市橋 泰範

国立研究開発法人 理化学研究所 バイオリソース研究センター 植物−微生物共生研究開発チ…

市橋 泰範

国立研究開発法人 理化学研究所 バイオリソース研究センター 植物−微生物共生研究開発チーム チームリーダー Website: https://pms.brc.riken.jp/ja/

最近の記事

子供たちへ、次の世代の人々へ

不可解に思うかもしれないが、自分が死んだ後の世界についてゆっくり考えることができるのはとても幸せである。 私の子供たちに、また次の世代の人たちに何かしてやれないだろうかと考えてきた。一番大切な何かを与えたいのだが、それは有限の資源であるモノやお金ではない。これまで私が生きてきた経験に基づく知恵を贈りたい。それもいつでもどこでも持ち運びができるように、一言で表現できないかとあれこれ考えてきた。 この一文を贈りたい。 私の真意を理解してもらうために、ここではもう少し言葉を費

    • 論文の書き方

      こんにちは、市橋です。 論文を書いているとワクワクします。 今回、研究者に必須である論文の書き方を学びたい人に向けて書きます。 多くの研究者にとって研究プロジェクトの一つの区切りは論文発表になります。しかし、実験や調査で良い結果が出たから言って、数日で論文を書くことができる方はなかなかおりません。ましてや、分野や状況によっては論文執筆だけでも数年かかるケースも少なくありません。 論文執筆は、研究プロセスにおいて大きなエフォートを割くタスクであり、そこには様々な技術があり

      • アイデアを次につなげる方法|ブレインストーミングとKJ法

        こんにちは、市橋です。 着想から論文化まで多くの研究プロジェクトに携わっています。 今回、ひらめいたアイデアを次につなげたい方に向けて書きます。 「ディスカッションをしたけど、何を得たか分からない」、「同じミーティングに参加したのに認識がずれていた」、「ミーティングの議事録は結局読み返さない」ということありませんか? 私もよくミーティングでアイデア出しや情報交換をするのですが、結局、次につながらないという経験を多くしてきました。あるとき、ブレインストーミングとKJ法を試

        • 研究費獲得のヒント

          こんにちは、市橋です。 日々、研究費支援に感謝しながら研究に邁進しております。 今回、研究費の獲得に苦労されている方に向けて書きます。 若い頃の私はなかなかフェローシップが取れず、辛い日々を過ごしておりました。しかし、ある時期からフェローシップを立て続けに獲得できるようになり、採択率10%以下のフェローシップにも採用していただきました。 *フェローシップ:研究助成金制度のこと。研究費に加えて生活費等がサポートされる。 研究費についても、これまで私が代表で申請したものは7

        子供たちへ、次の世代の人々へ

          研究テーマの決め方

          こんにちは、市橋です。 研究者としてやりがいがある研究に邁進しています。 今回、研究テーマに迷っている方に向けて書きます。 とくに研究者になろうと決心した方、すでに研究者として歩み始めたけど研究テーマを考え直したい方にとって、研究テーマをどのように決めれば良いのか迷うと思います。私も新しい研究テーマを考える時には常に頭を悩ましております。また研究分野を何度も変えてきました。そのような試行錯誤の末、少しずつ研究実績をあげ、自分の研究に心からやりがいを感じれるようになりました

          研究テーマの決め方

          生産性の高い会議のヒント

          こんにちは、市橋です。 ラボメンバーと活発な議論をしながら、エキサイティングな毎日を送っております。 今回、生産性の高い会議を始めたい方に向けて書きます。 多くの会議は非効率で長時間かかるといった悪いイメージがあります。 しかし、会議はクリエイティブな活動には欠かせません。 研究者はどのように会議やミーティングを進めているのでしょうか?私はこれまでに4つ以上の研究室を経験して、4年前に自身での研究室を立ち上げました。研究室によってミーティングの進め方はさまざまですが、ミ

          生産性の高い会議のヒント

          クリエイティブな空間づくり

          こんにちは、市橋です。 研究室を運営しながら、クリエイティブな毎日を送っております。 今回、研究室もしくはオフィスをクリエイティブな空間にしたい方に向けて書きます。 職場は、多くの時間を過ごす空間です。 私はこれまで、メンバーがパフォーマンスを十分に発揮できるようにクリエイティブな空間を目指して試行錯誤をしてきました。 セミナーを受講したり、様々なアイデアを取り入たり、メンバーと何度も相談を繰り返しすことで、現在、納得できるクリエイティブな空間を実現できております。 そこ

          クリエイティブな空間づくり

          研究者から学ぶ、クリエイティブな毎日の過ごし方

          こんにちは、市橋です。 研究というクリエイティブな活動を生業にしております。 今回、クリエイティブな毎日を過ごしたい方に向けて書きます。 1日をなんとなく過ごしてしまったと後悔したことはありませんか? 私も仕事やプライベートで様々な対応に迫られ、自分で自分のことをうまくコントロールできなかったと反省の毎日でした。 そのようななか、1日の活動を見直すことにより、長期的な視野で毎日の着実な進展を感じることができるようになりました。 そのため、精神的にも身体的にも落ち着いた状態

          研究者から学ぶ、クリエイティブな毎日の過ごし方

          研究者から学ぶ、悩みの対処法

          こんにちは、市橋です。 現役研究者としてサバイブしています。 今回、変化する時代のなかで葛藤されている方に向けて書きます。 多くの職業において、転職しながらキャリアを形成するといった多様な雇用形態が一般的になりつつあります。また単純作業がAIにとって代わられ、仕事には柔軟な対応が求められます。このような自由度の高い働き方は、これまで研究者が直面してきた状況ととてもよく似ています。 そこで、研究者の世界で培ってきた、働き方の悩みの対処法についてシェアしたいと思います。

          研究者から学ぶ、悩みの対処法

          研究能力トレーニング法

          こんにちは、市橋です。 研究者は日々のトレーニングが欠かせません。 今回、研究者に必須の論理的思考や知識獲得能力を強化したい方に向けて書きます。 皆さんの周りに、研究の論点をすぐに見抜く、膨大な知識量と深い考察、天才的な発想をする、といった異常に優秀な研究者はいませんか?こういった方の研究能力は生まれつき備わっているわけではなく、日々のトレーニングによって鍛錬されています。私もこれまで多くの優秀な研究者に出会い、とても敵わないという思いを何度も体験してきました。 今回、

          研究能力トレーニング法

          研究者から学ぶ、ひらめきを生む方法

          こんにちは、市橋です。 現役研究者として毎日多くの研究者のひらめきに触れています。 今回、アイデアがなかなか出なくて困っている方、発想力を向上させたい方に向けて書きます。 発想のプロフェッショナルである研究者のひらめきは、一体どこから生まれるのでしょうか?ひらめきとは、「素晴らしい考えが瞬間的に思い浮かぶこと、直感的な鋭さ」と定義されています。私自身も一人の研究者として、ひらめきの瞬間を体験してきました。また共同研究を通して多くの研究者のひらめきに触れてきました。 そこ

          研究者から学ぶ、ひらめきを生む方法

          研究者のコラボレーション

          こんにちは、市橋です。 コラボレーションによる研究の加速を日々実感しております。 今回、共同研究を成功させたい方に向けて書きます。 近年、どの研究分野においても分野横断、産学官連携といった異分野間での共同研究が推奨されております。しかし、共同研究の進め方について体系的に学ぶ機会は少なく、ほとんどの研究者は自身の経験を通して学んでいるのが実情かと思います。また若い方にとって、大学院で進める修士研究や博士研究の多くが個人型の研究プロジェクトであり、共同研究について慣れていない

          研究者のコラボレーション

          研究者のコミュニケーション能力の向上

          こんにちは、市橋です。 コミュニケーションを通して、毎日多くの学びを得ております。 今回、コミュニケーション能力を高めて仕事にフィードバックしたい方に向けて書きます。 若い頃の私はとても内向的で、人と話すと赤面することが悩みでした。それでも少しずつ克服することができ、今では多数の共同研究や国家プロジェクトの取りまとめもするようになりました。 もともとコミュニケーションが苦手だった私がコミュニケーションを仕事に活用してきた経験に基づき、以下についてシェアします。 1.

          研究者のコミュニケーション能力の向上

          研究者の留学

          こんにちは、市橋です。 研究者として、エキサイティングな日々を送っております。 今回、留学について知りたい方に向けて書きます。 とくに研究者として留学をしてみたいと思っている方は、留学から得られるメリットは何か、留学に必要な準備は何か、気になると思います。私も留学を決意するまではとても不安で迷いましたが、留学は間違いなく私の人生の中で最も成長できた日々でした。アメリカで4年間、研究員として過ごしてきた経験から、以下についてシェアします。 1. 研究者留学のメリット「海外

          研究者の留学

          研究者の人生設計

          こんにちは、市橋です。 研究者人生を満喫しております。 今回、研究者の人生の全体像について書きます。 とくに研究者になりたい学生さんにとって、周りで就職活動をする同級生を見たり、研究室の先生から研究者の厳しさを教わったりしたとき、「自分の研究者人生は大丈夫か?」と不安になるかと思います。 そんなとき、研究者の人生がどのように進むのか、考えておくべきことは何か、見通しがわかっていると不安が解消されると思います。私の経験から、以下についてシェアします。 1. 研究者人生のキ

          研究者の人生設計

          研究者という職業

          こんにちは、市橋です。 研究者として、充実した毎日を過ごしております。 今回、研究者という職業について知りたい方に向けて書きます。 とくに進路に迷っている学生さんにとって、「研究者は実際にどんな仕事をしている?」「メリットやデメリットは何か?」気になりますよね。研究者の目線でお伝えします。 1. 研究者の仕事の内容まず研究者と言っても、さまざまです。 大学研究機関に所属する研究者もいれば、民間企業に所属する研究者もいます。また研究活動で給与をもらっていない在野の研究者

          研究者という職業