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意思決定に必要なデータ収集とモデリングの最適化は可能か?

石油開発では地質モデル、油層モデルをよく作ります。石油開発で地質モデル、油層モデルという場合、多くはコンピューターのソフトウェアを使用して、油層の孔隙率や浸透率などの油層性状の分布や、水・油・ガスなどの油層内の流体の分布状態を3次元の小さなセルの集まりで表現するGeocellular Model のことを指します。また、このGeocellular Modelをもとに、油層内の流体の動きや圧力の変化など、生産に伴う動的な変化をコンピューターの数値モデルで再現しようとすることを油層シミュレーションと呼んでいます。

自然を再現しようとするどんなモデルでもそうですが、地下の油層の状態をすべて事細かにモデルで再現するということは到底不可能です。

だからモデルで何を知りたいのか、信頼できるデータがどの程度あるのか、よく考えてモデルをデザインすることがとても重要になります。

精度の良い詳細なモデルを作るためにはデータが沢山あるに越したことはありませんが、時間とお金をかけてデータを集めればよいというものでもありません。必要なタイミングで必要な精度のモデルを作成して、意思決定に利用する。このセンスが重要です。

石油開発にはいろいろな段階があります。その段階に応じてモデルの目的も、必要となる精度も、モデルに使えるデータの量や種類も違います。そして会社によって意思決定のプロセスやそのためにどうモデルが使われるのか、カラーがあります。時にはライバルとの競争で通常よりも意思決定が急がれる場合もあります。

モデルは石油会社にとって、意思決定の基礎となるツールです。意思決定をゆだねるのですから、モデルの中身をよく理解して、モデルやシミュレーションの結果を利用することが重要です。モデリングをアウトソーシングすることもありますが、最終的に意思決定を行う石油会社がモデリングをきっちりコントロールする必要があります。

意思決定のために、どこにどれだけの時間とコストをかけるべきか、どこの会社も悩んでいるのではないかと思います。
石油開発は探鉱から開発・生産に至るまで非常に時間がかかります。必要な情報をもとに的確な意思決定が行われたのか、なかなか後で評価をするのはむずかしいのですが、そんな事例をたくさん集めてきちんと評価していけば、石油開発のフェーズごとに、意思決定に必要なデータの量や質、モデルの精度などをある程度スタンダード化できるのでしょうか。

自然を相手にしていることですから、ことはそれほど簡単ではない気がします。ただ、意思決定のルールを明確化してしまえば、意思決定は簡単にはなりますね。意思決定の妥当性 (成功率?) が上がるかどうかは別問題ですが。

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