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いま生きているという冒険(読書感想文)

 偶然流れてきたどなたかのtweetでとても印象深いタイトルだったので、とっさにメモって図書館で借りた本。

 インド、北極、南極にチョモランマ…と、旅好きにはたまらないワードが並ぶ、まさに大冒険のお話!
でも読後思ったのは、冒険は何も特別なことじゃなくてそこら中にある、ということ。一人の部屋で。

 確かに旅、特に一人旅は自分との二人三脚。嫌でも自分と向き合い、自分とうまくやらないと立ち行かないことも多い。多忙な日常を過ごす中で自分のことなんて幾らでも無視することが出来る状況を考えると、過酷な環境への旅は全くその逆で、自分と語り合うことでしか突破出来ないことだらけだ。

 だからこそ、私は旅が好きなのかも知れない。旅に出ると私は何者でもなくなる。自分の体から幽体離脱したような気持ちになってしまう。言葉が一言も通じない国への一人旅や、一年間全く見ず知らずの縁もゆかりもない外国で暮らした経験、その中で私はとにかくその「何者」かもわからない自分自身と対話し、喧嘩し、頼りにして信頼した。ある意味とても新鮮な感覚だったし、あれからずっと私自身は私の大切なバディであり続けている。

 今、再び日常の中で日々を過ごしていると、時々自分を見失いそうになるけれど。そこでまた自分と向き合い対話を始めると、私たちの心は共鳴して日常が輝き出す。
 私たちの冒険にとって本当に必要なものは山でも海でもなく、自分自身という謎の人物と真正面から向き合いそれを探る旅なのかも知れない。
 
 自分が一体誰なのか。何者なのか。知らない人は多いはずだ。私も含めて。

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<心に残ったフレーズ・言葉>(順不動)

●教科書で覚えた知識はテストが終わった瞬間に消えてしまっても、旅で感じた疑問は炭火のようにいつまでも熱を発し続けます。

●海外に出て自分の国籍や性別を再確認する人もいるでしょうし、このようにして、逆に今まで抱えていたさまざまな境界が薄れていって何者でもないひとりの「わたし」を意識しはじめる人もいます。

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