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Z世代が聴く名盤 #5 Mr.Children「Atomic Heart」

ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。

そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。

筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。


作品情報

Mr.Children、4枚目のオリジナルアルバム。出世作となった「CROSS ROAD」と「innocent world」を収録。

前置き

今までは名前は知ってても曲はほぼ聴いたことがないアーティストを対象に感想を書いてたけど、今作は昔からずっと聴いててバリバリ馴染みがある。聴きすぎてて逆に感想が出てくるか心配になるくらいだ(?)。

中学生の頃に親のCDラックを漁っていて見つけた「深海」をきっかけにミスチルに興味を持ち、他にアルバムはないか探して見つけたのが今作。
車で家族旅行に連れて行ってもらう際にかけてもらい、流れてきた「innocent world」に魅了されて決定的にミスチルの虜になり、それからは1年間ずっとミスチルばっかり聴いてた記憶がある。バンド音楽に本格的にハマっていったのも個人的にはこれがきっかけだ。

そこから時は流れ他の色々なミュージシャンに目移りするようになってからは彼らのこともすっかり忘れていたのだが、この度新作「miss you」が発売されるという報を聞き、同じくよく聴いてたスピッツと同じ年に新しいアルバムが出るのは13年ぶりというのもあってミスチルだけにとどまらず90年代J-POP熱が再燃。その一環として今作を聴いてみたというわけである。

感想

改めて聴いても今作の魅力は色褪せていない。今作とそれに続くシングル群の大ヒットにより、この先はしばらくどんどんマニアックな方向に向かっていくし、実際今作にもその片鱗は見えるっちゃ見えるけどパッと聴いた感じは一貫してポップに徹しているのが特徴的。

「Dance Dance Dance」の妙にメカメカしい編曲とか、「innnocent world」「Over」の終始ダブっているボーカルの処理とか編曲に時代を感じる部分もなくはないけど、素材であるメロディーの瑞々しさは今も健在。なんなら今新曲として発表しても受け入れられそうな普遍さがある。

シングルになった「CROSS ROAD」「innocent world」の名曲っぷりは今更言うまでもないけど、ベストにアルバム曲が3曲も入れられただけあって、その他の8曲も粒ぞろい。「Dance Dance Dance」「ラヴ コネクション」の初手ダンスナンバー2連発に、初期の面影が微かに残る「クラスメイト」、この先にも通ずるダークさがある「ジェラシー」も今作では良いスパイスになっているし、若手サラリーマンの日常を描いた「雨のち晴れ」は今や完全にセレブとなった今では書けないであろう貴重な世界観の歌詞が印象的だ。歌詞に反して明るくポップな失恋ソング「Over」の切なさもたまらない。

正直今作に関しては12曲全部覚えきれるほど夢中になって聴き込んだので、公平な評価が難しい。同世代が聴いてみてここまでベタ褒めするというのは考えにくいし、同い年の人がいきなり初めて今作を聴いたらどういう反応をするのか気になるところではある。

あと初めて聴いたときから謎なのが「Round About ~孤独の肖像~」。この曲だけなぜか思いっきり昭和歌謡風味のアレンジが施されており、アルバム内でもかなり浮いた立ち位置。前作でも次作でもやってない作風なだけに、何を思ってこんなアレンジにしたのか…謎は深まるばかりだ。

一番好きな曲:innocent world
一番「…」な曲:Asia (エイジア)

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