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生産性の高い会議のヒント

こんにちは、市橋です。
ラボメンバーと活発な議論をしながら、エキサイティングな毎日を送っております。

今回、生産性の高い会議を始めたい方に向けて書きます。

多くの会議は非効率で長時間かかるといった悪いイメージがあります。
しかし、会議はクリエイティブな活動には欠かせません。

研究者はどのように会議やミーティングを進めているのでしょうか?私はこれまでに4つ以上の研究室を経験して、4年前に自身での研究室を立ち上げました。研究室によってミーティングの進め方はさまざまですが、ミーティングの進め方しだいで業績などのアクティビティに大きく影響してきます。

そこで、これまで私が多くの研究室で過ごしてきた経験から、以下についてシェアします。

1. 私が所属した研究室でのミーティング

私は、国内外の大学研究機関の4つの研究室を経験してきました。そこで、それぞれの研究室で行われていたミーティングの進め方について、まとめます。

国内研究室Aの場合

【定期的なミーティング】
年1回の進捗報告(プログレス)

【不定期なミーティング】
所属長に呼ばれて1対1で議論

ミーティングが少ない分、研究や勉強に没頭できました。
ただミーティングが少ないと、アウトプットする能力については十分にトレーニングすることができませんでした。
所属長と1対1で議論することは、研究者としての考え方などを直接学ぶことができました。

国内研究室Bの場合

【定期的なミーティング】
週1回、1名がプログレス、1名が論文紹介

【不定期なミーティング】
所属長に呼ばれて1対1で議論

定期的なミーティングでは、質問することが強く推奨され、質問しない人は参加していないと同義に扱われました。
そのため、ミーティングに参加して「議論する」ことをトレーニングできました。
また論文紹介により、情報として研究内容を知ることに加えて、ラボメンバーの意見を聞くことで、一つの研究について深掘りで考えることができます。

国内研究室Cの場合

【定期的なミーティング】
週1回、1名がプログレス、1名が論文紹介

【不定期なミーティング】
所属長に呼ばれて1対1で議論

研究室に海外からの方が多く在籍する研究室だったこともあり、英語で発表することが義務付けられておりました。
また発表を担当する方が当日お菓子を用意することになっており、ミーティング中にリラックスできる工夫がされておりました。
所属長とのミーティングは稀でしたが、メンバー間で自主的にミーティングをしておりました。

アメリカ研究室Dの場合

【定期的なミーティング】
週1回、1名がプログレス
週1回、1名が論文紹介
週1回、他研究室と合同で1名がプログレス
週1回、解析プログラムのクラブ

【不定期なミーティング】
所属長に声をかけられ、関係者を含めて議論

ミーティングがかなり多く、実際に実験や解析をする時間と同じくらい議論して、研究を進めておりました。
プログレスでは、スライドを使わず、ボードに書きながら説明する形式(チョークトーク)で行っており、発表者はくじ引きで当日決まるという、非常に緊張感があるミーティングでした。
また論文紹介も当日発表者は論文のイントロを紹介して、図ごとに参加者が挙手性で説明するという形式でした。
解析プログラムのクラブも実際に参加者が手を動かしながら学ぶというスタイルでした。
全てのミーティングに研究室の所属長達が皆と同等の立場で参加しており、ミーティング時にはパンやポップコーンなどを持ち込み、非常に活気あるミーティングでした。
さらに定期的なミーティングが無い時でも、常に所属長が部屋を周りながらメンバーに声をかけており、興味があるとすぐに関係者が呼ばれ、その場でミーティングが始まりました。
今までの日本の研究室で経験していた形式と全く異なっておりました。

2. 私の研究室でのミーティング

今までの経験を踏まえて、私が自身の研究室で行っている形式はこちらです。

【定期的なミーティング】
週1回、1名がプログレス
週1回、全員参加の事務連絡
月1回、全員対象とした所属長との1 on 1 meeting

【不定期なミーティング】
必要な人が必要な人に声をかけて議論

国内の研究室に比べて、私の研究室では多くのミーティングを設定しております。それぞれについて解説します。またプロジェクト管理アプリとして、Asanaを使っています。

プログレス

アメリカで学んできたチョークトーク形式を意識して、研究の進捗状況を報告し、皆で議論する時間にしております。プログレスではスライド作成が必要ないこと、目的に向かってどこまで進んだか示すことを重視すると常々伝えております。また批判的な意見は全体のモチベーションを下げてしまうので、言い回しが不適切な場合はその場で注意するように意識しております。研究室立ち上げ当初は色々と議論がエスカレートしすぎることもありましたが、このような少しの配慮により、建設的な意見を交換して活発な議論を進めることができております。

事務連絡

研究者以外の方も所属しておりますので、研究室メンバー全員向けの連絡をするミーティングです。時間は30分と決めております。Asanaにより、関係する事務連絡を事前に公開、議事録もその場で書き込みをすることで記録をしております。また研究室メンバー全員が集まるため、一人1分ずつ、最近の出来事についてお話してもらうことで、常に笑顔が絶えない時間になっております。

1 on 1 meeting

所属長との1対1のミーティングです。1 on 1 meetingにより、「みんなの前では言いづらいけど、所属長には知っておいてほしいこと」を伝える時間にしております。特に話題がなくても、10分くらいの雑談をすることでお互いのことを知ることができ、とても良い時間だと実感しております。

不定期なミーティング

必要な人に必要なときに声をかけてすぐに議論できるような環境づくりにしております。また風通しが良い雰囲気を作りたいので、私のスケジュールをチームメンバーに公開して、空き時間はいつでもミーティングを設定できるようにしています。一人で悶々と悩む時間が減ることにより、精神的に安定して研究に邁進することができると信じております。

オンラインでのミーティングの進め方

2020年から多くの方はオンラインのミーティングを日常に取り入れていると思います。私たちの研究室では、以下のツールをそれぞれの用途で使っております。

オンラインミーティング:Zoom
日常会話:Slack
バーチャル研究室:oVice

当初はZoomやSlackでのオンラインミーティングとチャットのみのコミュニケーションでしたが、在宅勤務が多くなると、これらのツールだけだとチームワークを発揮しづらく、「気軽に話しかける」ということの大切さを感じておりました。また私たちは、国内に散在した20以上の研究室とともに国家プロジェクトを進めており、オンラインのコミュニケーションについて歯痒く思っておりました。

そこで、2021年からoViceを利用したバーチャル研究室を導入しました。

参加メンバーがバーチャル研究室の空間を自由に移動でき、「気軽に話しかける」ということが実現できました。個別の研究室では出勤時間には常にoViceに接続しておくこと、また国家プロジェクトのような大型の組織では毎週のコアタイムを設けることで、実際の物理空間で会っているようにできます。また会議室などの個別の部屋をバーチャル研究室内に設定することができ、そこでミーティングを行うこともできます。

これまでZoomでのオンラインミーティングをするとき、「日程調整して、ZoomのミーティングURLを設定して、URLを連絡して、ミーティングが終わった後に個別で話したい方とは別個でアポをとって。。」ということが日常の煩雑なタスクとしてありました。oVice導入後では、日程調整するだけであとは「oViceで会いましょう」、「会議室を出た後に少し立ち話をしましょう」ということが気軽にできます。言葉だけでは実感しづらいかもしれませんが、私はとても画期的だと感じました。

また実際、このoViceを導入することで、これまでの研究プロジェクトの進め方を一新した出来事がありました。
それは、現地に行かないと実施できない実験があり、しかも人手が必要という状況でした。緊急事態宣言が出されて人流が制限されるなか、なんとか現地にいる方だけで実験を実施する必要がありました。そこで、予定していた出張旅費を現地での臨時アルバイトの雇用に使い、oViceで事前レクチャーを実施し、実験当日にもoViceに接続しておき、すぐにコミュニケーションできるようにしました。その結果、関係者のチームワークのおかげで、現地での実験を滞りなく進めることができました。

バーチャル研究室により、新たな可能性の広がりを実感しました

今後、オンラインでのミーティングは必須のオプションになります。
また近い将来私たちの身近になるメタバースの世界に順応する意味でも、ぜひこの機会にバーチャル研究室の運用を検討してみてはいかがでしょうか。

3. さいごに

今回紹介した事例はどれも生命科学分野の研究室の事例ですが、同じ分野でも研究室により様々な工夫がなされていることがお分かりいただけたでしょうか?

どこでも通用する理想的な会議の進め方はないかもしれませんが、それぞれの状況に合った有意義な会議にするために、まずは多様な会議の進め方を知ることが大切だと思います。

今回の内容が、あなたのクリエイティブな活動の参考になれば嬉しいです。

私が自身の研究室を立ち上げたとき、多くのマネジメントに関する書籍を読みました。その中で、最も感銘を受けた本をオススメします。生産性が高い組織にするためのマネジメントについてわかりやすく書いてあり、ミーティングの進め方などについて多くのヒントをもらいました。

WORK RULES!

今回は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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