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歴史小説「Two of Us」第2章 J-6

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第2章 明智玉のお輿入れ~本能寺の変



J-6

 明智家の侍女清原は、お輿入れに帯同する侍女シモの着付け準備のため、一旦退席した。

 坂本城二の丸本殿、広間真ん中に残った細川家名代の家老松井康之が、再び婚礼の儀式次第に則って、告げる。
「長岡の勝竜寺城本丸にて、主君細川藤孝様と妻(さい)の麝香様(じゃこう)、そして珠子どののお輿入れされる婿どの御嫡男忠興様が、お待ちでございまする。
 本日の、お迎えもお送り出しも名代ばかりではございますが、道中無事でお送り届ける役務、誠心誠意全うさせて頂きまする。
 どうかご安心くださいませ」

 脇席の明智左馬之助が応える。
「かたじけなく思います」

 引き続きあなた珠子も礼を述べる。
「まことにかたじけなく思います。
わたし共も母煕子(ひろこ)は亡くなっております。本日は姉の『岸』と妹の『辰』が送り出してくれます。一緒に帯同しては参れませぬゆえ、どうか、侍女のシモにて参列を名代させてくださいませ」

「御意❕❕」
 松井の力強い返答と共に、小笠原少斎も清原イトも頭を下げた。


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