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ドイツやオーストリアのシュタットベルケとは

ドイツやオーストリアにはシュタットベルケ(Stadtwerke)、あるいはゲマインデベルケ(Gemeindewerke) と呼ばれる地方自治体が中心となって運営する公社、公営企業があるそうです。

その特徴としては、資金の半分以上を一つのあるいは複数の自治体が担っていること。そして電力、ガス、暖房熱、飲料水や下水道、ごみ処理、公共交通、公共施設など様々な公益事業を行っていることが挙げられます。

また、電力などの比較的利益の出やすい事業で儲けたお金を、公共交通などの採算がとりにくい事業にあてているという特徴があるそうです.

電力としては地域のバイオマス、太陽光、風力、小型水力発電などの再生可能エネルギーを利用することが多いのも特徴です。

国立環境研究所 資源循環領域の循環・廃棄物の基礎講座バックナンバーの中に「シュタットベルケ~自然やごみのエネルギーで地域を支え、地球を守るしくみ~」(2021年4月号)が掲載されています。

ドイツにはシュタットベルケが1000社以上あり、そのうち半分以上のシュタットベルケで電力供給を行っているとのことです。エネルギー事業は黒字が多いとのことです。

シュタットベルケについては国土交通省の国土交通政策研究所がインフラ管理のあり方としてドイツのシュタットベルケの制度基盤、文化的背景、組織構造や効率性を高める工夫、経営課題などについてヒアリング及び現地視察、文献調査などを実施しています。さらに、研究会を実施し、日本の地域インフラの維持・管理への適用にあたって検討すべき諸課題を論点としてまとめた報告書があります。

国土交通省 国土交通政策研究所 「インフラ・公共サービスの効率的な地域管理に関する研究」

再生可能エネルギーを主体とする電力供給で利益を上げつつ、さらに収益を上げにくいけれども地域にとって重要な公共サービスやインフラにその収益を回すことが出来るというシュタットベルケのビジネスモデルには大変興味があります。

エネルギーの地産地消を行うことで、地域に雇用や利益を生み経済が活性化され、収益が公共サービスやインフラのさらなる充実に充てられるような循環が生み出せるのだとしたら素晴らしいことだと思います。

日本にもシュタットベルケと似たような取り組みが始まっているようです。日本で成功させるためのポイントやその課題など、もう少し勉強して見ようと思います。

[環境省 エコジン VOLUME.632018年2月・3月号]


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