見出し画像

初めての技術書典で445冊売り上げるために取った行動と考えたことすべて

こんにちは。ななうみ(@nana_u_mi)です。
先週開催された技術書典5で、サークルとして初参加してきました。
ありがたいことに、初参加のイベントで頒布した本が製本版・電子版あわせて445冊売れるという大成功を収めることができました。

この数字は、僕にとってはかなり大きな衝撃でした。
技術書典の一般参加者は9452人だったので、一般参加者のおよそ20人に1人が僕の本を購入してくれたという計算になります(ありがとうございます!)。

この体験をより多くの人に味わってほしいですし、売り上げる自信がないからと技術書典への参加をためらっている人に向けて、この記事では、初参加のイベントで445冊売り上げるために僕がとった行動と考えたことのすべてをお伝えしていきます。

イベントで売り上げが伸び悩んだせいで、継続した活動ができなかったり、資金難になる不安から自己発信する人が増えなかったりするのはもったいないと思っているので、そうした人の助力になれば幸いです。

ちなみに、僕が当日販売した書籍はこちらです。
機能するUIを作れるようになる本-基本のキ編- note版

はじめに

この記事は売上数を伸ばしたいと思っているサークルさんに向けた記事になっています。技術書典に限らず、あらゆる即売会に当てはめて考えることができる内容です(話が散らかるので、本記事では技術書典をベースに書きます)。
この記事の要点を押さえて、適切な打ち手を出すことができれば売上数を伸ばすことができるものとなっています。

なにせ、
・技術書典ではマイナーなデザイン本を
・著名人でもない僕が
・1人のファンもいない新規サークルで

445冊売ることができたのです。

しかも1種類の本で。3種類の本を出して、それぞれ150冊売れたというのとは、訳が違います(一人当たり購入点数が高かったから売上冊数が多かったのではなく、売上冊数とほぼ同じ人数の人が、購入の意思決定をしてくれたということがポイント)。
しかしこれは当然ながら、僕以外の人にも可能なことだと思っています。

「本を書いてみたいけど、売れるものになるか不安だから踏み出せない…」

「技術書典で思うように手に取ってもらえない…本当はもっといろいろな人に見てほしい」

こんな悩みを解消するための行動や要因を発見できることと思います。

僕が実際に執筆して、販売した経験からの効果のあった行動や必要な考え方、書きたいものと手に取ってもらえるものの橋の掛け方といったノウハウをお伝えしていきたいと思います。

目次

1章 - 技術書や同人誌を執筆する人に知っておいてほしいこと
2章 - 書きたいことを書く、ただし相手に利益を返すこと
3章 - 構想9割、作業1割。執筆活動に入る前の構想がすべて
4章 - 手に取りやすいデザイン・興味を喚起するライティング
5章 - また読みたい、の仕掛け作り
6章 - 印刷部数と価格設定のカラクリ
7章 - 宣伝・販促活動での方針
8章 - 会場におけるディスプレイを作り込む
9章 - イベント後にも手に取ってもらえる仕組みづくり
まとめ
番外編 - 僕が失敗したと思っていること

1章は無料で公開しています。
1章の内容を読んでから購入するか決めてもらえれば幸いです。それでは本文を読んでいきましょう。

1章 - 技術書や同人誌を執筆する人に知っておいてほしいこと

技術書や同人誌を執筆する人、したい人にまずは知っておいてほしい事実があります。それは、個人が発信する情報量は、年々増えている。ということです。
SNSやブログをはじめとした、あらゆる媒体で、個人の情報発信量が増えています。それは、もちろん同人誌も例外ではありません。

先行者有利

あらゆる物事に共通して言えることですが、常に世の中は先行者が有利です。後発組はその時点ですでに先人よりも1歩、2歩と遅れを取っていて不利な状態です。

技術書典において具体的にどんな点が不利かというと
・執筆内容が、すでに先人によって頒布されている可能性
・競争相手が多い中でのファン獲得戦

などです。

技術書にしろ同人誌にしろ、参入者が多くなればなるほど生半可な考えで作ったものは埋もれやすくなってしまいます。

では、これから技術書を作るのは諦めたほうがいいのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。上記のような状態であることを認識した上で、適切な準備をすれば問題はないと考えるからです。

事実、僕自身は技術書典へのサークル参加は技術書典5が初めてです。
後発組ではありますが、それでも初めて執筆したものが445冊も手に取っていただけるほど売れていますし、今後、イベントが20回、30回とやっていくことを考えれば、まだまだ先行者の部類であると言えます。

技術と言っても、世の中には数え切れないほどの技術があります。
現状のイベントではそれらすべての技術について潤沢に書籍があるわけでもありません。時が流れれば、必要とされる技術も変わります。それらは、新規参入者にとってチャンスであると言えるでしょう。

二の足を踏んでいる間にも参加者が増えていくので、いずれ参加したい…と思っている人は、これから最速で参加できるイベントにエントリーを決めるのが先行者有利を最大限享受できるイベントであるのは言うまでもありません。

個人活動だからこそできる柔軟な対処

先行者有利である事実は変わりませんが、必要以上に恐れる必要はありません。個人活動だからこそ、柔軟に対処できる余地も大きいと思っています。

例えば先行者が

Atomic Designで作る!高速開発チーム

のような本を出していたとします。
この様な本が出ていたらデザインシステムの本を作れないかというと、そんなことはありませんよね。

チームの状況に合わせたデザインシステムの作り方

のような切り口で、別の本を執筆することはできそうですし、他にも無数の切り口があると思います。こうして自分に書ける範囲で少し軸をずらしてあげれば、様々な本を作れるのではないでしょうか。
こうした少しの軸のずれが、新たな発見や知見につながる貴重な財産になると考えています。

コストのコントロール

また、同人誌は先行者のいるいないにかかわらず、コストがかかります。
しかし、このコストもコントロールがしやすい分野です。

同人誌の作成にかかるコストは大きく分けると
「人的コスト(労力)」
「金銭的コスト(お金)」

の2つがあります。

人的コストに関しては、同人誌は書く内容もページ数もすべて自分で意思決定できるので、もちろんコントロール可能な部分です。

金銭的コストも同様にコントロールできます。
本の印刷は印刷所、本を構成する紙の選択、フルカラーかモノクロか、中綴じか無線綴じか、印刷部数、納期などの要素で決まります。
これらを適切に選ぶことで低コストに抑えることも可能なのです。
さらに言えば、電子版しか頒布しないと決めきってしまえば、DLカードを作るのみなので、本の印刷よりも格段に低コストにすることもできます。

・   ・   ・

技術書や同人誌作成にはハードルがあることも、コストがかかることもわかりました。ですが、前述した通りそれらは乗り越えられる問題だということもわかったかなと思います。

残る問題は、書いたものをちゃんと手に取ってもらえるかどうか?です。
実をいうと、こんな記事を書いている僕も、技術書典に参加する前は「100部売れたら嬉しいな、でもそれじゃ赤字だな…」という感覚でいました。
赤字になるのはさすがに辛いので、本の内容をしっかり煮詰めて考え、一般参加者に届けるための最大限の努力をしました。その結果として、445冊売れるという成果を手にすることができたのです。

では、どのように本の内容を煮詰めて、どのように一般参加者に届ける努力をしたのか?具体的に紹介していきます。

※ここから先は有料です。
 僕の話に価値があると感じた方だけご購入ください。

技術書の執筆を通して、新たな発見があったりより体系的に書ける場合は随時アップデートしていきたいと思っています。

目次
1章 - 技術書や同人誌を執筆する人に知っておいてほしいこと
2章 - 書きたいことを書く、ただし相手に利益を返すこと
3章 - 構想9割、作業1割。執筆活動に入る前の構想がすべて
4章 - 手に取りやすいデザイン・興味を喚起するライティング
5章 - また読みたい、の仕掛け作り
6章 - 印刷部数と価格設定のカラクリ
7章 - 宣伝・販促活動での方針
8章 - 会場におけるディスプレイを作り込む
9章 - イベント後にも手に取ってもらえる仕組みづくり
まとめ
番外編 - 僕が失敗したと思っていること

ここから先は

11,771字 / 7画像

¥ 1,000

よろしければサポートお願いいたします〜新たな挑戦の種にしつつ、結果や知見をアウトプットしていきたいと思っています。