今も、私の土台にあるもの。

少し前に、ふいに私が店長だったときのことを思い出した。今のメンターの活動とどこかリンクしている。

私は店長として恵まれていなかったし、恵まれていた。

立ち向かうことでたくさんのことを学び、今でもふとした瞬間に役立っていると感じる。

経験は必ず自分の中に残る。ずっと、どんな仕事にも活きていくはずだと思っている。

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私は大学卒業後、アパレルの販売員になった。ちなみにファッション系の専門学校に通っていたわけではなくて、某私立大学の法学部法律学科法職課程出身だったりする。

法職を志して入学したのだけれど、アパレル販売のアルバイトを通じて、ファッションという自己表現のおもしろさに魅了されてしまった。そして接客のおもしろさを感じて、これを仕事にしたいと思い、新卒でアパレル会社の正社員として就職を決めた。

だから、ファッションについての知識は独学のまま、アパレルの販売職に就いたのだけれど、それがやりたいことだったから進んだ。ここは今と共通しているかもしれない。

そして、新卒で入社後1年半で店長になる。でも実は店長どころか副店長も経験していない中での抜擢だった。

エリアマネージャーが推薦してくれた理由は、他店にヘルプに行ったときに「店頭での立ち回りが良かった」からだった。それが人事評価にもつながったという経緯がある。

私がヘルプ先で心掛けていたのは、とにかく笑顔。店内にお客様がいなくても一瞬たりとも笑顔を崩さなかった。あとは、先回りして考えてフォローに入ったり、全体でどう動けばいいのかコミュニケーションを積極的にとっていた。

学生のとき、アパレルのバイトの経験を総動員して、そのときの自分が最高のパフォーマンスをできるように心がけた。

次に何をしたらいいか予想するだけでも動きにつながるし、観察していたら次に何が必要なのかだんだんわかってくる。そうしたら、動いてみて、失敗しても行動したことにマイナスはないと思っている。

その時から、自分のできる力で何かに取り組むことで、見ていてくれる人はいるのだと感じた。

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そして、店長としての異動が決まると、異動前の店舗の店長から「かわいそう」と言われた。経験がない中で異動することへの大変さをあらわした言葉なのだけど、なんだかひっかかってしまって、今でも心に残っている。

私は、かわいそうなのだろうか。

確かに、店長になった後は大変だった。23歳でフルタイムの店舗経験は1年半しかない。他のメンバーと経験は半年しか変わらず、年齢も同い年や年上メンバーもいる中で、伝え方、コミュニケーションは試行錯誤の連続だった。

毎月の目標立て、ミーティング、個別目標設定、売り場の打ち出し方を考えるなど、手いっぱい。前のベテラン店長のやり方と比較されることもあったし、メンバー同士のトラブルもあった。今思い出しきれないほど、大変だったと思う。

ただ、それを乗り越えていくごとに自分の中で何かが成長したような気はしていたし、やりがいもあって楽しいと感じていた。

当時私は仕事の様子をよくスポーツの「スカッシュ」に例えていたのだけれど、とにかく向かってくる球を打ち返すような毎日だった。

そして次第に、店長としての経験が私の視野を広げてくれて、見えるものが増えた。

やり始めるまでは大変だけれど、自分で何かを始めて、切り開くことはできる。

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今、フリーランスとして違う仕事をしていて、ふとその時の自分が「かわいそうかもしれない」と思う時がある。午前4時まで修正している時などは特に。

でも、もっと大変なこともあったじゃないと思える。それでも、乗り越えられてきたんだし、来週の今頃は、きっと乗り越えて笑ってる。

それに、あの時「かわいそう」と言ってくれた店長の年齢に近くなった今だから思うこともある。

もし私と同じ立場になった人がいるんだとしたら、どうにかしてあげたい。私がつらかったことで、避けられることなのであれば、教えてあげて避けてほしいと思う。つらい思いをして学ぶこともあれば、必要のないつらい思いもあると思うから。

ただ、今フリーランスの立場としてやっていくのだとすると、自分で切り開いていく原動力は必要で。私が教えてあげられたことを、自分のものにして行動していってもらう必要があると思う。

今、メンターという仕事をして相談を受ける立場にいて、まさに店長になった時のことを思い出している。聞かれたことは答えて、それを調べる方法も教える。その後は、自分次第。

やりたいことをやるという力は、どんな言葉も超えてしまう力を持っている。だから、気持ちを力に変えて乗り越えていってほしい。

だからこれからも、誰かの背中を押せるように。

私もたくさん吸収して、この道を長く歩いていきたい。


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