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双子育児の引き出しを開けたナレーション

先日、こちらのナレーションを担当しました。
明治の宅配 WEB CM,TVCM(一部地域)ナレーションです。

以前こちらにも書いたのですが、ナレーションを収録する時、自分なりに、まず心の引き出しから想いを取り出す作業をしています。

今回のナレーションを収録するにあたり、私がそっと開けた心の引き出しは、我が家の双子が赤ちゃん時期の記憶でした。

初産の双子育児で、右も左も分からないまま、とにかく日々子どもたちを生かすことで精いっぱいだったあの頃。
双子がベビーカー拒否だったのと、児童館や公園に行っても母一人ではギャン泣く我が子たちをどうにもできず、出かけることを諦め家にひきこもりがちになった日々がありました。

マンションの一室で、帰りの遅い夫以外の誰にも会わない日々が続くと、ふと「私たちは、誰かに見えているのかなあ…」と、双子と私の3人が透明な存在になっているような感覚がありました。
そんな日々の中、週に一度来てくれる宅配の方が、私たちの社会の窓でした。

玄関のドアを開けて、挨拶ができること。
今日の天気の話ができること。
子どもたちに優しく声をかけてくれること。

「自分たちがここにいることを知ってくれている人がいるんだ」という安心感のようなものがありました。運んできてくれていたものは、物だけではなく、ぬくもりだったなと思います。

子どもたちの成長に伴い少しずつ外出できるようになり、子どもも私も、近所にお友達もできました。そのことが時々無性に嬉しくてたまらなくなるのは、きっと、あの日々があったから。
今でも、宅配の方を見かけると、その背中に「ありがとうございます」と呟きたくなるのです。

切ない気持ちも、ほっとする気持ちも、私にとっては宝もの。
心の引き出しを開けて表現する仕事が、やっぱり私はとても好きだと感じるのでした。


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