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【小説】新感覚青春ホラー『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』(著:和田正雪)

カクヨム発の文芸書ということに加え、表紙のイラストにも一目惚れして購入した『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』。

著者は和田正雪さん。ジャンルとしては青春恋愛ホラー
まずは公式サイトから、あらすじを引用。

オカルト雑誌編集部で働く大学生ライター×異界へ行くことを夢見る「赤い女」
ラストが深く沁みる、新時代の青春恋愛ホラー


零細出版社でアルバイトをしている大学生の米田は、雑務やHPの更新の他に実話怪談の記事の執筆を担当している「怪談ライター」だ。

ある日米田は取材の最中に、乃亜という不思議な、赤い服を着た女性と出会う。
彼女はオカルトマニアで実際に怪談の現場に多数足を運び、科学的に証明できるのかどうかや、再現性がある事象なのかどうかを確かめているのだった。
そして乃亜は怪談の中でも特に「神隠し」について執着しており、自らもいつか異界へと行くことを夢見ていた。

初めはかかわり合いになりたくないと感じていた米田だったが、深夜のオカルトスポット巡りなどのまっとうではないデートを通じて、否応なく距離を縮めていく。
だが彼女には、怪異にまつわる切ない過去があった――。

そして夏休み、米田と乃亜は、奇妙な祭りの風習があるという話を聞いて、後輩の実家がある山奥の土地に赴いたのだが……。

読了した感想としては、ホラーとしてはライトだけど随所にホラー的描写が使われていて、キャラの思考や台詞の巧みさもあり、恋愛とホラーが絶妙なバランスで絡み合いつつ話が進展。

作中では日常と非日常的の絡ませ方が絶妙で、妙にリアル感のある主人公・米田と個性的なヒロイン・乃亜の対比がとても良いのです。

そんな二人のホラー的な距離感というか何というか、うまく言えないんですけど、その関係性がお気に入りなポイント。

そんなこともあり最後まで読み終えたあと、また二人に会いたくなるような、そんな物語でした。

その後、暫くして再び本作を読みなおしたのですが、二度目の方がぐっと味わい深い。噛めば噛むほど味が出る、ってやつですね。

初回とは違う視点から米田と乃亜の関係を読み進めたことで、新たな二人に会えたような感覚。ちょっと不思議な嬉しさが込み上げてきたのでした。

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