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「本は人を語る」ショートショート

「世の中みんなくだらないな・・・」
そういって俺は毒づいた。皆、一生懸命生きていない。

一般的な社会人の読書量は6冊未満だという。
月ではなく、年間だ。1ヶ月に一冊も読まない。

俺は仕事帰りに書店により、今日も新刊をチェックする。
新しい知識を得て、自分を高めないといけないからだ。

ふと見ると同年代くらいの男が本を抱えていた。
しかし、その本はいわゆる若者向けのエンタメ…ということも憚られるような書籍だった。

【〇〇だった俺がなぜか異世界で無双してしまう件 〜俺はふつうのことしてるだけなのに、なんでみんな驚いているんですか?】
【勇者パーティから無能扱いされて追放されましたが結果的に全滅したのは向こうでした 〜実はチートスキル持ちだった俺】
【チートすぎてすみません。最強剣士と最悪魔導士の二つ名をほしいままにする異世界無双】

ああいう本は若者向けではなく、つかれた中年向けという意見を聞いたことがあるが
そうなのかもしれない。

くだらない本だ。本は自分磨きのための簡単な投資だというに…
俺は心の中で中年男を揶揄しながらレジに本を出した。

「瞬速で稼ぐ技術 〜億越えの流儀」
「稼がないと負けだよ やりたいことをやるために稼ぎまくる」
「自分を変える100の方法」
「あなたはもう出来ている 出来ないサラリーマンからできるビジネスマンになる超メソッド」
「FIRE超入門 だれもやっていないけれどもだれでもできるFIRE」

「さて…勉強勉強」


最後まで読んでくれて thank you !です。感想つきでシェアをして頂けたら一番嬉しいです。Nazy