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2023年上半期に読んで印象深かった本をご紹介

今半期は100冊以上の本を読むことが出来ました。

今年の始めに読んだ『コンテナ物語』はちょっと冗長な部分もありましたが、コンテナリゼーションという社会の変革を色々な角度からとらえた面白い本でした。

「静かな人」の戦略書』も印象に残った一冊です。人を外向的と内向的に分けた場合、大抵のビジネス書って外向的であることを求められるんですよね。これは多くのビジネス書の作者が外向的だからなんじゃないかと思います。でもそれって、私のように内に内に入っていくタイプからすると、お前はビジネスの世界では生きていけないと言われているような気がして気が悪いわけです。この本は、内向的な著者が内向的な人のために内向的なまま、ビジネスの世界で生きていく方法が書かれているので読んでいて「内向的なあなたでも、ビジネスの世界で生きていける」と言われてる気がするわけです。まぁ、そこもいいですが一番良かったのは外向的である、内向的であるという視点を持てたことです。これによってコンプレックスに感じていた自身の特徴がただの特徴だと思えるようになりました。

天気の図鑑』も思った以上に趣味に刺さった本です。そういえば飛行機乗るときには必ず窓際で眼下の雲を眺めてますし、夕焼けで赤く染まる鱗雲を携帯の待ち受けにしてたこともありました。などと忘れていた趣味を思い出させてくれた本です。

パパ活女子』は特に何も期待せずに読んだのですが、たまに目にするパパ活と言う言葉の裏にある、構造が綺麗に理解できてよかったです。こういった新しいかつアングラなものの構造を解説している本っていうのは、今後も見かけたら読んでみようと思います。

COTEN RADIOパーソナリティの深井 龍之介さんが書かれた本も非常に良かったです。個人的には「そう思てたんやけど上手いこと言語化できてなかったわ。」と言うことがいい感じに本になっていたので読んでいて嬉しい本でした。


マルク・レビンソン著
『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版』

コンテナリゼーション万歳!!!
以前『誰が音楽をタダにした?』を読んだ時にも思いましたが、規格化というのはその産業を発展させるためには、必要でありつつ選定されなかった規格を担いだ会社には大きなダメージがあるので熱いなぁ。と思ったり。

荷役や沖仲仕、海運業界に胸やけしたり、マルコム・マクリーンの発想や行動に胸アツになったり。

海運コストの低下は日本の高度経済成長期にも影響あったんだろうなぁと自国のことを思ってみたり。

年始からずっと読んでいましたが、上記のように飽きずに読むことが出来ました。ただ、こんなに長く詳細に説明する必要あるか?と思わなくもない。でも、良書なのは間違いないですけどね。

ジル・チャン著『「静かな人」の戦略書』

私の場合ブクログにレビューを登録すると、Twitterに自動的に投稿されるようになっているのですが、投稿されたツイートに対して作者のジル・チャンさんと思われるアカウントからいいねされました。日本語でもエゴサされてるんだろうか、すごい。良い本だったので以下の記事に感想をまとめ直してみました。


荒木 健太郎著
『 もっとすごすぎる天気の図鑑 :空のふしぎがすべてわかる!』

児童書と侮るなかれ、内容はもちろんのこと写真がめっちゃいい、スーパーセルをはじめとした超巨大な雲とか、#霜活で見られるらしい超微細な結晶とか、それらの写真ボーっと見てるだけで超楽しい。

更に色々な現象の仕組みが解説されていて、目から鱗が落ちまくりました。赤い月の理由とか、雷鳴の理由、フェーン現象の仕組みや雲の数え方なんてのも興味深かったです。


中村 淳彦著『パパ活女子』

ふわっと出てきてしっかりと定義がない「パパ活」を、よく構造化して描けているなぁと感じました。この本では基本的には買い手である、おっさんの欲求からその構造を見ているのですが、そこから見たことによって、上手くいっているパターン、行ってないパターン(買い手が金額分のリターンを得ていないパターン、売り手が買い叩かれるパターン)などを綺麗に説明できている気がします。

ふわっとして定義がしっかりしていないものだけに、全く違う見方が出来る可能性もあったりするわけですが。

何を売っているのか把握していないパパ活女子の中に、この本を読んだ人が入れば売上めっちゃ上げられそうと思ったりしました。水商売でも、風俗でもなくパパ活に精を出すおっさんが何求めてるのかなんて、まぁまぁ自明なんじゃないのとは思うものの、私がおっさんだからこそ、そこが自明になってるだけなのかもしれないですが。

関係ないですが、この文脈で精を出すって言葉はややこしいですね。

アニー・マーフィー・ポール著
『脳の外で考える――最新科学でわかった思考力を研ぎ澄ます技法』

事例なども結構紹介されていて内容がボリューミーだったので何とも感想がまとめ辛いんですが、本の後半2割が本やら論文が大量に並んだ注釈なので、やりはしないもののしたければ書かれている内容の検証が可能という点で信頼できる本なのではないかと思う。

脳トレとかをするよりも環境を整えたり、取り組み方を変える方が何倍も効果はありそうです。

今後は、内受容感覚を鍛えて、良いものはどんどん模倣して、抽象的なものは脳の外に出して、PCでは出来るだけ大きい画面を使って、体を動かしたりジェスチャーをしながら考え事をしたいと思います。

チームで協力してトランザクティブメモリーシステムを構築するのは難しそうなので、ラバーダックにでも話かけてやろうと思います。
ラバーダックは何も覚えてくれないので人の代替にはならないですが、一人で考えるよりは人に説明するためにアウトプットする点で優れていそうなので。

谷川 祐基著
『賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。』

何気なく読んでみた本ですが、思いの外面白かったため、以下にまとめてみました。

佐藤 航陽著『世界2.0 : メタバースの歩き方と創り方』

ずっと積読にしてたんだけど、もっと早く読めばよかった。思った以上に面白い。

タイトルにもある世界の創り方というのは、自走するコミュニティを作るというのとほぼ同意で、評価社会という言葉がもてはやされたころに、コミュニティやらオンラインサロンの運営について書かれていた内容とよく似ているなぁと思ったけど、そういった本を読んでいないが、仕組みは作らなくてはならない人にとっては、図解してありしかも平易な文章で開設されているこの本は使えるんじゃないかと思った。メタバース関係ないけど。

また、メタバースの浸透によって、平野啓一郎氏の提唱した分人主義がさらに進むだろうというのは如何にもありそうで面白かった。本文ににも書かれているが他人からどう見られるかという認識の上に、自己があるのであればアバターや世界が変われば自己や、振る舞いが変わるのは当然で、それが当たり前になることで誰しもが分人を意識せざるを得なくなるんじゃないだろうか。

深井 龍之介著
『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考』

COTEN RADIOのパーソナリティ深井龍之介氏の著作です。以前からCOTEN RADIOでも語られていたような歴史を学ぶ有用性が分かり易くまとめられていたので、記事にしてみました。

深井 龍之介, 野村 高文著
『視点という教養(リベラルアーツ)世界の見方が変わる7つの対話』

視点を持てば持つほど生き易くなると思って本を読んでいる節があるので、こちらの本は非常に楽しく読むことが出来ました。
個人的には社会の中で起こる現象を構造的に捉える文化人類学、社会学や、我々の基本OSである西洋哲学とは別の方向から世界を捉える東洋哲学、科学から我々が世界をどう認識しているのかを探る脳科学辺りはさらに突っ込んで本を読んでみたいと感じました。

鈴木 祐著
『YOUR TIME : 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』


佐々木 俊尚著『現代病「集中できない」を知力に変える読む力最新スキル大全 = NEW READING SKILL ENCYCLOPEDIA : 脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!』

タイトルが凄くダサいですし、序文に「知の王者にあなたもなれる」的なことが書かれていてたので、読むのを止めようかと思ったんですが、逆にネタになるかもと思って読んでみたら思ったよりも同意する点が多く、最後まで面白く読めてしまいました。

情報を知識にするためには、脳の中で情報が結合されて繋がってたり、概念化されて応用が利く状態にする必要があるんじゃないかと思うんですよね。そういう意味で、作者の書いている教養というものには同意します。ただ、私の書いている知識というのが著者の書いている教養に当たるという点はちょっと違いますが。

個人的には紙の本が進められている本が多い中、電子書籍がポジティブに扱われているのは好感が持てました。どこでも読めるし、場所も取らないし、読んでて腕も疲れないといいことばかりなんですが、読書関連の本では結構否定的な意見が多く残念なんですよね。また、Kindleに対する考え方や、Kindle Unlimitedの使い方なんかも同じ感覚で読んでいてテンションが上がりました。「メモとハイライト」素晴らしいサイトですよね。

自己啓発に対する見方も非常に納得できるものでした、まぁ、私も結構読んでいるからそう思うのですが、基本的には再現性のない、生存者バイアスバリバリの本ばかりなので、何となく元気になりたいときに読むぐらいしか使い道はないんだろうと思っています。逆にそう捉えられないのであれば不幸になる可能性が高いので読むべきではないでしょうね。

同意できなかった点は、ネットの記事を多く読むという箇所です。私も昔はRSSリーダーで毎日色々な記事を読んでいたのですが、ソースの選定が悪かったのかあんまり意味を感じられなかったです。そういった経験からネット上の記事などを集めることを推奨するのであれば、それによる具体的な利点が紹介されているとなおよかったように思います。

それにしても、図書館行ったら暴力を振るわれたっていうのはなかなかつらい少年時代ですね。

2022年下半期に読んで印象深かった本をご紹介


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