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研究者から学ぶ、悩みの対処法

こんにちは、市橋です。
現役研究者としてサバイブしています。

今回、変化する時代のなかで葛藤されている方に向けて書きます。

多くの職業において、転職しながらキャリアを形成するといった多様な雇用形態が一般的になりつつあります。また単純作業がAIにとって代わられ、仕事には柔軟な対応が求められます。このような自由度の高い働き方は、これまで研究者が直面してきた状況ととてもよく似ています。

そこで、研究者の世界で培ってきた、働き方の悩みの対処法についてシェアしたいと思います。

1. これからの社会が抱える働き方の悩み

テクノロジーが進歩して急速に変化する時代において、私たちの働き方の状況もまさに変化しようとしています。

すでにその変化を実感している方も少なくないと思いますが、これからの社会における働き方の変化から生じる悩みはどういったものがあるのでしょうか?

【これからの社会が抱える働き方の悩み】
・ 毎日のリズムがつかみづらい
・ 他人が気になる
・ プライベートと仕事の区別がつけづらい
・ 将来の見通しが立てづらい

情報科学技術の進歩により、パターン化できる仕事の多くはコンピュータで代行することになります。これにより、人間が主に行う仕事は、状況に応じて対応するといったより複雑な内容になります。つまり、ルーチン化しづらい業務内容のため「毎日のリズムがつかみづらい」という悩みが出てきます。

また複雑な仕事の内容になると、個々のプロセスについて公正に評価することは難しく、どうしても仕事の成果に重きが置かれることになります。成果を中心に評価するということは、年齢や経験年数などを超えて、人材の優劣が明確化することになるため、必然的に激しい競争につながります。このような競争から、「他人が気になる」という悩みが出てきます。

加えて、複雑な仕事の内容では定刻での勤務時間を守りづらくなり、また費やした時間と成果が必ずしも一致しません。そのような状況のなかで競争が激しくなると、どうしても仕事の時間配分がプライベートの時間へ侵食してしまう可能性が高くなります。つまり、「プライベートと仕事の区別がつけづらい」という悩みが出てきます。

さらにデータによる人事管理が進むことで、組織は優秀な人材を内部だけでなく外部にも求めることになります。そのため、現在多くの国内企業が採用している終身雇用の制度が見直され、人材の流動性が高くなります。つまり、「将来の見通しが立てづらい」という悩みが出てきます。

ここに挙げた悩みは、働き方の変化から自然に生じてくる悩みになります。

冒頭でも述べましたが、研究者、特に学術界の研究者は、このような自由度の高い働き方の状況で仕事を進めており、ここで挙げた悩みは多くの研究者がこれまで直面してきたものでもあります。

私も研究者になろうと志した学生の頃からこのような悩みに葛藤してきて、一時期は眠れないといった身体的な変化が出ました。真理の追求の中で生じる葛藤という研究者ならでは悩みもありますが、ここに挙げた悩みは働き方の構造上から生じてくるため、どのような職種の方でも共通して抱えることになる悩みの種類だと考えられます。

2. 研究者の世界で培ってきた悩みの対処法

それではこのような自由度の高い働き方で生じる悩みを解決する方法があるのでしょうか?

現在の私が考える対処法の結論はたった一つです。

" 自分の仕事をする "

つまり、自分の身の丈にあったことを粛々と続けること。
この考え方により、私が抱えていた数多くの悩みは解消されました。

このような考えに至ったいくつかエピソードをご紹介したいと思います。

ライバルに嫉妬したとき

私が学生の頃、ライバルの華やかな業績を羨ましいと思い、自分もそうなりたいと強く願う時期がありました。当時の私はひねくれてしまっており、ライバルの劣っている部分を粗探しすることで自分の嫉妬心を和らげておりました。自分のことを棚に上げ、周りに愚痴を吐き出すことで、自分の自尊心を保とうとしていたのです。そんなとき、尊敬する先輩にどうしたら良い成果を上げられるか相談したことがありました。先輩は「良いサイエンスをするしかない」とだけ答えました。そのときの先輩の清々しく迷いがない眼差しは今でも印象に残っております。それからの私は過去の自分の考え方を恥じ、とにかく必死に目の前の研究に打ち込むことにしました。そのおかげで、自分で納得が行く研究成果を出すことができました。

何事もうまくいかず将来が不安になったとき

私が渡米して数年経った頃、なかなか研究成果が出ない、研究資金も獲得できない、自分の才能や将来について不安になり苛立ちを覚えた時期がありました。そのためか、一緒に研究プロジェクトを進めていた同僚とも険悪な雰囲気になってしまいました。ある日、同僚と一緒に実験をしているとき、口論がエスカレートしてしまい、私は途中で実験を止めて、隣の部屋にいた友人のところへ愚痴を言いに行ったことがありました。その友人はいつも私にポジティブな言葉で励ましてくれたのですが、そのときは私の意見を聞くだけ聞いて一言、「実験に戻れ」と言いました。頬を打たれるような一言にハッとさせられました。そのおかげで、すぐに実験に戻り、同僚にも自分の気持ちを整理して伝えることができました。この一件から、悶々と過ごしていた渡米中での研究生活が好転し始めました。

毎日の目まぐるしい変化で自身を見失ったとき

私が研究室を主宰するようになり、まだ研究室メンバーとの信頼関係が築けていない頃、共同研究による出張や外部からの講演依頼が続き、研究室を空けることが多くなった時期がありました。また管理職という職務にも慣れておらず、一研究者として自身で手を動かしていたりと、毎日多様な業務を自転車操業で進めておりました。そのようなときに、研究室内での人間関係が悪化してしまい、信頼していた研究員から退職願いが出されることになりました。その際、研究室メンバー全員から私に直してほしいことをまとめた文書を受け取りました。その文書には、自分ががむしゃらに働いていたことが裏目に出ていたことが克明に記されており、現在の自分が置かれた立場の職務について認識が至っていないことに深く反省しました。その一件から、自分を変えることから始め、徐々に研究室の体制が安定し、研究活動も軌道に乗り始めました。

以上、実際に悩んでいるときには気付くことができませんでしたが、今振り返ってみると、悩みを相談させてもらった方たちからのメッセージ全てに「自分の仕事をしろ」という内容が含まれていました。

結局、一人の人間でできることには限界があり、どんな人にとっても1日は24時間しかありません。人間はいくら頑張っても、鳥のように自らの肉体で空を飛ぶことはできません。私たちにできることは、自分に与えられた仕事を、自分の能力を100%発揮して、怠らず粛々と毎日続けることだと認識するようになりました。

3. 悩みに負けない毎日の行動

「自分の仕事をする」を実現するために、私が具体的に実行している行動があります。

どれも当たり前のことですが、私にとって自分の立ち位置を意識するためにとても大切な行動だと思っていますので、ここに書いておきます。

朝早起きをすること
朝起きて体も心も回復しているときに「生」を実感できます

体を動かすこと
自分の感覚と体のコントロールを調整することができます

目標を毎日読むこと
自分が向かうべき方向を無意識下に落とし込むことができます

決めたことは必ず実行すること
逆にやれないことはやらないこと。このようなスタイルにより、仕事の効率と信頼を得ることができます

身の回りを清潔にすること
自分の心身の秩序を保つことができます

寝る前に感謝すること
自分に良くしてくれた方はもちろん、どんなにネガティブな感情を抱いている相手に対してでも、相手の立場に立って感謝することで、自分の可能性を広げてくれます

こういった小さな行動の習慣付けで自身の行動を制御することができると分かると、変に力んで頑張らなくてもよいという心持ちになります。

また一方で、やる気や根性といったモチベーションだけで自分のことを制御することはとてもデリケートで難しいことだと知ることにもなります。

こういった毎日の決められた行動により、良い意味で、自分は自分、他人は他人ということで割り切ることができるため、嫉妬せずに自身のことに集中できます。

4. さいごに

今回、現代社会が抱える悩みという辛い部分に焦点を当てましたが、その悩みを超えた先には自由度の高い働き方ならではのやりがいや達成感といった大きなの幸せがあります。

このような時代の流れを止めることはできません。しかし、それは決して不幸なことではありません。

世間では研究職のネガティブな側面に焦点を当てがちですが、研究者が研究に没頭して心から楽しんでいる姿はとてもいきいきしており素敵です。私自身も辛い経験をしましたが、研究者になって心から幸せだと感じております。

次の世代を担う人たちが過ごす社会は、研究者と同じようなやりがいや達成感に溢れた働き方になるのではないかと思っています。

私が研究者人生で最初の壁にぶつかった博士課程のとき、研究室の秘書さんから頂いた本があります。上手くいかない、調子が良くないときに、何度も何度も読みました。

悩んだときにぜひ手に取ってみてください。

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今回は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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