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「ゴジラxコング 新たなる帝国」の感想(ネタバレあり)

ゴジラvsコングの続編にして、モンスターバース最新作。最近ユニバースモノはDCが仕切り直しになったりいよいよ飽きられがちなのだけど、今作もヒットしてるみたいだし、未だなかなか元気なシリーズ。

前作の感想↓

主にコング、ゴジラ、人間の3つのドラマが同時並行で進んでいく構成で、それぞれかなり面白さにムラがある感じだし、特に語り口は上手くないのだけど、心の中でツッコミながら観るのを楽しむのが良い。

コング

そんな3つのドラマの中で個人的に一番面白かったのはコングのパートだった。
最初の「虫歯痛いから治して(泣)」と、助けを求めてくるパートから愛らしくて人間と仲良いし、性格的にも柔軟性がある人(ゴリラ)。

その後地下世界の未開拓ゾーンに入ってからの子猿との短いロードムービー的な展開がすごく良くて、セリフが無いからこそ表情の機微やアクションで、子猿との絆を深めていく語り口がしっかり映画的。
子猿との出会い頭のぶん投げから豪快で笑うし、湖での裏切りや、その後の同じ食べ物(グロい)を分け合い心を近付けていくフード演出、その関係性の変化から「こいつならスカーキングを倒せるかもしれない」と信頼し、バディ化していくのがなかなか熱くてドラマとして重厚さがあったと思う。

ここらへんの交流とかはコングの人間的な渋みが前作よりさらに増しててめちゃくちゃ良い。
こういう言い方は正しくない気もするけど前より更に演技が良くなっていた。
先にも書いたけど何気に虫歯とかには弱いのは笑うのだけど、それ故に中盤にスカーキングに「こいつ歯抜いて差し歯になってる笑」と笑い物にされてしまうシーンから、後半の殴り合いでスカーキングの歯が抜けた瞬間に「これでお揃いだな」とニヤリと笑うシーンがめちゃくちゃ熱くて大好き。

そんな敵役のスカーキングもよい存在感だったと思う。
背筋がしっかり伸びて胸筋や腕の筋肉バランスも良くて立ち姿が美しいコングとは対照的に、手が長くて猫背ですばしっこく翻弄する感じが相対する悪役としての華があった。
個人的には爆笑問題の太田さんとかを思い出す佇まい。
もう1人のヴィラン的な位置のシーモも強くてなかなか良かったけど、あくまで自我が無くスカーキングに操られているだけなので、気の毒さが勝つ。自我を取り戻した虚無顔(かわいい)からのふざけんな!の冷凍ビームが良い。

強敵2人にコテンパンにやられたコングがスーパーグローブを手に入れるくだりとか、めちゃくちゃ都合良すぎて笑うのだけど、男児とかは喜びそうなカッコ良さ。
その武器を装着して、ポスターアートにもあったゴジラと共に走り出すシーンは、地面から這い上がって飛び出すテンポ感も素晴らしくて「やったれ!」という勢いが最高だったと思う。

ゴジラ

改めてコングに比べるとマジで人間のことを何とも思って無いのが今回の映画でよく分かった。
あくまで地球の守護者であるだけで、街はぶっ壊すし、世界遺産も知らないし、原発を充電スペース位にしか思ってないし、モスラ以外の他の怪獣とつるむ気ゼロだし、なかなか偏屈な態度。
コングが地下に敵がいるから手伝って欲しいとお願いに行ったら、否応無くぶちのめそうとしてくるし、扱いが難しい大御所感が出てきて何だか終始感じが悪いのだけど、モスラが出てきたら「あ、はい、モスラさんが言うんなら」とあっさり態度が変わる所は笑った。

ギャレス・エドワーズ版のゴジラとかと違いゆっくり歩き近づいてくるのをじっくり撮る様な感じではなく、アダム・ウィンガード版はダッシュするし、ジャンプするし、かなりアクション要素が多いゴジラ。
この辺はコングが格闘アクション的な動きをするので、そちらに合わせたバランスになっているのだと思う。
好みは分かれそうだけど、作品毎の色によってゴジラ感が変わっていくのは、個人的には見比べるのが楽しいのでどんどんやっていて欲しい。

あと、ゴジラの設定的にこれまでは海で寝起きしていた筈だと思うのだけど、何故かコロッセオが居心地が良くなってしまい猫鍋みたいにずっと住み続けそうな雰囲気で映画が終わっていくのが、迷惑だけど可愛くて良かった。

人間

人間チームは最早セリフの無い怪獣の為に、説明を補完する役割がほとんどという印象で、あいかわらずどうでも良い感じ。

そんな中でも前作では少女だったコングと話せるジアちゃんは今回いよいよ巫女的な存在感を発揮して大活躍だった。
コングと同じく故郷を見つけた事でそこに生きる場所を選ぶ選択もありだと思ったけど、序盤でアイリーンから言われた言葉を繰り返し、しっかり現実で生きる事を彼女自身が選ぶラストは結構グッときた。

気になった所

そんな感じでツッコミながらも全体的に楽しみながら観れた。
ただ個人的に一番気になったのは地下王国のパートが長くなるのと怪獣映画として重要な巨大さを感じにくくなり、そこはどうかなぁと思った。
映画館の大きいスクリーンで観たら音の大きさとかも含めて迫力を感じるけど、家のテレビとかで観ると怪獣としてのサイズ感とかほぼ感じなさそうな気がする。
でも終盤の無重力状態での全く大きさも重量感も感じさせない怪獣バトルとかは逆に観た事無さすぎて、かなりフレッシュ。
普通思いついてもやらなそうなアイデアをブチ込む姿勢は好きだった。

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