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赤信号で止まるタイパ

信号は、青になったら渡る。赤は止まる。
そうやって、子どもの頃教えてもらった。
それなのに、大人になってから赤信号で横断歩道を渡ってしまったことはないだろうか。
そこに車がいないから。
車が来ないから。
来ないなら、待つ意味がないから。
だけど、交通事故で人の人生は変わる。

こう書いている私は、交通事故に遭ったことはない。
ではなぜこんなことを書いているのかというと、ドイツに住む前、仕事柄交通事故の処理を目にすることが多かった。

交通事故の加害者になってしまった人が、何年にも渡って裁判をしていたり。
交通事故の被害者の遺族の方のお話を見たり。
その事故がなければ、ただ普通に流れていくはずだった毎日が交通事故で一変することをひしひしと感じていた。

そんな仕事をしていたので、私は赤信号では必ず止まる。
止まっても、どれだけ待っても車が来ないことがある。
それでも必ず、青信号を待つ。
それには、もう一つ別の理由がある。

交通事故が起こって、話し合いが始まると、『過失相殺』という言葉が出てくる。
交通事故の被害者でも、もらえるはずのお金が減額されることがあるのだ。
例えば、横断歩道ではないところを渡る。
赤信号なのに渡る。
自転車を飲酒して運転する、など、交通事故で怪我をした被害者だとしても、その人の落ち度によって、もらえるお金は減額される。

歩行者信号を赤信号で渡っていた場合、車に轢かれてももらえるお金の30%が減額されることになる。

つまり、怪我をして30万円の保険料がもらえるケース。
赤信号で渡っていたせいで、21万円しかもらえなくなるのだ。
赤信号を待たなかったせいで、9万円の減額である。

9万円ならまだましだ。
100万円だったら、30万円の減額である。


私は交通事故の専門家でもエキスパートでも、研究家でもない。
一主婦として、一人の人間として、それは余りにももったいないだろうという考えになるのだ。


人生の中で、赤信号を待つ時間はどれくらいあるのだろう。
その数分で、数十万円が変わるのだとしたら、赤信号を待つ価値はあるのではないだろうか。
誰も見ていなくても、何も通らなくても、赤信号は止まろう。

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