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浅倉 秋成著『六人の嘘つきな大学生』の感想をネタバレ無しに書いてみる

ひと段落したところで寝ようと思ったんですが、続きが気になり結局、普段しない夜更かしをして一気に読み終わってしまいました。明けてちょっと体調が良くないわけですが、それでも後悔してないです。だって面白かったんだもの

作中何度も「ん?」と思うところが出てくるのですが、そのことごとくが回収されたので読んでいて非常に気持ちよかったです。

過去に就活生をやったことのない私のような人は、知らない世界を覗く楽しさがあり、就活生だった人は就活の時期の混乱を思い出せるかもしれず、これから就活を迎える人には混乱を抑える処方箋にもなりうる良い作品だと思います。

『6人の嘘つきな大学生』はミステリーなのでネタバレ厳禁です。そのため読んだことがある人に向けて、私はこういうことを考えたよというのを以下に書かせてもらいました。ネタバレ的な内容は書いていないですが、未読でこれから読む予定のある方は読まない方がいいかも?しれないです。

月の裏側を無視する自由

「月」は、自転と交点が一致しているので、地球に対して常に一定の面(仮に表面とします。)を向けています。そのため我々は月の裏側を直接目視することは出来ないのですが、月周回衛星「かぐや」が取得した情報などで確認することは出来ます。

私が見た画像の解像度も影響があるんでしょうけど、普段我々が見ている面と比べるとクレーターが多く月の裏側は表側と比べてあまり綺麗ではないというのが私の印象です。

月の裏側が高解像度で見られるようになったということは、人類がまた一つ積年の謎を解いたという意味で素晴らしいことだと思います。ただ、帰路に浮かぶ満月にホッと一息ついたり、月見をしている時なんかに、あえてボコボコした裏側のことまで考えるのは無粋なんじゃないかと思ったりします。

逆に言うと、ボコボコした裏側のことを知っていても、月を愛でる際にはそれを無視する自由を我々はもっているのではないでしょうか。

就活の混乱を乗り切るためには

作中である人物が「就活の時期は混乱していた」と語っていました。

私は、大学に行っていないので新卒採用というのには関わったことがないのですが、採用面接には面接官としても、受ける側としても何度か関わったことがあります。

その経験から、面接の短い時間で「その人がどういった人であるのかを見抜くことなんて不可能だ」と確信しているのですが、そういった経験の少ない大学生はその確信をもちえないので、「お祈りメール」が来た時に自分の努力不足や、人格を否定されたと思いこんでしまう、それが就活の混乱を生んでるんでしょうね。

そういう意味で、どの会社に入れるかは運ゲー要素が大きいので、上手くいかなかったときには必要以上に深刻に捉えないことが大事なんじゃないかと思ったりします。

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