「ケムリクサ」アニメの植物。種と象徴性。

2022年1月12日 23:27

この記事は、アニメ「ケムリクサ」に見られるさまざまな植物の、つましい研究と分析の試みです。

序章

「けものフレンズ」は、楽しいアニメとしてだけでなく、教育的アニメとしても定評があります。すべてのフレンズは、視覚的なデザインに加えて、誘導とプロットによって表現される実際の動物のさまざまな特性を体現しています。特に世界中の動物園の飼育係が担当する動物について語る「動物紹介」セクションは、楽しい音楽に合わせて、間違いなく作品のハイライトの1つです。

教育的な部分では、動物のオノマトペの駄洒落や自然に触発されたエキゾチックな組み合わせが、豊富なファンアートでも伝わってきます。これにより、動物の生態について何か新しいことを学ぶ本当に面白い方法です。

たつきの「ケムリクサ」（2019）は一見そのような百科事典的価値を持っておらず、プロットと世界構築が優先されています。しかし、細部へのこだわりで知られるたつきは、ケムリクサを別の生物界である植物界への言及で埋め尽くしました。それらのいくつかはプロットに直接関連していますが、残りはデザインに関連します。この記事では、作品中で見られるさまざまな植物と、現実の植物との対応を確認していきます。

警告：たくさんのネタバレが内部にちりばめられています。作品中の赤い霧のように、この記事はまだアニメを見たことがない人にとっては非常に有害です。

作品における「ケムリクサ」という語は、文字通り“smoky grass”であり、漢字で「煙草」と表記し、煙（ケムリ）と草（クサ）と発音します。単語としては、英語で「tobacco」、日本語で「タバコ」と発音されるものです。ケムリクサは、使用時に色、形、機能が変化する葉としてデザインされています。これらは、新しい色や属性を取得する目的で組み合わせることができます。それらのほとんどは使用後に蒸発します。

ケムリクサの種類

りりが分割に使用したすべてのタイプ：

プライマリケムリクサ

ミドリ。色は緑です。修復および治癒の目的で使用されます。キャラクターはそれを使って攻撃することができ、りんはそれでヌシを浄化することができます。キャラクターたちの旅のお供である緑の木は、まるで家族の一員であるかのように、優しく「ミドリちゃん」と呼ばれています。大人のみ使用可能で、第11話ではワカバが喫煙に使用することで、たばことタイトルの関係が強く示唆されています。また、細長い緑色で葉脈が見えるタバコの葉の外観を連想させる点もあります。

この関係は、葉がタバコのようにさえ見えたONAバージョン（オリジナル・ビデオ・アニメーション・バージョン）ではさらに意味深です。

さて、2019年のアニメにはミドリの表現に興味深い微妙な違いがあります。まず、このミドリは音を伝えることができます。

りんが三葉の葉を刀として使う第7話からの瞬間を除けば、形の異なる葉の機能は同じであると考えてよいかもしれません。この異なる形の葉を持つ（葉が異形性を持つ）植物であることを考えると、最も近い候補はDendropanax trifidus、別名Dendropanaxjaponica（日本名「カクレミノ」）です。

*以下、植物にモデル候補がある場合、ラテン語の名前はそれに関する記事へのリンクです。

その日本語名は「カクレミノ」で、文字通り「隠れることができる藁製のマント」を意味し、別のニュアンスとして不法行為の隠蔽という意味を持っています。植物自体は常緑の観賞植物であり、日本と台湾で育つとげのない低木です。その葉は、年齢に応じて、葉がないか、2つおよび3つの葉の形をしている可能性があります。

別の候補は次のとおりです。切れ込みのない葉はタバコであり、三裂葉はアサガオの花です（学名Ipomoea nil）。

ただし、この理論はありそうにありません。ミドリちゃんは、やっぱり（架空のものではありますが）葉のない木と、つぼみが緑のまばらな三葉の木です。さらに、花言葉では、アサガオは「誤った期待」を意味し、ミドリにはまったく合いません。 Dendropanaxに落ち着くことをお勧めします。
yunyunさんの追加：朝顔の花言葉は「愛情」「結束」「明日もさわやかに」「あなたに絡みつく」などが挙げられます。

興味深い追加：ロシアの植物学者は最近、世界初の生物発光植物である発光タバコを発表しました。未来の世界で誰かが、ヌシを阻止するために彼自身の国内のミドリちゃんを成長させる能力を誰にでも提供する日が来るかもしれません。

キイロ。色は黄色です。木から剥がされても光り続けるので、主な機能は照明です。わかばは、キイロはすでにある古いミドリの木より乾燥しているように見えると述べています。

キイロの見た目はイチョウをベースにしています。イチョウは生きた化石と呼ばれる植物であり、その属には多くの化石種が含まれていますが、イチョウは唯一の生き残りです。日本語の名前は「いちょう」で、「ガチョウの爪」と訳され、それは葉の形に由来しています。野生では、中国の特定の地域で育ちますが、世界中の植物園、保護地域、都市の植木として広く植えられています。また、この木は地球のペルム紀の地質時代から存在しているため、ロシアのペルミ州のシンボルでもあります。この種の寿命は3000年で、ほとんど老化の兆候はありません。栄養補助食品や医薬品の製造によく使用されますが、その効果には疑問があります。イチョウの種は伝統的な東洋医学と料理に使用され、劇中に反映されました。追加のエピソード（どんべい麺の広告）で、銀杏の別の使い方が発見されました。卵黄の代わりに麺に追加して、素晴らしい「キイロそば」の食事を作ることができます。すべてのキャラクターが食べられる唯一のケムリクサです。

ウスイロ。色は淡いまたは白です。若葉はすぐにその長い茎に気づきます。若葉だけが食べられ、路面電車で育てられます。「ミドリちゃんと同じくらい大きくなる！」。

ウスイロはアルテミシアのように見えます。正確には、日本の種類であるオトコヨモギ（Artemisia japonica）やヨモギ（Artemisia indica）のようです。神秘的な儀式や伝統医学で使われた多年生植物で、調味料として料理に使われていました。アルテミシア抽出物はアブサンのレシピに含まれています。

モモイロ。色はピンクです。りな’s が自分自身のクローンを作成するために使用します。

モモイロはセイロンシナモンの木（ラテン語でCinnamomum verum）への言及であると広く考えられています。古くから、木の樹皮の乾燥は香辛料として料理に使われてきました。それはまた、多くの武力および経済紛争を引き起こし、ヨーロッパの東方への拡大の理由となりました。

シナモン自体は純粋さと優しさを象徴しており、神話にもその位置を見出しています。伝説のバージョンによると、フェニックスはその翼によってシナモンの葉で組み立てられた火を灯し、生まれ変わった炎から立ち上がるともされます。葉はまた、ケムリクサの場合は別のシンボルであり、キャラクターの開発装置でもあります。

キミドリ。黄緑色です。その属性は電気です。りくが電気攻撃に使用する第6話で初めて見ることができます。

「キミドリ」という名前は劇中では言及されていませんが、ケムリクサのキャラクターの公式カードやトレーディングカードゲームのアイテムの中で明らかにされました。

葉の形はオジギソウ（ラテン語でMimosa pudica）に似ています。その独特の行動から名前が付けられた観賞植物：葉は触れると閉じ、刺激の「リスク」を記憶し、少々の刺激には慣れ、閉じるのをやめることさえできます。しかし、この植物は有毒であり、花の言葉で「感受性」を意味します。

りくは、名前として、「分離の苦悩」（離苦）を意味する場合があります。これは、タッチミーノットの象徴、植物の行動、およびりく自身に関連している可能性があります。このケムリクサは、どんべえの宣伝とりりの2つのエピソードで水を沸騰させるためにも使用されます。

細長い葉のオレンジ色のケムリクサ（アニメでは名前が言及されていません）。その機能は不明です。第5話と第7話に登場。

りなはわかばに食用かどうか尋ね、わかばは食用のものは少し違う色だと答えました。これは、どんべえの広告への言及であり、広告の正統性の確認と見なすことができます。植物は笹の葉のように見えます。正確には、広葉樹の笹（ラテン語でSasa）です。冬の高地でも生息できる種であり、その使用法は主に装飾的です。

アオイロ。色は青です。ミドリちゃんとの違いを聞かれると、りんは「色が違う」とだけ答えます。しかし、わかばはすぐにそれを輝かせる方法を見つけ、誰もが驚いたことにその機能を発見しました。その特徴は、防御のための盾を形成することにあります。大量のダメージを吸収すると気化します。

実際のモデル候補はセイヨウヒイラギ（ラテン語でIlex aquifolium）です。以前はクリスマスの飾りとして使われていた常緑樹です。ケルト文化における太陽の象徴でもあります。伝統的な薬に適用されます。そしてその樹皮は鎮痛剤として湿布に使用されます。

エクストラケムリクサ

主要なケムリクサの他に、他の多くの植物が劇中に登場します。それらのいくつかは完全に謎ですが、いくつかは理解しやすいです。

アイイロ。色は紺碧です。姉妹は彼女を「アイちゃん」と名付けました。交換不可能な水検出器です。

アイイロの外観は、ツバキ（ラテン語でCamellia japonica）から取られています。この属は、17世紀にフィリピンからヨーロッパに植物を持ち込んだ司祭ゲオルク・カメルにちなんで名付けられました。それはきれいな花のつぼみを持つ質素な植物です。
太陽のシンボルであり、椿（椿）は「光の木」と訳されます。日本では、花の言葉で、それは忠誠と成功を意味します。
アイイロの品種は「金魚椿」です。葉の形は金色の魚に似ていますが、葉自体は通常、水に浮かんでいます。たつきからのデザインアレンジ。

ダイダイ。大きな長方形の葉を使ったオレンジ色のケムリクサです。それの直接の実際のモデル植物はありません。また、赤いケムリクサの作成にも関わっていました。

その独特の形状は、実在の植物との照合を不可能にしますが、使用法の点で同様の植物があります。タラヨウヒイラギ（ラテン語でIlexlatifolia）です。それは日本と中国で育つ比較的小さい（高さ30から65フィート）常緑樹です。また、ミドリの試作品とも密接な関係があります。
その類似性は何でしょうか？古代、インドの仏教徒は、仏教寺院のヤシの葉に経典や供物を書き留めていました。日本人と中国人はそれに相当するものを考え出さなければならず、それがタラヨウヒイラギになりました。それは、宗教的なテキストを書き、予言の儀式を行うために寺院に植えられました。

日本では、「はがきの木」を意味する「はがきの木」という名前の別のバージョンが知られています。日本の郵政省は、この植物を正式に郵便用樹木として割り当てました。今では郵便局の隣によく見られます。

ムラサキ。その色は紫です。機能は不明です。植物は第7話と同色の木を使って建てる第11話に登場します。わかばは「ムラサキは自律する」と言っています。島の骨組みも紫色のもので構成されています。

赤いケムリクサ。名前がありません（詳細は注を参照してください）。オレンジ、イエロー、パープルのケムリクサ（ダイダイ、キイロ、ムラサキ）を組み合わせてりりが人工的に作成したものです。赤い植物は物語の敵対者であり、蔓延する荒廃の原因です。その能力は、赤い霧、ヌシを作成し、それらを制御しています。

実際のモデルはトリカブト（ラテン語でAconitum）と見なされます。「ヒョウの悩み」や「ポーションの女王」とも呼ばれます。この属は、日本で最も有毒な3つの植物の1つです。そのすべての部分は有毒であり、中毒すると非常に危険です。花言葉には、人間ぎらいおよび有害な言葉を意味しています。
赤いケムリクサの葉がカナダ国旗のカエデの葉を表しているというジョークもあります。

注：アニメにはこのケムリクサの正式な名前はありません。すべての植物の名前はカタカナで書かれており、生物学的および植物学的な用語も一般的ですが、赤いものは別です。第11話ではりりは確かに「アカイロ」と呼んでいますが、「赤い色」を意味する漢字で書かれています。この異常な交雑種の正式な名前はありません。

ホワイトケムリクサ。名前と実際のモデル植物は不明です。第8話では、シロの友達と彼らが合流した白いロボットの内部に見ることができます。日本語で「シロ」は「白」を意味するので、この色の植物です。
この世界では、ロボットに与えられる命令には2つの条件があります。指示は人間が行う必要があり、ケムリクサの葉が必要です。これらのロボットは上司の命令を辛抱強く待っていました。彼らの魂と心を表す彼らの葉はほとんど消えていましたが、シロと彼の友人たちは彼らの最後の奉仕に成功しました。

葉は「管理色」と訳される特別な用語「カンリイロ」と関係があります。

ロボットたちは指示に対してさまざまな種類のケムリクサを使用できると暫定的に結論付けることができますが、これらのロボットはすでにそれを持っていました。

不明なケムリクサ。淡いブルー色。その機能は不明です。りんにとっても新しい色合いですが、照明に使われているようです。別の解釈としてはエンジンまたはエネルギー源ともとれます。

現実の植物モデルはフウセンカズラ（ラテン語でCardiospermum halicacabum）です。匿名の植物で、あまり一般的ではありませんが、多年生の草本常緑つる植物で、長さ10フィートまで成長します。装飾および医療目的で使用されます。

その他のケムリクサ植物

りりのアホ毛（手に負えない髪の毛）。ケムリクサのオープニングの特定の部分では、キャラクターを象徴する葉が一枚一枚落ち、その上には小さな茎だけが残っています。

その茎は最初の人間、りりのアホ毛です。

ポータル。これらの魅力的な植物は、エピソード12.1で空に見ることができます。

高層ビルは、独特のポータルを介して領域から引き出されます。それらの外観は、スイレン、正確にはオオオニバス（Victoria amazonica）に基づいています。これは世界最大のスイレン種で、直径は6.5フィートです。実際の熱帯の驚異です。

不気味な土地。第9話からのサイケデリックスな風景。形、構造、スパイクのために、それはオニバス（ラテン語でEuryale ferox）に似ています。

それは大きな葉（約3フィート）と鋭いスパイクを持つスイレン種であり、アジアで広範囲に分布します。また、それは東洋料理にも利用され、ロシアのレッドブックに含まれています。日本語の名前は「鬼の蓮」を意味する「鬼蓮」です。象徴性という点では、日本ではこの植物は花言葉「神秘的」の意味を持っています。劇中では、とがった茎のある部分が富士山に置き換わっています。

3枚の葉。姉妹に分かれるとき、りりはまた、前述の7つ以外に、さらに3つのケムリクサを使用しました。それらの1つは記憶の葉として使用されました。 3つすべてがエンディングに示されています。

左から右にシナモン、タンポポ、カエデの葉となります。 2つ目は記憶の葉になりました。

りんが攻撃するとカエデの葉の輪郭が見えます。葉は力と成長を象徴するかもしれません。

りりによると、分割のプロセスは3つの葉のそれぞれを通過します。これが、植物の意味が完全に理にかなっている理由です。シナモンが分割を行い、タンポポが記憶を保持し、カエデの葉が姉妹を成熟させますが、その外観は以前に使用したケムリクサに依存します。代わりにプロセスを逆に見ることもできますが（メープル→タンポポ→シナモン）、重要なのは、ケムリクサの世界の発達した特徴により、手順を簡単に理解して説明できることです。

りなこの死。最初のエピソードでは、りなこの体から飛び出す植物はスギナ（ラテン語でEquisetum arvense）に似ています。