見出し画像

第5回「はじめての海外文学」フェア開催記念トークイベントレポ

11月17日(日)に青山ブックセンター本店 大教室にて第5回「はじめての海外文学」フェア開催記念トークイベントが行われました。完全プライベートで行ってきたのですが、とても素敵なイベントだったので愛を込めてレポートしようと思います!

※イベント中の撮影可否について確認が取れなかったため、筆者の過去の本にまつわる写真作品を間にいれますね。

画像1

翻訳者が推薦する「海外文学が5分で楽しめる」選書紹介が見事!

本イベントの開催は第5回目となり、会場にも登壇者の方の知り合いがたくさん。とてもアットホームな中イベントは執り行われました。さらに今回は、10月12日(土)に開催を予定していたスペシャルイベントが台風で中止になってしまった経緯から、当時の登壇メンバーが今回の登壇者に加わり、総勢8名の大所帯に。海外文学好きにはたまらない豪華メンバーの共演となりました。登壇者は越前敏弥、谷澤茜、木下眞穂、斎藤真理子、芹澤恵、原田勝、酒寄進一(敬称略)の7名と、司会進行を務める倉本さおり(敬称略)。それぞれ、海外文学の翻訳者として英米に限らずK文学(韓国)、P文学(ポルトガル)、ドイツ文学に精通したスペシャリストから、マルチな才能を持つ元書店員、司会進行もできる書評家など、海外文学に関するプロフェッショナルが集まりました。

画像2

さらにイベントでは今回のフェアに合わせて翻訳者86名による86冊の”はじめての海外文学”に向けたブックリストが配布されました。イベントの冒頭では、それぞれが持ち時間を3分として、選んだ本の魅力についてプレゼン。トークイベントでありながら、読書会やビブリオバトルのような側面もあり非常に興味深い内容で盛り上げます。後ほどのトークで越前氏は本イベントについて、「三身一体にしたい」と話し、読書会、書店イベント、トークショーのどの側面をも持ち合わせたイベントにしていきたいと語っていました。

翻訳者の選ぶ翻訳本とアツいメッセージ

選書された本は、ご自身が訳された本から他の方の訳したものまで幅広く選出されています。さらにイギリス、ドイツ、韓国、中国、ポルトガル、と世界中の文学がぎっしり。海外文学と聞いて、まだまだ英米やヨーロッパばかりが認知されやすい中、チベット文学やポルトガル文学に関するトークが飛び交う本イベントはまさにワールドワイドな文学を取り扱っていると言えるでしょう。イベント後半では、倉本氏の進行の元、フリートークで翻訳者陣がタイトル買いした本や、書影に惹かれた本などについて紹介。

実際に選書本を紹介するコーナーでは酒寄氏がかつて自身が経験したドイツでの出来事を臨場感たっぷりに紹介し、そこから本の紹介に移るなど本がさらに魅了的に見えるトークで場を盛り上げました。さらに斎藤氏はアジア文学にまつわる知見を披露。これから注目されるであろう本や、既に注目されているアジア文学などを多岐に渡って紹介しました。

画像3

トーク中に出た海外文学ブックリスト

・『すべての、白いものたちの』ハン・ガン
・『屋根裏の仏さま』ジュリー・オオツカ
・『エレベーター』ジェイソン・レナルズ
・『嘘の木』フランシス・ハーディング
・『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』郝景芳、ケンリュウ他
・『雪を待つ』ラシャムジャ
・『世界のはての少年』ジェラルディン・マコックラン
・『ポルトガル短篇小説傑作選 』ルイ・ズィンク編
・『世界文学アンソロジー: いまからはじめる』秋草俊一郎、他編

こちらは本イベントのフリートーク中に名前の挙がった作品です。これ以外にも、補足的に挙がった本、これから刊行予定の本などたくさんの本が紹介されていました。特に印象的なのは『すべての、白いものたちの』にまつわるトークで、紙質が独特できれいという声が斎藤氏、倉本氏からあがります。これについて倉本氏は「Bookishにはたまらない!」とかなりマニアックな発言を残していました。Bookishとは辞書では「書物上の、読書の、文学的な」と出ますが、海外の本好きの間で「本好きな」というスラングでもあります。こんなワードがさらりとでる本イベントこそ、まさに世界の垣根を超えた海外文学のイベントならでは。

海外文学に挑戦するのがはじめての人でも、思わず読んでみたくなるようなみずみずしい書評の数々と、既に本を手に取っている方には大興奮の共感トークがなされた本イベントは、大盛況の中幕を閉じました。

本イベント概要

イベントURL
http://www.aoyamabc.jp/event/hajimete-5/

Twitterアカウント
https://twitter.com/kaigaibungaku


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?