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設計料をどうやって決めるか?

 建築士の皆様、ずばり、設計料はどうやって決めていますか?
 工事費の10%、のような決め方? 建物の㎡数x単価で決めている? かかるであろう人工から積み上げていく?

仕事をする時には人工(にんく)を意識

 これは、独立前からけっこう考えていたことだ。
 設計事務所に勤務していた時も、設計費用を意識していた。社長から、これはいくらぐらいかかるか?と意見を聞かれることもあったし、これは金額が少ないから短時間で効率よくやれ、と言われることもあった。
 そういう時に、頭にあるのは人工だ。何日くらいかかって、外注費がこれくらいだから、合わせてこんなもんかな?
 ただ、こちらの要領が悪かったり、いろいろな事情で時間がかかり、予定より日数がかかり赤字に↘️······というのもあるあるだ。
 社長が、簡単にできると思って安く受注してきた仕事が、実はすごく手間がかかるものだった······というのもあるある。その時は社長に文句を言っていたが、独立した今となっては社長の立場もわかる。

独立前に相場を調べてみる

 独立前には、準備として相場をいろいろ調べていた。
 まずは、勤務している会社が、どれくらいの規模のものをいくらくらいで受注しているか?というのをみてみる。
 次に、ホームページで設計料を公開している設計事務所もけっこうあるので、その資料を集めていく。
 私の場合は構造設計なので、意匠設計の場合とかなり事情は違ってくるかもしれない。
 構造設計料は、
(基本料金 + ㎡単価 ✕ 面積 ) ✕ (難易度による割増係数)
というふうに決めているところが多かった。

いざ独立してみると

 そして独立後、こちらから見積を提示できる場合は、上記のように調べた相場や人工を考慮して金額を出している。
 または、元請けの意匠事務所が受注した金額から、自動的に構造の取り分が決まっていて、向こうの言い値である場合も多い。
 こういう時は、必ずしも金額は手間に比例しないなーと思う。施主がデベロッパーなどで大きなプロジェクトだと、設計費用はそれなりにあるけど、個人のお客様だと、いくら手間がかかっても、そんなに大きな金額は請求できない。

見積を出すときのドキドキ······

 見積を出すときはいつもドキドキする。独立したばかりなのに、こんな金額では、生意気だと思われていないだろうか? ちょっと怒ったかな? または、弱気になりすぎて安くしすぎたかな? 次回もこの低い金額がベースになるとまずいかな? などなど

適正価格とは?

 最近私は「新川帆立」という作家にはまっているのだけど、彼女の著作に『競争の番人』というのがある。(ドラマにもなっている) 談合やカルテルなど取り締まる公正取引委員会が舞台だ。ストーリーにぐいぐい引き込まれると同時に、ふと適正価格ってなんだろう?と考える。
 例えば話の中に、2つの花屋さんが出てくる。花屋Aは、花を売るためにギリギリの単価で販売し、注文してくれたお年寄りのことを考え、配達料金もとらない。大口の取引先であるホテルの言いなりになり無理を強いられている。
 花屋Bは、SNSで情報発信したり、農家と提携して特別な品種を作ったり、新鮮な花にこだわり5日間の日持ち保証をつけたりしている。その分、割高だけど、県外からも客が来ている。
 客にとっても花屋にとっても幸せなのは、Bのほうなのだろう。
 設計料についても、頼み込まれたり、情にほだされたりすると、お客様のために自分だけ我慢すればいいのだ、と合わない金額で受注してしまうことがある。でも花屋の例をみると、適正価格で受注し、品質の高いものを納品するのがお互いのためにいいのではないかと思えてくる。
 もちろん効率よく仕事して、費用を抑える努力も必要だけど。

さいごに

 まだまだ独立したばかりなので、甘い考えの部分も大いにあると思う。
 また皆様のご意見頂ければ幸いです。

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