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働くって何? トミヤマユキコ『労働系女子マンガ論!』

 SNSで見かけて手に取った本
トミヤマユキコ『労働系女子マンガ論!』

 帯には
労働をめぐる女子の悩みの数だけ、応答を試みるマンガが存在する
とあります。
 女性が働くことについては、普段からいろいろ思うことがあります。これを読めば、何か答えがわかるだろうか?と、さっそく読んでみました。

 登場するマンガは、出版された年代順に
『ベルサイユのばら』『美少女戦士セーラームーン』『動物のお医者さん』『重版出来!』『海街diary』など22作品。
 正直私はマンガを読まないのですが、聞いたことのあるものばかりでした。

強くカッコいいヒロイン

 第1章表題は ”少女マンガ隆盛期” 。『ベルばら』や『はいからさん』など、強い女性の話が印象的でした。
 『ベルばら』については、こんな記述があります。

わたしがいま『ベルばら』を読んで改めて感じるのは、善良なキャラにせよ、悪徳なキャラにせよ、自分がどういう人間であるか、自分の意志がどこにあるのかをしっかり表現できる女子しかいないということです。

本文より

 『はいからさんが通る』については、
「承認欲求」に関して 他者に依存しない
という見出しで、下記のようなことが描かれています。

 古典的な恋愛マンガでは、不器用なヒロインが愛するひとから「そのままの君が好き」みたいな言葉をもらって自分らしさの肯定に成功する、といった流れが作られたりしますが、紅緒には自分で自分を肯定してしまえる強さがあります。たとえば、作中では紅緒の幼なじみである「蘭丸」が「そのままの君が好き」的な発言を繰り返しているのですが、紅緒は彼に感謝もしなければ恋愛感情も抱きません。また、紅緒は不美人というキャラ設定ですが、自分ではまあまあイケてると思っていますし、男勝りでがさつなことも絶対に改善すべき欠点とまで思っていない模様。いわゆる「承認欲求」に関して、他者に依存するということがないのです。

本文より

 どちらもすごくカッコいいです。
 誰にどう言われようと、
 自分の意志はこれ! 自分の価値は自分で決める! 
 そういうふうに生きていきたいです。

どう働くか?は、どう生きるか?ということ

 第2章は ”「仕事と恋」の時代”
 第3章は ”労働の多様化・細分化”
 働きながら現実と向き合い、自分の幸せを探していくヒロインたちが紹介されていました。
 結婚や出世だけが幸せではなく、推しのために働くヒロインや、風俗で働くことで自由になるヒロインなど。
 どういうふうに働くか?というのは、どういうふうに生きるか?ということ、ひとつの価値観に縛られることなく、自分らしい働き方ができればいいな、と思いました。

やっぱり女性の仕事は底辺?

 でも読みながら、なんとなく「ん?」と疑問を感じるのは、マンガに登場する女子たちの仕事、やっぱり地位も報酬も少なそうな仕事が多くない?て思ってしまいます。まあ、登場するヒロインが若いからそこまで出世してない、というのもあるかもしれません。
 男性向けマンガだったら、権力や富をめぐる闘争など、組織のトップをめぐる争いが出てきそうですが、女性はそこに興味がないのか、そこに入れてもらえないのか・・・
 ここは、古今東西、悲しいかな、永遠の課題なのかもしれません。

私にとって働くとは?

 あらためて、自分にとって働くとは何だろう?て考えてみました。
 わたしが目指す働き方とは?

 わかりきっているのは、社会的にわかりやすい成功をめざすこと:「大企業で出世する」とか「有名建築家になる」のは自分には無理だということです。
 特に、女性が、男性が既得権をもっている世界、組織のトップに食い込んでいくのは、相当大変なことなのだなと思います。(自分が男性だったとしても遠い世界ですが)

 理想の働き方を書き出してみると、こんな感じになります。
● よい取引先とよい関係をつづけ、建築の仕事で技術や知識を高め、収入を得ること
● 家族のサポートあってこその自分であるので、自分も十分家族をサポートし続けること
● kindle本やnote、小冊子などで文章を書いたり、いろんな人と交流すること

 何のために働くのか?というと、お金のためもあるけど、仕事をとおして社会に認められたい、多くの人と交流したい、というのが大きいです。

 女性が働くということ、自分が働くということについて考えた本でした。

 あなたにとっては、「働く」って何ですか?

 いろんな人の考えを聞きたくなりました。


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