞かないです。トム・ハンクスみたいな有名人がかかって、元気になったとかメッセージを出すのはありますが、日本の芸能人のように謝ったりはしない、というカルチャーの違いはありますね」

人にも自分にも厳しく、迷惑をかけるのが悪という考え方の日本人と、人にも自分にもユルいアメリカ……。その中間くらいがちょうど良いのかもしれません。

「LAでは、最近家賃がかなり下がってきています。例えば、うちの場合、マンション内で同じ広さの部屋が月7万円くらい値下がったりしてるんですね。今まで広すぎたので同じマンション内でちょっと狭い部屋に引っ越したら月10万円ほど安くなりました」

今まで高すぎた家賃が下がるのは良いことな気がします。富裕層の流出によって治安が悪化しないか、というのが心配ですが……。

日本に帰国した日の試練とは……

アメリカでは家賃が下がったり、ラッキーなことがあったというMutsumiさんですが、長旅で飛行機で日本に着いたとたん、試練に襲われたそうです。

「羽田に着いた日が、国内の空港で唾液検査初の日だったんです。それまで空港では鼻の粘膜を検査していました。日本で第一番に受けたという001の紙をもらいました。ただ検査を受けたあとが大変で空港で長時間待たされたんです。同じ飛行機の中で10人くらい先に結果が出て、私を含めて6人くらいが結果が出てこない。そこらへんに立ってる人に、待たされてるれど理由がわからないって言ったら、現場を仕切ってる人と検査してる人は全く違う組織らしいんです。その組織間の連絡が行き届いていなくて。結局、反応がうまく出ないということで再検査になったんですが、水も食べ物も買えない場所で5時間以上待たされました。人道的にどうなのかと。そんな時に大臣が20人くらいお供を引き連れて視察に来ていて、密だし検査も遅れるしで本当に迷惑でした。日本のオペレーションはグダグタでしたね」

それは心中お察しします……。どんな殺風景な待合室でも飲み物くらいは買えるような。Mutsumiさん曰く、帰国前に、日本の空港でどんな手順でどんな検査があるかほとんど情報がないのも問題だとのことでした。たしかに知っていたら飲み物や食べ物を用意できます。さらに空港を出てから帰るまでは意外とザルだったとか。

「検査後、入国してからは、家に帰るか指定のホテルに二週間泊まるか、という流れになります。公共交通機関を使わなければ家に帰宅できます。タクシーはダメでハイヤーならOKだそうです。私はハイヤーを頼んだんですが、乗るところを係員がチェックすると書かれていたのに、誰も見に来ないんです。タクシーや電車で帰る人がいてもわからないと思いました。水際対策はズブ抜けでした」

自宅が近郊のMutsumiさんは15000円かかったそうですがハイヤーで帰れたのでまだ幸運でした。地方に家がある場合、そのまま国内線乗り継ぎができないので、降り立った土地で2週間泊まらなければならないそうです。しかもホテル代は自腹という……。そんなにハードルが高いとますます旅行離れが起きてしまいます。

いっぽうで国は、観光地やリゾート地でテレワークする「ワーケーション」を提唱しています。自粛した方が良いのか移動しても良いのか混乱しますが、ずっとワーケーション生活をしてきたMutsumiさんに聞くと、あまりおすすめできないスタイルだそうです。

「南の島でパソコン開きたくないですよね。でも、家や会社でずっと働いている人はできないことに憧れを持つのもわかります。気分転換で旅先で仕事したいって。私はずっとリモートワークで、なかなか休みが取れないので海外旅行しながら仕事することもよくありました。最初の5年くらいは、海外行ってる楽しさがあるし、そんな状況への自己陶酔もありました。それが続いてみなさいよ。旅行してまで仕事しないとならないストレスを感じるようになりました。頻繁に携帯にチェックしたり、相手を待たせる申し訳なさがあったり、仕事でミスしたらまずいと常に心配してたり。知らない土地でのストレスもあると思うんです。そこに輪をかけて仕事のストレスがかかってくるんで、まあ疲れますね。メンタル的には健全じゃない。休みは休み、仕事は仕事と分けていないと痛い目見るぞ、と思ってます。危ないのは仕事と遊びを曖昧にすること。どこかで境目を守っていかないと、曖昧じゃ心が滅びていきます」

私もつい新幹線の中で仕事してしまいますが、知らない人が後ろの席でビールを飲んでダラダラしていると妙に苛立ったりして……心が滅びかけているのかもしれません。Mutsumiさんは重いパソコンを持って移動したくないとのことで、今はスマホで7割の仕事をこなしているとか。どんどん身軽になっていって、最終的にはスマホもなしでテレパシーで仕事できるようになっていそうです。Mutsumiさんの、一歩進んだ働き方改革をこれからも追っていきたいです。

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